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わたしの婚約!どうしてくれる!

はいっっっっっっっっっっ!!そーんな綺麗な思い出ありましたねー!あった、あった!

でもそれは、12年前の話です。私ももう17歳の立派な令嬢です。そ.れ.な.の.に...!!


「シェリル?そんな怖い顔してどうしたの?シェリルの可愛い顔に眉が寄ってる。まあそこも可愛いけど。何があったか話してごらん?」


そういって幼い頃の綺麗な思い出と同じように登場したのは、目が潰れんばかりの美形の男性。

最近27歳のお誕生日を迎えられて、魅力が増していると噂の有名人だ。

これぞ王子さまと言わんばかりの輝く金髪に新緑のような瞳。さらに目や鼻の配置はもちろん、唇の厚さまで計算され尽くしているのでは?と思うほどかんっぺきな容姿を持っている


...実際、モノホンの王子様である。


「...フェルナンド殿下、そのように軽々しく可愛いなど言ってはいけませんわ。その発言だけでどんな騒動がおきるか...。ご自分の発言がどれほど力を持っているのかもっと自覚してください。」


シェリルはいきなり登場した人物に特に驚いた様子もなく、苦言を呈する。普通ただの公爵令嬢が国の王子に対してこのように接すると不敬罪とかで捕まりそうなものだが、今まで特に注意されたことはない。


「わかってるよ。私はシェリルだから言ってるんだよ?...それでどうしたの?何か悩み事でもあるの?」


ニコニコと優しそうにこちらに話の続きを促してくるが、言うまで帰さないという圧力がびしびし伝わってくる。


「はぁ..。悩みというか、将来について考えていたのです。私も貴族の令嬢として生まれてきたからには、他家に嫁ぎ、跡取りを産み育てるという責務があります。...ですが、私は今年で17にもなるというのに、

ひとっつも縁談が来ないのです!皆無です!なぜなのか、ずーーーぅっと考えていました。そして、思い出しました。あの、幼いときの記憶を!」


シェリルは淑女にあるまじき速度でフェルナンドのもとに駆け寄ると、胸ぐらを掴みかからんばかりに詰め寄った。


「殿下!もしかしてあの幼いときの()()()、実際に国王陛下(お父上)に言ったりしていませんよね!?」


シェリルは興奮から涙を瞳に溜め、祈るような気持ちでフェルナンドの返事を待つ。


「え?あの時の口約束...?あー、あのずっと側にいるって言ってたあの昔の約束?」

「っそう!そうです‼」

「あれ、言っちゃダメだったの?うーん、ごめんね。あのあとすぐ父に言ったよ。

...まあ、どのみちシェリルを離す気はな」


はい、終わったー!!もうダメだ...。ちょっと後半聞こえなかったけど、この絶望は止まらない!

なーに、てへぺろ★みたいな雰囲気で爆弾発言してくれちゃってんの!?

もう最悪じゃん!最高権力出ちゃってるもん!はっはっは~!!そりゃないよね?ないはずよ縁談なんて...(泣)

目の前の男性の爆弾発言に膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪えつつ(ちょっと膝プルプルしてたけど)キッとフェルナンド様を睨み付ける。


「...っもう!どうして言っちゃうんですか‼そのおかげで私だけ結婚できてないんですよ!?」

私どうすりゃいいのよ!?一生独り身か!?嫌だ!私も年頃の女の子らしく、旦那さまとラブラブしたいって夢があるの!もうちょっと見せてよ、夢!


「えー?私の話を全く聞いてないね…。シェリルは結婚できるんだよ?あれ、おかしいなこの説明も何度目?もう何度も言ってるはずなんだけど...。」


その瞬間、今まで魔王のように見えていた殿下が大天使様に見えましたね。

後光が差して小さな天使ちゃんたちが舞い降りてラッパを盛大に吹いてくれました...。ありがとう!


「それは、ほんとうですか!? あーよかった!もうあまりにも縁談が来ないから、周り方たちにも殿下と結婚すればよろしいのでは?なーんて冗談言われるようになってきて困っていたところなんです。そんなことできるはずないのに、最近その手の冗談が増えてきてビックリしてしまいましたもの!あーよかったよかった!」


ほっといたしました。胸をそっと撫で下ろします。




あ、紹介が遅れてしまい、申し訳ありません。遅ればせながら自己紹介をいたしますわ。

私、シェリル・ローンベルドと申します。こんな感じではありますが、一応公爵令嬢です。


今、私は殿下の執務室で今度開かれるお茶会の相談に乗っている最中でした。今度のお茶会は殿下主宰と言うこともあり、お茶会の中で本格的にお妃様探しをなさるのだろうとのことでした。

私が小さいときから本当の兄のようによくして下さっている殿下に、いい奥さまが見つかるとよいのですが。

お茶会を良いものにするべく、私も気合いを入れてアイデアを出しますよ!


「..おーい、シェリル聞いてる?またダメだ。聞いてない。まあ、いいか。当日どうせわかるだろうし...。」


お茶会のことを真剣に考え初めた私には、そんな殿下の言葉は全く聞こえていませんでした。

どうしてこの時もっとちゃんと聞いてなかったのか、悔やまれます..!


人の話は最後まできちんと聞きなさ~い

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