第86話 一番大切な宝物
創造神たる女神が眺める特殊空間。
現実とは引き離された、周囲への被害を気にせず力を発揮できる場所。
それぞれに異なる神性、異なる魔力を抱いた創造神たちが見守る――玉座の丘。
勇者の姿と精神を核とする大災厄は、ただ茫然と私を眺めていた。
『キミが、僕たちの子供……そして、創造神に選ばれた魔王? はは、なんだいそれ』
「それが事実なのですから仕方がないでしょう。私も、好きで選ばれたわけではないのですから」
『それでも、神々が死んでしまうはずの君を、僕たちの愛の結晶を取り上げてくださった……と。女神とは、創造神とは、実に慈悲深い存在なのだね』
くくくく、っと静かな笑いが床に零れ落ちていた。
それは大災厄の嘲りか。
それとも……自暴自棄の壊れた笑みだったのか。
……。
大災厄が女神たちに目をやり。
『発言をお許しいただいても?』
『好きにするがよい――』
『ならば好きにさせて貰いますよ。女神よ、創造神よ――なぜ、彼女を殺す運命を作り上げた……』
昼の女神が首を傾げ。
外向きの声で凛と告げる。
『彼女とは、白銀女王スノウ=フレークシルバーのことかえ?』
『ああ、そうだ! 彼女だ!』
『分からぬことを言う。白銀女王の滅びの運命を築き上げたのは、女王自身じゃろうて』
『なんだと』
前ならば言葉を選ばなかっただろう。
けれど昼の陽ざしのカーテンの後ろ、女神アシュトレトはしばらく真剣に考えこみ。
ゆったりと口を開く。
『白銀女王の過ちは、力がありすぎたこと。そして優しさを履き違えていたことじゃろうて。あの者は力がある故に、全てを自分で救い続けた。国を維持し続けた。完璧な統治を長きに渡り果たしてしまった。それがそもそもの過ちよ』
『意味が分からない』
『過ぎ去った事をいまさらにどうこう言う気はないのじゃがな。おそらく、スノウ=フレークシルバーが兄たちに手伝ってくれと願っていたら、道は違っていたのじゃろう。女王は独りで全てを安定させた、それが逆に兄たちの劣等感を煽り、そしてその完璧な統治がエルフという種を増長させた。エルフの慢心や傲岸不遜な性質を育て上げたのは、白銀女王自身であろう。違うかえ?』
その結果が、統治が乱れたことによる崩壊。
独りで国を長年支え続けていたからこそ――取り返しがつかなくなった。
生まれて初めて本物の愛を知った女王。白銀の乙女が手を伸ばしてしまった甘い恋により、全てが壊れてしまった。
大災厄が言う。
『そこまで分かっていたのなら、なぜ止めなかった……』
『なぜ? 何故とはなんじゃ』
『世界を見守る創造神ならば! 白銀女王を守るべきだっただろう! 神託を下せば、全てが変わっていたはず。彼女とて、あのような悲惨な最期を迎えることはなかった! 僕らが世界を憎悪することもなかった! そうだろう!』
創造神に抗う大災厄。
その肩も瞳も、怨嗟の炎で揺れていた。
けれど――その炎も徐々に弱まっている。
『おまえたちは何やら勘違いをしているようじゃな。妾たちは確かにこの世界を作り上げた。多くの神話、多くの逸話、多くの逸話魔導書、そして思い出……様々な経験と知識。楽園を追放されたあの方を追い、堕天した女神たちが今まで歩んだ道程をすべて詰め込み、この世界を生み出した。無聊の慰めとしてな――』
『無聊の、慰めだと……?』
『おぬしらとて、ただ待つしかない退屈な時の中……探し人や待ち人との再会を望み続ける暇に、知人と談話ぐらいするであろう?』
待ち人とはおそらく、楽園にいたという強大な存在。
女神ダゴンに曰く。
彼と呼ばれた存在は――かつて、今の女神たちを救ったのだとされているらしい。
