ローズver
ローズver
え、なんなの?なんなのよあのシェリル様の満面の笑みは。
シェリル様もしかして、なんか勘違いしてる?いや、まさかね?お相手はあの王太子よ?いつもニコニコ笑っているけど、一度外交の場に出れば自分の望む要求以上のものをぶんどってくるというあの人よ?
絶対、ぜーーったい腹黒に間違いないわ。
「やあ、ローズ嬢。来てくれて嬉しいよ。楽しんでいるかな?」
「ひゃっ!」
いきなり声をかけられたせいで、心臓が止まってしまうかとおもった。
でも、声をかけてきた人物のほうへ振り返れば、真相を確かめたいと思っていた人物だったから丁度良かった。だいたいシェリル様との繋がりが私になければ、この方だって私に話かけたりしないだろう。
「お久しぶりです殿下。殿下におかれましてもご健勝のようでなによりです。
それよりひとつお伺いしたいことがあるのですが、ちょっーーとお時間よろしいですか?」
ここまで一息。私の肺、よく頑張りましたわ。
ここが正念場よ、ローズ。シェリル様のためにきちんと真相を確かめなければ。
「うん。いいよ。君はシェリルのお友達だからね。仕方がないから聞いてあげるよ。」
「...ありがとうございます。さっき私シェリル様とお会いしたのですが、そこでなぜかシェリル様よりエールを送られまして」
「エール?」
「はい。あなたならお妃様になれるから頑張ってと...。」
はぁぁぁーーーもう怖い!殿下の周りの空気が体感でー10℃は下がってきてるー。
笑顔なのに怖いってどういうこと⁉
「ふーん…シェリルがそんなことを、ね。うーん、まあ大丈夫かな。
このお茶会がシェリル皇太子妃の披露目会みたいなものって他の人は知ってるし」
「そうですよね...。どうしてシェリル様は知らないんですか?はっ!まさか外堀を埋めてしまえという恐ろしい考えを...?」
「はっ!て...。私はそんなことしてないよ。ただ何度説明してもシェリルが話を聞いてないだけ。それに、周りの人間がいくら話ても冗談としか捉えないんだよ。もう強行突破するしかないかなーってね。」
うん!ごめんなさいシェリル様、庇いきれません!
確かに小さいときから思い込みが激しいところはあったけど...。
あきらめをにじませた殿下の表情ときたら…。
こうなるともはや殿下のほうが気の毒になってきますね...御愁傷様です。
うん、うん。もう私の手には負えないやー。
それにしても、この人シェリル様と結婚したら束縛激しそ...ゴホゴホ!
あーっと、あ、向こうに美味しそうなお菓子があるー。食べてこよーっと。
触らぬ神に祟りなしと言いますからね!大事よ!スルースキル!