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風神様の旅物語  作者: 神崎 ラキナ
2/10

スタート地点が離島の上!?

私は神崎 フウラ。

一応風神。

ついさっき神々が住む国カルディアから出てきた。

仕事で人の世界に来たのだが.....




スタート地点がどこかの離島のど真ん中だったので、今結構焦っている。


「ここ、どうすれば脱出出来るかな。」

生き物がほとんどいない、木も数える程しかない。

一気に気力が無くなっていくのが感じられる。

「これ終わったわ。マジで。」

取り敢えず気力が無いのでそこら辺に寝転がって休んだ。

うー。どうしよう。やる気無いー。



寝転がって休んでいること十五分。

「あ、私風神なんだから風で飛んだらいいじゃん。」

風をおこして体を浮き上がらせる。

何とか浮くことは出来たけど、あまり長くは持たない。

「取り敢えず船でも探すかなー。」

方角が分からないから島が見える所までで探してみた。

しかし見当たらない。

「んー、しょうがないな。スキル!」

スキルの『テレスコープ』で遠くまで見渡していたら、

「おっと、船発見!」

船の上に二人いた。

船に向かう。



「あのー、すみませーん。」

人にとりあえず声をかけた。


「ん?...おい、誰か呼んだか?」

「あ?気のせいじゃねぇのかぁ?」

「? そうか?」


おい!気のせいじゃ無いよ!

「上だよ、上!」

「あ?」

二人が上を見上げる。

「なぁ、おい。とうとう俺もダメそうだ。幻覚が見える。」

「お?奇遇だな。俺もだ。」

「幻覚では無い!とりあえず話をきいて!」


面倒だから全部話した。


「災難だったなぁ、姉ちゃん。」

「あぁ、でも、俺達はただの乗組員さ。」

「いっぺん、船長にきいてみるか?」

「お願いします。」

一人が船長を呼びに行った。

「おーい、船長ぉー!」

「何だ、騒がしい。」

お、あれが船長かな?

「あそこの姉ちゃんがこの船に乗せて欲しいって。」

船長?が私に近づいてきた。

「君は?」

「私は...」

隠しても意味が無いので全部話した。

「では君は風神だというのか?」

「そうですが?」

まぁ、いきなり風神って名乗っても信じてもらえない気がするけど。

船長を呼びに行った方の人が、

「船長のスキルで見てみりゃわかんだろ?」

ん?『スキル』だと?

「うーん。『鑑定』。」

「...?」

スキル『鑑定』か...。

確か、カルディアの店の人が持っていると言ってたな。

何か品が本物か偽物かを簡単に判別できるとか。

「うん?.....職業が、風神...だね。」

「うわっ。マジだったのか。」

乗組員の人が驚く。

何かあっさり信じてもらえた。何で?

「彼女が嘘を言っているようには思えない。」

船長が頷いて

「この船に乗っていっても構わない。」

よしっ!力無駄遣いしなくてもいい!

「でも港に着くのは3日後だ、その間は世話をさせる。」

「そこまでしなくても...」

「いや、少し憐れだなと思って。」

「あ、ハイ。」

何か若干複雑な心境。



部屋に案内された。

「ここを使っていい。」

一人にはちょっと広い部屋。

「じゃ、僕達はこれで。」

船長が去って一人ベッドに座りボーッとする。

今日は疲れた。ゆっくり休むかな。

あ、荷物の整理しなきゃ。

考えていると、扉がノックされた。

「はーい。」

入ってきたのは金髪、紫の眼の15才位の男の子。

「失礼します。船長がこれを」

差し出された物はお菓子だった。

「ありがとー。」

「はじめまして、風神様。今日から三日間お手伝いをさせていただきます...」

.....