宗教戦争にて人間にその伝承と存在を貶められ、世界に漂っていた悪とされた女神たちを楽園へと招き、居場所を授けたのだ。
けれどその彼はやりすぎた。
それが楽園のルールを破ると知っていても、人々に魔術を授け女神を拾い、秩序を乱してしまった。
だから追放された。
だから女神たちは彼を追った。
けれど、間に合わなかった。
彼と呼ばれた者は身内を殺され、絶望に沈み、楽園を滅ぼし姿を消した。
女神たちは、いまだにその恩人たる彼を探している。
これは、そんな長い旅路の一休み。
手を止め、ほんの一時の気まぐれの中で作り上げたのがこの世界。
おそらく、それを告げても理解できるものはあまりいないだろう。
だから私は楽園には触れず言う。
「女神たちにとって、この世界はあまり重要でもないのです。春を求めて飛び立った鳥が、長くを休むための止まり木ですらない……ここは一時の雨宿り。明日の遠征を控えた騎士たちが気分を紛らわせるため、手慰みに広げた遊戯盤のような空間。一時、辛いことや悲しいことを忘れるために始めた、退屈しのぎのボードゲームに過ぎないのですよ」
「どういうことだ」
勇者の誰かの声に私が言う。
「そのままの意味ですよ。女神たちはただの傍観者なのです」
私は未踏の大陸すらも世界地図で表示。
全員を見渡し、露店で購入したアクアリウムならぬワームリウムを掌の上に浮かべ。
フラスコの中だけで完結した、小さな虫の世界を眺めさせ――。
「エルフとて虫を捕らえ籠に入れ、その様子を観察する遊びぐらいした事があるのでは? これはエルフの露天商から購入したモノですが、この中にあるのは虫の世界――土と水、草と太陽そして魔力で作られた箱庭。これは一種の異世界。外から干渉しなければ、独立し続け永遠に繁栄する虫たちの楽園。このワームリウムの中だけで外界とは隔絶された、独立した世界を構築しているのです。この中の最強の虫はアリです、井の中の蛙大海を知らずとは言いますが、それでもアリはこの小さな空間の中では王者なのです。無知ではありますが、健気で、奇麗だとは思いませんか? これと似たようなもの」
私は虫が自由に生き、自由に生態系を築く心落ち着く箱庭を、大切にしまいこみ。
「女神たちは観察しているだけ……自らが作り出した箱庭の中で蠢く虫、ようするに私たちの動きをただ眺めているだけの上位存在。あなたは箱庭の虫が作り出した巣が壊れそうだからと、手を出しますか? 加担しますか? その箱庭を眺めているものが多ければ多いほど、意見は分かれるのではないですか? たとえばです、虫の巣の壊れる原因が、他の虫にあり――その攻め込んできた虫の方を応援していた観測者がいたとしたら。どうです? 助けることが正しいと言い切れますか?」
神の価値観を代弁する私に、また別の勇者が声を出す。
「それは、そうだが……」
「だいたい、エルフの女王を生かすために動いたら、それはそれで誰かが不公平と騒ぐのではないでしょうか。確かに白銀女王は悲劇の中で最期を迎えました。けれど――」
『もう良いのじゃ――』
私の言葉を止めたのは、女神アシュトレト。
昼の女神だった。
彼女は昼の陽ざしを解除し、その顔を晒し女神の美貌を下々に見せていた。
『白銀女王を救わなかった。それは事実じゃ、すまなかったな――女王を愛した勇者の憎悪。愛より生まれた世界を呪いし、大災厄よ』
告げたアシュトレトがみせたのは、小さな礼。
わずかだが、頭を下げたのだ。
それに驚いたのは私だけではなかったようで。
午後三時の女神が持っていたお菓子を、ぼろりと手のひらから零し。
夜の女神も、真顔でアシュトレトを振り向き、あり得ぬものを見る顔で夜のヴェールを騒がせている。
黄昏のバアルゼブブが言う。
