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風神様の旅物語  作者: 神崎 ラキナ
7/10

盗賊と恐怖のあの子...怖いわー。

虎が遺言を伝えている途中で回復の術を使用して気まずくなってしまったフウラ達。

虎は何故致命傷を負ってしまったのか。

一体何があったのか...。






「いや、あのさ...何で重症になったのさ?」

(盗賊です。突然襲いかかってきて...。)

「あ、忘れてた。盗賊出るんだった。」

「どうするんだ?盗賊何とかしないといけないよな。」

(ご心配なく、今頃は必死に逃げているでしょう。)

何故?逃げる?

(あちらで【鬼ごっこ】が始まっている筈です。)

虎がゆっくりその方向に歩いて行く。

しばらくついていくと...

凄い走る音が聞こえてくる。

心なしか叫び声も聞こえる。

「何だこれ!?」

「イダ子だね、これ。」

「イダ子?」

イダ子とは、私の顔馴染みのあだ名だ。

いや、また派手にやってるなー。

「うわぁぁぁ!!」

約2500メートル先から盗賊らしき人がこっちに走ってくる。

...のを凄いスピードで追いかける少女が後ろにいた。

「うはは、わぁーはははは!うへへへへぇ!!」

笑いながら盗賊の肩をツンツンしている。

「うわっ怖...本当に知り合いか?」

私のスキルを通してその光景を見ていた雷亜が訊いてくる。

「本当だよ。おーい、イダ子ー。」

ピタッと止まってこっちを見た。

「ありゃ、親友さんじゃあないのさぁ!」

カッと目を見開きながら盗賊の首根っこを掴んで引きずりながらこっちに走ってくる。

イダ子、若干猫目っぽくなってるな。

「久しく会えてなかったさね?」

「うーん、そうだね30年ちょっとは...そろそろ、離してやって?」

ここまで来ると盗賊が可哀想になってきた。

「うーん...ま、親友さんが言うんならば。」

首根っこを掴んでいた手をパッとわざとらしく放す。

「ひいぃお、お助け~!!」

這いずって盗賊は逃げていった。

「...話に花を咲かせている所悪いんだが、そろそろ何があったのか教えてくれ?」

イダ子はああ、そうさねぇ、と頷いて

「まずはさくっと自己紹介さの。」

「わっちは韋駄天と皆からそう呼ばれてるのう。」

韋駄天→イダテン→イダテンのイダ+子でイダ子って私が勝手に呼んでるだけなんだよね。

「まーぁ、わっちが歩いているとそこの虎っこが虐められとったのさ。」

「で、鬼ごっこしてた訳だ。」

イダ子が首を振りながら

「あれは鬼ごっことはいわないでさ、わっちの本気の十五分の一もないさね。」

あれ、俺の知ってる鬼ごっこではない?とかさっきから雷亜君がぶつぶつ呟いている。

「まーぁ、ここらの盗賊は壊滅させたから安心してもいいさな。」

盗賊を蹴散らす手間が省けた!やったね!

「じゃあ、そろそろ出発するかね。」

「何処にさ?」

「ア、アル...あれ?何だっけ?」

「アルフェリスだろ。」

あー、もう年だね、名前が出てこない。

「...いくら親友さんでもその格好では多分キツイさね。」

イダ子が苦笑しながら私を指差す。

「アルフェリスは雪国を通り越して氷の国さな。」

「...言い忘れてたけど、雷亜君防寒着は持ってる?」

「.....何とかなるだろ。多分。」

はいっ、持ってないな、確定!

「親友さんは良いとして、そこの子は」


「凍え死ぬさね、確実に。」


「今から町に戻るとどの位かかるの?」

「んー、親友さん魔法なんか使ってないさな?」

本当に、嫌な予感...

「ま、この森は魔力を一気に吸い取るもんで、わっちは魔力の多い方だと自負してるけど、三分程で一ヶ月分を失ったさ。」

一ヶ月間で手に入る量を三分で一気に失った?

「親友さん、確か使える魔力量、一ヶ月分も無いんでなかった?」

慌てて魔力残量を確認する。

「魔力残量、0...だと...?」

私は一ヶ月で五万位しかない上に魔力が溜まりにくい。

何て言えば伝わるか...私の上限魔力量自体は高いけど、訳ありで五分の一も溜まらなくなってしまった。

例えるなら、袋は大きくとも底より少し上に大きな穴が開いてると水が少し溜まっても穴より上は漏れでてしまうような感じかな。

「残念ながら、今から町に戻ると丸2日かかる。」

どれだけあの魔法が偉大だったかがわかる。

うん、そうだよね、気にしなかったけど、あの馬凄いスピードだったからね。

...はぁ。

「その為だけに2日は歩きたくない。疲れた。」

「驚く程体力が無いもんな。」

うっさいわ、言わないでよ。

「親友さんだったら防寒着が無くとも死にはしないと思うさな。...ただ、寒かろうな。」

何かこの旅は急いだ方がいい気がする。

「仕方ない。特注の上着があるから雷亜君、君が着てなよ。」

カルディアのアイテムはびっくりするほど高性能...を通り越してヤバいやつになりかけている。

私の上着は、寒いと自動で温度を調節したり、重さを持たなかったり...とまぁ、他にも驚きの機能がある。

「...これ、大丈夫なのか?」

おっと、心配そうだね?

「体温調節ができる魔法を編み込んでいるから大丈夫!」

「んー、いや、お前の事だ。」

「あー、ほら、子供は風の子っていうじゃない?

あれ、私が風邪とかに対して丈夫過ぎるって所からきてるの。」

風神様が風邪を引いた、って何か馬鹿らしいじゃない?

風神は風を操れても風邪はどうすることも出来ないなんて馬鹿にする奴らが出てきそうだし。

「...本当か?」

「神様に誓いまーす!」

「...神って、お前もだろ。」

.....

「さあ、出発だ!」

「おい」

「イダ子、盗賊と虎をよろしくね!」

「あい、わかったさのー!」

そう言って森を抜けた。

もうそろそろ豪雪地帯かな?

アルフェリスは行った事がないから楽しみだなー。

どんな所だろう。





結局、ポンコツ風神が虎の正体を明かせなかったが、フウラの親友と出会った。

話が盛り上がり、若干雷亜が置いてけぼりに...。

フウラは無事に候補者を見つけることが出来るのか。

そして、アルフェリスとは一体どういう国なのだろうか。


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