第8話
ほんの数日前まで一年強、ハルキは一人きりだった。バニラやライム、他のスライム達はいたが人との関わりはなかった。そんなハルキが美女を連れ若い子に囲まれて飲んでいる。楽しくない訳がない。
元の世界では結構モテた。綺麗な人や可愛い子と朝を迎えた事も少なくない。
そんなハルキにとっても格別の夜だった。入れ替わりハルキの側に座る子達が身体を寄せる。柔らかな感触がハルキを喜ばせる。
ドーラが耳元で話しかけてくる。
「ハルキ、好みの娘はいるか?」
「そりゃこんなにいたらいますけど、ドーラさんが一番綺麗ですよ、やっぱり」
「お世辞ばっかりだなぁ、ハルキは。本気にするぞ」
お世辞ではない。ハルキは本当にそう思っていた。もちろんハーレムの様なこの状態も楽しいが、知り合ったばかりのハルキに色々世話を焼いてくれるドーラ。そして誰よりも美しかった。
「あー、また二人でイチャイチャし出した、みんなのハルキさんを守れ〜」
更に盛り上がるテーブル。しばらく後、その下でそっとドーラの足に手を置くハルキ。ビクッとして顔が赤くなるが受け入れたのかうっとりとハルキを見て手を重ねる。
「そろそろ行きますか、ドーラさん」
「あ、あぁ、そうだな」
店を出て腕を組んで歩く二人。
「ドーラさん、家に行っても良いですか?」
「あ、あぁ」
夜の街が静かになる頃、ハルキはこの世界に来て初めて女性と朝を迎えた。
だが、それは本当に女性と朝を迎えただけだった。
登る朝日を窓の外に感じながらハルキは思う。なんでこんな展開になったのか、と。
良い雰囲気でドーラの家に着いたはずだった。ドーラの家は立派な一軒家だった。そして夜中なのに家に帰ったらメイド二人が出迎えたのだ。
「おかえりなさいませ、ご主人様。こちらの方は?」
「あ、ああ。ハルキという。今から飲み直すから準備してくれ」
「かしこまりました。先に着替えを。ハルキ様にもお出ししますのでこちらの部屋でお待ちください」
ハルキも部屋に案内され、しばらくするとメイドがハルキに着れるサイズの服を持ってきた。
「こちらに着替えて頂けますか。終わる頃に伺います」
着替えて待つとメイドが呼びに来る。後ろに付いて行くとソファーに座ってドーラがいた。
「すぐにお持ちしますので」
すぐにメイドが酒とちょっとした料理を運ぶ。そのまま部屋の隅に立ち、用があればすぐ動くと言わんばかりにこちらを見ている。
とりあえず飲むかと思って三次会が始まったがしばらくしたらドーラがうたた寝をしだして、メイドが寝室に運び出した。そのまま何故かハルキの酒の相手はメイドに代わっていた。気がつくと窓から日が差し始めていたのだ。
「ハルキ様はこのままお泊りになられますか?それとも帰られますか?」
相手をしていなかったメイドがハルキに聞く。
「今日はこのまま帰ります。ごちそうさまでした」
「わかりました。またお越しください」
元の服に着替えて朝日の中家路を歩くハルキ。宿にたどり着いて着替えてベッドに潜り込む。
「ワン」
バニラがだからダメなんだよ、と吠える。ライムは少し尖っていた。
日が高く登るまでハルキはそのまま寝続けた。




