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風神様の旅物語  作者: 神崎 ラキナ
1/10

いや、いきなり旅に出ろって...

神々が住む国、カルディア。

今日は晴れていて日の光が暖かく、心地よい。

風神、神崎フウラはカルディア城の廊下をゆっくり歩く。

今日、光の女神であり、カルディアの神々のまとめ役のルシアに呼び出され、カルディア城に訪れた。

ルシアのいる部屋の前まで来て、扉をノックし、部屋に入る。

「失礼します。」

「うん。いらっしゃい。」

と、驚くほど穏やかな威厳のいの字も無い声が返事した。

これでも皆のまとめ役なのだけど...。

「ルシア様、あの...」

「あ、敬語じゃ無くてもいいし、肩の力抜いてよ。」

「.....バレてた?」

「君が敬語とか、らしくもないから。」

ルシアが落ち着いた声で話す。

「堅苦しいのってあまり好きじゃないからなぁ。」

いつもは敬語なんか私の辞書には無い!...みたいな感じで他の人?神?と話しているし。

「それで今日君に来てもらったのには訳がある。」

「だろうね。」

正直、呼び出される程のことはしていない...と思うけど...。

「あのね、君にやってもらいたい仕事があるの。」

「仕事...?」

あ、なんだ、ちょっとほっとした。

「うん。その間の集会も祭事も参加をしなくてもいい。」

ん?ちょっと?

「参加"しなくてもいい"?」

「ああ、逆に参加してもいいんだ。」

ほぇー、なるほど。自由参加か。...いいね。

「と、いうのも、内容がねぇー...難しいんだ。」

「そんなに難しいの?」

ルシアが頷いて、

「最低でも3つ、任務がある。」

3つか。なんだ、大丈夫そうじゃ...

「1つ、新しい神候補を7人見つける。」

...

「2つ、世界中を旅して近くの困っている人を助ける。」

.....

「3つ、これも世界中を旅して、ダンジョンや遺跡、迷宮をクリアする。以上。」

.......。

「やべぇじゃん。」

「うん。だから参加しなくてもいいんだよ。」

完全に舐めていた。難しい?そんなレベルじゃ無い。

「あのさ、私、生きていけるかなぁ...?」

「...頑張ってとしか言えない。」

「もうやだぁ~!無理ゲーじゃん!」

泣いて抗議する。

世界規模になると出来るはずが無い。

「チョット何イッテルカワカリマセン。」

「おい!...そもそも何で私なの!」

ルシアがフッと笑い、

「君と私以外の神が君に押し付け...推薦した、から?」

押し付け言ってるじゃん。あいつら...。

「カルディアの未来がかかっているんだ。頼むよ」

とても大きく深いため息をついた。

「NOとは言えないんだろ?どうせ」

「よくわかったね!」

苛つく程満面の笑みを浮かべるルシア。

...うわっ、ムカつく。

「...出発日は?いつ?」

むくれながら渋々きいた。

...何かどこかからサーッて音が聞こえる。

「あ、のね.......明日。」

私はニコッと笑った。

「何だぁ、明日までに準備、を...明日ァ!?」

「だ、だって、ご老人方がうるさ...急かすから。」

「待って、準備ができてない!」

今日、初めて知ったのに用意できるはずが無い。

「あ、それはご心配なく。こっちで用意する。」

まぁ、ならいいや。

「でも、用意する物は君が選んでね。」

「だよね。」




ルシアと街に出て必要な物を買いに行くことになった。

「数日分の食糧と水、着替えと、寝袋と...」

着替えは私の希望で着物っぽく動きやすい、袖無し、裾は短めの服に仕立ててもらった。

「一応、フードつきの上着も買っておくね。」

ルシアが追加で買った。





「食糧は保存食の...何がいい?」

正直、わからないんだけど。

「3日分位でいいよね。なら、ビスケットでもいいかな?」




「あまりかさばらないやつがいいな。」

しまうとき邪魔にならないような物にしようかな?

「うーん...ちょっと店員さんにききに行くね。」

ルシアが店員に話しかける。


「あるって」

「あ、本当?よかった。」




「あとは...何かある?」

ルシアにきいてみる。

「武器かな?」

「じゃ、武器を買いに行こう!」

服にあわせて武器は刀にした。




「必要な物は全部そろったね。」

「結構高かったけど、大丈夫なの?」

お金は払ってくれるとはいえ、高額な物ばかり。

本当に大丈夫かな?

「まぁ、これから使うものだし、少しでも良いものの方がいいから。」

「ふーん?」

「いざというとき壊れてしまったら嫌でしょ?」

「ソダネ。」


「おい、ルシア!」

ルシアと話していたら突然誰かが話しかけてきた。

「げ。今度は何ですか?」

明らかに嫌な顔をするルシア。

...凄い顔だよ。ルシア、スマイルだよ、スマイル。

「支度はもうできたのか?どうやら必要な物は揃ったらしいが。」

嫌な予感。

厳しそうな顔のお爺さんが訊いてくる。

「...出発日は明日ですが?」

ルシアははやく帰りたいという顔。

...面倒だな。

「準備が終わり次第、出発させろと言った筈だが?」

...。

「...今からですか?明日からでも問題は無いでしょう?なら、」

お爺さんは顔をしかめて、

「いいや、今からでも行かせるべきだ!」

...いい加減

「もう面倒だわ!!今から出発すればいいんだろ!?」







「いきなり出発とか、本当にごめんね。」

ルシアが申し訳無さそうな顔で言う。

「ご老人方がうるさいって、そういうことね。」

ため息をついていたら、

「新しい神候補は、これで捜せるよ。」

ルシアは虹色の宝石がついたペンデュラムを渡してきた。

「地図の上でこれを動かしていくと色が変わるところがある筈。そこにいる。」

えー、面倒☆

「...あの世界の人達は、何故か物分かりがいいんだ。あまり苦労はしないと思う。」

「了解。」

「あとは、君が風神であることの証だ。」

銀色の簪を渡された。

銀色の花の中心に緑色の石が嵌まっている。

「風神は君が初めてだから、証は君の衣服にあわせて新しくつくった。」

なにそれ、初耳だわ。

じゃあ、初代風神?私が?マジか。

「じゃあ、気をつけてね。」

何か近くにいた子供達が寄ってくる。

「なに?おねぇちゃん、どこかいくのー?」

「るしあさまもいるー!」

「いってらっしゃい!」

「いきてかえってこいよー!」

ルシアは少し顔が緩んでる。

「やっぱり、小さい子は可愛いよねー。」

「んー、そうなの?」

私にはちょっとわからないかな。

油断するとすぐいたずらするし。

「さて、急がないとまたうるさく言われるからそろそろ出発してもらおうかな。」

...ん?ちょっと待て。

「ワタシ、オカネナイ。」

「あ、忘れてた。」

ルシアが財布を取り出した。

「金貨3000枚。これで何とかしてくれ。」

「すごい大金ではないか...大丈夫なの?」

「そこは...スキルや魔法で」

すげぇな、スキルと魔法。

「では、最低でも1年はかかると思うから。」

最低でもって...。

「しばらくはお別れだ。」

「はーい。」





神々が住む国カルディア。

今日風神は人間の世界へ旅に出た。

果たしてどんな出会いがあるのだろうか。

風神の愉快な旅物語が始まった。

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