「あー、堅苦しい!」

「え、」

私は堅苦しいのが嫌いだから。

「敬語とか、無しで。私、フウラ。あなたは?」

「...俺、は...雷亜。」

「うん。よろしくね。」

微笑んでみる。

「何か...イメージと違った。アンタ、風神なんだろ?」


「うん。あ、そうだ。」

地図を取り出す。

「?何を...」

「ねぇ、今この地図でここがどこかわかる?」

「えと、ここ。」

地図の左下辺りの海を指した。

よし、やってみるか。

ペンデュラムを取り出した。

ふざけて現在地の辺りにペンデュラムをかざしてみる、と

「あれ?」

ペンデュラムの石の色が、紫色になった。

「色が変わった?」


ルシアが確か、色が変わった所に候補がいると言っていた。

「綺麗な紫色だな。」

雷亜がじっと見る。

『おーい、フウラー。』

あれ、ルシアの声が聞こえた気が...。

『うん。テレパシーで話しているんだ。』

.....。

で、このタイミングで話しかけてきたってことは、何かあるのね?

『えっと、言い忘れていたけど、候補者がペンデュラムを触ると、強く光るんだ。』

え?マジか。このペンデュラム、何なんだよ。

『伝えたからね。じゃ、頑張ってね。』

ルシアのテレパシーが途切れた。

試しに誰かに握らせてみよう。

「あの、このペンデュラム握ってみて。」

ちょうど雷亜君がいるので頼んでみる。

「握る...?こうか?」

おっと、どうなるかなー?

ペンデュラムを握った拳を覗き込んだ。

「手を開いてー。」

開いた瞬間、眩い光が眼にダイレクトアタック。

「うげっ!?」

思わず後ろに倒れてしまった。

「うわっ。何で光ったんだ!?」

目潰しの呪文は唱えていないのにー!

.

.

.

眼が元通りに落ち着くまで待った。

んー、まだ視界がぼやけてる。

気を取り直して、

「うー、候補者確定 ですぅー。」

「候補者?」

一応、今までのことを話した。


「何で俺が...冗談は、やめてくれ。」

雷亜君が呟く。

「そういう運命なんだよー。諦めてー。」

それより、人間なのに神になれるチャンスがあるなんて、幸運だと思うけど?

「神って面倒くさくないのか?」

「面倒。最初の一年間は毎日勉強、訓練、他の神の仕事の手伝い等々が続く...。馴れれば快適な生活。」

「まるで、元は神じゃなかったみたいな言い方。」

えー、最近の子は、意外と鋭いのー。

「ま、君の意思は関係無く連れていきますよ?」

私もね、そんな時期がありました。

いやだーって暴れても連れていかれた。

「ひでぇな。...連れていかれたくないし...どうせ、今みたいに面倒なことを引き受けなければいけなそうだな.....。」

ま、普通いきなり神になれ...なんて、おかしいよな。うん、少し可哀想になってきた。

なぜ候補を人間から選ぶのかというと、人手不足?神手不足?なのと、一番知性のある生命体が人間だから。

神が少ないと、世界の管理が行き届かなくて、一部の地域だけ命が宿らなかったり、災害が多くなったりする。

まぁ、一応雷亜君にも説明するか。

......

「...拒否権は?」

「無い。逃げても無駄。」

「...。」

無言で顔をしかめる。

私にはどうすることも...あ、

「んじゃ、一緒に候補者探しの旅に出る? ついて来るのなら、その勉強とか、その他諸々は免除するように頼んでみる。」

「んー...。」


「えっと、まだその方がいい。...それに...」

それに?

「アンタ、一人だと時間がかかりそう。」

む、これはディスられているのか?

「何か、生意気だな?...これでも一応、君達人間より年上なんだけどなぁ。」

「一体、何歳なんだよ?」

あれ?...いつから歳を数えるのをやめたんだっけ?

「4000歳...だったかなぁ。」

ジト目をしてる。どうせ、ババアだと思ってるんだろー。ムカつくぅ!



初日で候補を一人見つけた風神。

これは思ったより早く終わるのかもと考えた。

...こういう時は大体そうはいかないというのに。

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