プロローグ3
どうやら異世界に来たらしい。
手書きの本のどこまで信じるべきか微妙な所だが、夢でないのならここは異世界。魔法があり、魔物のいるゲームや物語でよくある様な世界の様だ。
日本と同じ時間軸で回ってるのかは良くわからないけど、この古い本の作者は明治生まれの日本人で岐阜出身の大野半兵衛。達筆すぎて内容全ては読めなかったが。
軍の訓練中に山で遭難して気がついたらこちらの世界に来てて、大体10年暮らし、一か八かで帰る方法を見つけてそれを試すって書いてあった。
巻末のその日付が大正17年秋って書いてあったから多分そのくらい。大正時代は15年で終わりだって事を知らないのは本物くさい。
こちらの世界の文字や言葉は本なら一度触れたら、声なら聞けば内容がわかる様になるらしい。他にもこの世界での暮らし方や国のことなんか色々書いてある。但し、元の世界へ帰る方法は人によって違うみたいで、半兵衛さんも過去にこの世界に来た人の足取りを追って気が付いた様だ。つまり今の俺には無理な事だった。
仕方ないのでこの場所を借りてしばらく生活を整えて、自分が元の世界に帰る方法を探すしかなさそうだ。
そうと決まればまずは衣食住、住むところはあるし、服は最悪どうとでもなる。水と食料からなんとかしないと、だな。
こうして俺、アラフィフキョロ充ハルキの異世界生活が始まった。
ん?アラフィフ?のはずなのになんかおかしい。靴も服もなんかしっくりきてないし、なんか違和感を感じる。
携帯を取り出して自撮り画面を見るとそこには30年位前の俺がいた。