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アラフィフになったキョロ充、異世界に行く  作者: アカピロ
第一章 キョロ充、森での暮らし
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第4話

音のした方に近づくとそこには大きな猪のような生き物の死体があった。

半分潰れてはいるが食いちぎられた跡のようなものもある。


周りを見回すがどうやら空から降ってきたとしか思えない。木が多くて空は殆ど見えないが頭上の枝が所々折れている。


つまりこのサイズの動物を捕食して、空を飛ぶ生き物がいるということだ。


ドラゴンやその亜種であるワイバーンがいるという事は残された本にも書いてあったが、この辺りはそこまで強い魔物はいないと書いてあった。


但し、季節の変わり目や純粋に移動する為に空を飛ぶ姿が見られる事は記録されていた。

たまたま上空を飛んだ何かが落としたにしても、いざという時に逃げるくらいは出来なくてはまずい。

先人の残したメッセージを深く受け止めて、もう少しこの森で鍛える事を思うハルキだった。


バニラはさっさと猪の死体に近づくとハルキの方を見ながら


「これもう食べて良い?」


って顔をしている。


バニラはすっかり大きくなり、前の世界の中型犬位にはなっていた。


ハルキはさすがに何の食べかけかわからない肉は食べる気にはなれなかったので、使えそうな毛皮部分だけを剥ぎ取った後にバニラに


「好きなだけ食べて良いよ、残りは燃やして埋めるから〜〜」


と声をかける。


嬉しそうに食べ始めるバニラのそばで周囲の土に簡単な生活魔法をかけて柔らかくしたハルキは、黙々と穴を掘り出した。


満足したバニラがクゥーンとハルキに声をかけると


「そっち引っ張って〜〜、落とすよ〜」


と枯れ枝の敷かれた穴に放り込む。

上にも枯れ枝を被せて魔法で火をつけて燃やし、最後に土をかける。


「結構遅くなったなー、暗くなる前に帰りたいから走るよ〜〜」


先に採っていた食料などで結構大荷物のハルキとさっき剥いだ毛皮を背負わされたバニラ。

バニラはともかく、ハルキはちょっと前の世界では考えられないペースで道無き道を帰路について、なんとか日が完全に落ちる前に家にたどり着く事が出来たのだった。


薄暗い家の中で毛皮の処理をしながらハルキは問いかける。


「なぁ、バニラ。半兵衛やアニャの残した修行はもうクリアして半分以下の力で出来る。それはまだまだ続けて、出来れば4分の1以下の力で出来るようにはなりたいんだけどね。春が来たら、つまり半年以内には一旦村のあった場所に向かうつもりで、それまでにここで後は何をしとくべきだと思う〜〜?」


「ワンッ」


当たり前に犬の様な返事をしたバニラがついて来いという仕草を見せながら家の外に出る。

ハルキも後ろからついて行くと家と畑のある敷地の外を回りながら唸っては吠え、唸っては吠えを繰り返す。

吠えるたびに何か生き物が逃げ出す様なガサガサッとした音がする。


一周回ってハルキにわかったか?って顔を向けて家に入った。


そして本棚から一冊の本を咥えてハルキの前に落とすと、いつもの様にハルキにくっついて身体を丸めた。


その本を開いたハルキはしばらくして


「うーん、そういう事なのかなぁ〜〜、バニラは賢いな〜」


とバニラの頭を撫でながら1人納得して満足気な顔になっていた。




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