『ア、アシュちゃん……?』
『なんじゃその顔は、妾とて多少悪いと思えば頭を下げる。なにしろ……あれほどに世界のために貢献したエルフの女王を見捨てたのは事実。それに、愛する者たちが引き裂かれてしまったことは、とても気の毒じゃ。哀れじゃ。今の妾には――少しはわかるのじゃ。愛する者のために命を投げ出した勇者の決意も、その決意を踏みにじられた勇者の憎悪も。自分のために死んだ勇者を眺めた女王の瞳も、その涙も。すべてが詮無いとは言いたくない、思いたくない。ああ、実に……妾は悲しいぞ』
女神アシュトレトは、あきらかに出会った頃とは違っていた。
私にはよく、分からなかった。
明け方の女神も、黄昏の女神も。
午後三時の女神も、夜の女神もきっと分からないのだろう。
けれど、アシュトレトは知っている。
アシュトレトは手を伸ばし。
神々しく、そして温かい波動を魔力とし――大災厄に告げた。
『辛かったであろうな――』
観測できないスキル:【大女神の慈愛】が発動されている。
効果は分からない。
私のレベルでは届かない、本当の女神の力だからだろう。
それはおそらく、堕天する前の女神としての性質。
アシュトレトがアシュトレトとなる前の、地母神や豊穣神、愛の女神と呼ばれた時代の、イシュタルやアフロディーテと呼ばれた時代の、愛を知る女神の力が権能となって発動されているのだろう。
今のアシュトレトの力は、明らかに他の女神を圧倒していた。
淡い光が、大災厄の悪性を浄化しているのか。
その心を癒しているようだ。
女神の幻影が、憎悪に揺れていた勇者と女王の魂を抱いていた。
『哀れな子よ、我らの子よ――そなたの憎悪、そして愛。妾はしかと記憶した。数百年、数千年、数万年経とうと――そなたらが揺らした心を妾は忘れぬと約束しよう』
大災厄が言う。
『ああ、神よ……分かってくれるのですか』
女神の慈愛を受けた大災厄の体が揺らぐ。
憎悪に彩られていたその体から、黒い邪気が透けていく。
元より、既に大災厄としての彼らの憎悪は揺らいでいた。
それはおそらく、私の存在のせいだ。
悲恋物語の登場人物たる彼らは、私という愛の結晶を知らずに死んだ。
知らずに世界を憎悪した。
けれど、彼らは世界に愛の証を残していた。
だから。
その根底が覆っていた。
いままでの大災厄は憎悪という感情を魔力に変換し、世界を呪っていた。
憎悪こそが力――海賊パーランドに力を授けられるような、無限に溢れ続ける膨大な魔力を心から引き出していたのだとしたら。
その憎悪が揺らいだことで、存在の維持ができなくなっているのだろう。
それを言葉で示すのならば。
「成仏……するのですね」
私の口はそう、言葉を紡いでいた。
女神の慈愛で浄化された大災厄は私を振り返り。
少しだけ疲れた様子の、けれど好青年の顔で――。
『レイド=アントロワイズ=シュヴァインヘルト。僕たちの息子……と、正直、そう言っていいか分からないけれど。お願いがあるんだ』
「私にですか?」
『ああ、本来なら君でもいい。誰でもいい。けれど、やはり君がいい。僕の本体ともいえる、氷漬けの遺骸と彼女の瞳を……どうか、同じ墓に埋葬して貰えないだろうか』
女王の瞳は、無限の魔力と呼ぶべき魔道具。
それはフレークシルバー王国が膨大な力を失うという事でもある。
だが。
「たしかに、私ならば――瞳の力を借りずとも結界の維持はできる。いえ、もっと強固な結界とて作ることが可能でしょうね。けれど、それは王の仕事。エルフたちはそれを許すでしょうか?」
つまり、私しか次の王になれる者はいない。
もとより、動きやすくするために王とはなるつもりであったが。
