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てがみをくれたサンタさん

作者: そで




もうすぐくりすます。

あさからとってもさむいです。


「きょうはさむいね」

「うん、さむいね」

「もうすぐくりすますだね」

「そうだね」


みんなそれぞれだれかにあいさつ。

さむいね、そうだねっていうと、それだけであったかくなる。

ふしぎ。


でも…

まぁちゃんには、さむいねっていうあいてがいません。

だからまぁちゃんは、いつでもさむかったのです。





あるひ、まぁちゃんはおてがみをもらいました。

だれがかいてくれたのかわかりませんでした。


「まぁちゃんにだって」


わたしてくれたひとはそれだけいっていなくなってしまったから。


おてがみなんてはじめてもらったまぁちゃんは、びっくりしました。

もしかしていやなことがいっぱいかいてあったらどうしよう。

まぁちゃんはおてがみをあけようかどうしようかまよってしまいます。


でも、なんてかいてあるのかきになって、とうとうあけました。

おもわずつむったおめめをおっかなびっくりひらいて。



『まぁちゃんへ

まぁちゃんは、とってもがんばりやさん。

いつもとってもがんばっててえらいね。

まぁちゃんのすがたにいつもげんきをもらいます』



まぁちゃんはびっくり。

だってまぁちゃんはいつも、いっつもひとりぼっち。

だれかがみてくれてたなんて、だれかがこんなやさしいおてがみをくれるなんて、いちどもなかったのです。


びっくりしたけど、なんだかとってもあったかくてふわふわします。

まぁちゃんはうれしかったのです。




それから。

まいあさ、まぁちゃんにはおてがみがとどくようになりました。

わたしてくれるひとはいつもちがっていました。


まぁちゃんはおてがみをもらうたびに、すこしずつげんきになりました。

まぁちゃんは、おてがみをよむのがとてもたのしみになりました。

きょうはどんなことがかいてあるのかな。

いつもたのしみにしていました。




そんなあるひ。

はじめておてがみがとどきませんでした。


まぁちゃんはまちました。

ひるまでまちました。

ゆうがたまでまちました。

…よるまでまちました。


そのひ、おてがみはきませんでした。



まぁちゃんはなきました。

きっと、きらわれてしまったんだ。

まぁちゃんはいらなくなってしまったんだ。

まぁちゃんはわるいこだったのかもしれない。

だからきっといらなくなったんだ。


まぁちゃんは、とってもとってもなきました。





つぎのひ、まぁちゃんはしょんぼりしていました。

だって、まぁちゃんはきっときらわれてしまったから。

おてがみはもうこないから。


するとだれかがまぁちゃんにこえをかけました。

そしてなにかををわたしてくれました。

…おてがみでした。


まぁちゃんはきらわれてなかったのかな?

まぁちゃんはおずおずとおてがみをうけとりました。



『まぁちゃんへ

きのうはおてがみをわたせなくてごめんね。

びょうきでした。

きょうはまぁちゃんにちょくせつおてがみをわたせてうれしいです。

これからどうぞともだちになってください』



おてがみをわたしてくれたひとをまぁちゃんはみました。

そのひとはにっこりわらうと


「はじめまして、まぁちゃん。どうかおともだちになってください」


そういって、てをさしだしました。

まあちゃんはおめめをくりくりさせたあと、ゆっくりと、そうっと、そのひとのてをにぎりました。




そうして、ふたりはてをつないでゆっくりとあるきだしました。


「きょうはさむいね」

「うん、さむいね」






それは、ちょうどくりすますのひのできごとでした。








おしまい


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