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殿下、いざ参る!

「あれ?」

「うん?どうしたのシェリル?何か飲み物でももらってこようか?」


「違います!違いますよ!確かにちょーっとお菓子に口の中の水分奪われてカッサカサだから、飲み物欲しいなーって思った所だけど!すごいですね殿下!エスパーですか!そして言いたかったのはそれじゃないです!どーして私がこの席に座っているかってことですよ!この席は未来のお妃様のための席ですよ!?私なんかが座ってたらダメじゃないですか!」


ゴクゴク...ぷはー!旨い!口の中に潤いが戻ってきた!飲み物欲しいなーと思ったタイミングで出てくるなんてさすが殿下だわー。よく人を見てるわね...。私も見習わなくっちゃ。


「ってそうじゃないよ!殿下!どういうことですか!?」

「どうもこうも、私は最初から説明していたはずだよ。これは()()()()()()()()()だとね。」

そう言いながら殿下が長い足を組み直す。ちょっ首をかしげながら言うあたり、色気が凄い。


いや、そこじゃない。私が騒いでいるのは椅子の位置だ。殿下が上座に座るのはわかる。だって王族だから。でも、私がそのとなりに座るのは納得いかない!だってこんなの私が皇太子妃ですって言ってるようなもんじゃない?違うんですよーと皆様に言ってまわりたい気分だ。


ぐるぐる考えている間におもむろに殿下が立ち上がり、私の椅子ごと向きを自分の方向に向けると座っている私の前に殿下が片膝をつき、私の両手をとった。


「やっと伝わりそうかな。シェリル、改めて言うけど私が妃にと望んでいるのはシェリルだけなんだよ。自分でも驚くが、シェリルにはじめて会ったときから妃は君にしようと決めていた。ずっとシェリルが結婚できる年齢になるのを待ってたんだよ。長かったが、待っていることも楽しかったほどだ。だが、君が17になった今、私は君の前で紳士的に振る舞うことが難しい。気を抜けば君に触れたいと思ってしまう。いい大人なのに、すまない。」


殿下の瞳が真っ直ぐ私を見ているせいか、殿下の気持ちがすごく伝わってくる。見たことないくらい真剣な目だ。私の手を握っている殿下の両手もちょっと震えている気がする。息づかいまで聞こえそうなくらい近くにいることに今さら恥ずかしくなってくる。


「シェリル、...いい子だから、おとなしく僕のお嫁に来なさい。」


恥ずかしすぎてちょっと涙出てきた。いい子って、すごい子供扱いじゃない?でも、...こんなに胸がどきどきするのはなんでかな。座っているはずなのに足が地面についていないような、このソワソワした気持ちは。


「シェリル?返事は?」


...あぁ、もう。なんて情けない顔なの。いつも自信に満ち溢れたようなお顔なのに。


まったく、そんな顔をされたらもう、


「.....はい。喜んで。」


頷くしかないではないか。





そこからはもう本当に早かった。皇太子妃になるのは決定事項だからとか、何ならフェルナンド殿下と結婚するって知らなかったの私だけ?って思うくらい既に外堀は埋まっていた。何なら新芽が出て大木になって森ができてるんじゃね?ってくらいには外堀ガッチガチだった。


そして普通順序的に婚約発表とかしないといけない感じじゃん!!?

してたよねー!!婚約発表!お茶会の前に、何のパーティーか知らされないまま上手いことフェルナンド殿下に丸め込まれて「好きなお菓子を思う存分食べていいよ」って言われておまけみたいに付いていったパーティーが、まさか自分が主役とは思わないと思うの!!もう笑うしかねー‼


ってことで何やかんやで今日初夜です。


もう気絶していいですか。


は~い。なんやかんやでついに!殿下!がんばりました~!パチパチパチパチ~!

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