『ああ、そうだね。だから、みんなは君に王様になってくれと願うだろうね。この国の事も彼女は心配している、だからもし、君が王様になってくれるのなら――僕らは安心できるんだ』
「あなたがたを貶めた者たちには、正規な手段で罰を与えることになると思います。それで構いませんか?」
返事の代わりに頷いた大災厄は、私を抱き寄せていた。
重なる魂を通じ。
二つの声が聞こえていた。
それは父と母の声だった。
私にとっては記憶にない二人。
なんの思い入れもない、生みの親。
けれど、なぜだか私の心臓は大きく音を鳴らしていた。
声は他の誰にも聞こえていなかっただろう。
けれど、私には聞こえていた。
愛している、と。
大災厄は私の肩越しに無精髭のエルフに目をやり。
言った。
『色々とすまなかった……シュヴァインヘルト。僕は、僕たちは、僕らは……自分がしてきたことを後悔していない。反省もしない。世界はそれだけのことを僕たちにしたのだと、今でもそう思っているよ。僕はね、こうなってから多くの人を殺したよ。多くのエルフを殺したよ。勇者のころはできなかったけれど、殺すことができてしまったから、その反動かな……殺しすぎてしまったんだろうね。僕はね……きっと、人でなしなんだろうね。けれど』
消えゆく自分にも目をやって。
大災厄は遠くを見ながら言う。
『悲しいな。少しだけ、後悔が浮かんだよ。僕は、冒険者ギルドに脅威登録されるような、大虐殺の化け物になってしまった。それはいいんだ、だってそれほどに恨んでいるからね。今でも、うっかりするとまた暴れそうになっている。けれど、知らずうちに、息子に化け物の子っていう、一生拭えない汚名を着せてしまっていたんだね。それが、少しだけ……後悔になっているんだよ。人類を殺せぬ戒めの中にある勇者の同胞よ、君たちも……頭のどこかで覚えておくといい。僕という邪悪がいたことを――』
それは今、勇者としての縛りから解き放たれようとしている勇者にとっては、重い言葉に聞こえていたはずだ。
勇者の寿命は様々。
種族も様々。
事情も様々。
けれど、人類は――もっと多種多様にいる。全員が悪人ではない、けれど、人類の戦いに干渉できないその縛りを逆手にとって、勇者を利用し続けていた者も多い。
だから、縛りが解除されたそのあとに。
大災厄と同じように復讐に走る勇者もいるだろう。
だから、いま、この瞬間の大災厄の言葉は彼らに刺さるのだろう。
それは将来の自分かもしれないのだ、と。
血を滴らせていたパリス=シュヴァインヘルトが言う。
「あなたの息子は最強の魔王だ。そして、創造神の駒。その程度の汚名など、気にするタマでもあるまいさ」
実際、一切気にしないが……。
大災厄は苦笑で返していた。
『そうか、シュヴァインヘルト。君は僕よりも息子と共にいたんだったね。だから、とても詳しいんだね』
「ああ、これからも僕はあなたがたのご子息に仕える。誰に何と言われようと、僕はこの方に忠義を誓い続ける。だから、もう休め。あとはいつか老害となる僕たちと、そして次の世代がなんとかしてくれる。いつも言っていただろう? 勇者なんて疲れることばかりで、やっていられないと。いつか……長期間の休息が得られるといいと。きっと――それが今だと僕は思う」
『そうか――じゃあ頼んだよ。親友よ。僕も、彼女も、他人を恨むのに、もう疲れたんだ……』
他者を恨む。
それはとてもエネルギーがいる。
そのエネルギーを生み出す根底こそが、憎悪。
人の心だったのか。
だから、本当に大災厄は疲れ切っていたのだろう。
私を眺め、ごめんと告げて……。
大災厄の体が。
崩壊していく。
憎悪の核を失った影響だろう。
勇者の声が響く。
