詩

青い車

最近の車はみんなピカピカで目移りしちゃうな

エレガントな白いセダン　引き締まった黒のSUV

情熱的な赤のオープンカー　

僕の車はブルーの大衆車

空の色　浮き雲が浮かんだような

四半世紀の生き証人

帰れない僕を乗せて初夏をいく

ゆるゆるドライブ　並木道

もう仲間も見かけなくなった

それは当たり前で　

みんな解体されたか海を超えた

そろそろ目立ってきた頃かな

ネオクラシックなんだって

長いこと乗ってきた車だから

不思議と誇らしいね

でもカーナビくらいはつけたほうがいいかな

雨が降るとワイパーも動かないし

効くのは小回りくらい

ほらもうガソリンがなくなった

そうしていつもの道の駅

みんな帰ってしまった後で

リアウインドウから夜を仰ぐ

外灯の明かりが優しいね

幽霊でもいいからさ

誰か僕を見つけてくれないか

目印は青い車

帰れない僕を乗せて小さな星は

どこへでも