『すまなかった、シュヴァインヘルト。我が友よ。そしてありがとう……僕たちの息子を、この地に連れてきてくれて』
女王の声が響く。
『最後に、一番大切な宝物達と出逢わせてくれて、再会させてくれて本当に……』
ありがとう。
と。
消えゆく魔力から言葉を世界に残し、脅威登録されていた大災厄は滅んだのだ。
さぁぁぁぁぁぁ……っと。
アンデッドが天へと召される時と同じ音がしていた。
女神アシュトレトは、彼らの来世を祈っているようだが……。
私の心臓は、強く音を鳴らしていた。
鼻先が少しだけ熱くなっていた。
けれど、私は泣かなかった。
泣けなかった。
私が魔王となったからだろう。
それは少しだけ寂しいが、それでも現実だ。
残されたのはワイルドハントたち。
首のない馬の亡霊。
その正体は、エルフの王族による人間狩りに遭い死んだ無辜なる人間。
私はエルフの王として、手を伸ばしていた。
「大災厄としての役割も私が継承しました。どうか一緒に来てください。レイド=アントロワイズ=シュヴァインヘルト=フレークシルバーの名において――いつかあなたたちの肉体を再生させ、その魂を鎮め、蘇生させてみせますよ」
ワイルドハントたちの返答は首のない頷き。
私の影へと吸い込まれていく。
契約は完了した。
「これで――全てが終わりました。女神たちよ、空間をもとに」
『分かっておる、しかし――ワイルドハントたちの蘇生など、容易く約束して良いのか?』
「時間はたっぷりとありますし、それに王族たちがコレクションしていた魔道具を回収すれば彼らの遺骸が使われていた痕跡が見つかる筈。蘇生の条件をクリアできるかは未定ですが、実現できる可能性は高いと踏んでおります」
『ほう? その根拠はどこにある』
私は凍結保存してある王族たちを指すように瞳を細め。
「エルフの王族……希少で魔力に満ちている素材。それは罪人であったとしても、生贄として最上位に位置しますからね――裁判を終えた後に彼らに研究に付き合っていただくだけですよ」
エルフの王族を使った、実験。
本来なら倫理観が邪魔をしてできないはずの研究だが、相手は既に人間を相手に非道を行っていた罪人。自分がしていたことを、今度は逆に受けるだけの話。
蘇生魔術の研究はかなり進むだろう。
『まあ、既に死した国王のコバンザメであったとしても、外道は外道。それなりの報いとしては、妥当。ワイルドハントたちも納得するじゃろう。しかし、義父ヨーゼフやその妻の義母ジーナをそこまでして蘇生させたいと?』
「さて、どうでしょうか。二百年以上も経っていますからね、彼らはすでに転生している可能性も高いですが……」
『ならば、誰を蘇生させるつもりなんじゃ?』
私は――返事をしなかった。
しかし、可能性の一つとして。
女神たちがどこを探しても見つからなかったという、彼でありあの方が既に死んでいるとしたら。
それを蘇生させるだけの魔術理論を構築すれば。
……女神たちは報われ、救われるのではないだろうか。
と。
そんな思いが少しだけ、私の中に浮かんでいた。
けれど机上の空論。
だから私はそれを口にはせず、皆に向かっていったのだ。
「とりあえず、城に帰還しましょう。これからのことはその後で相談という事で、ああ、けれど折角ですのでここで宣言しておきます。私はエルフの王になりますよ。これからエルフの評判は著しく低迷するでしょうしね、エルフ狩りが本格的に始まっても面白くありませんし、少なくとも百年ぐらいは私が王となりそういったことが起こらないように動くつもりですので、あしからず」
ああ、反対するのならご自由に。
と、私は指を鳴らし――女神たちが見守る空間から皆を連れ、転移。
強制脱出したのである。