Bullet5…APS競技銃が欲しくなる
エアソフトガンって『玩具』じゃん。サバゲとかの他に『実用的』な遊び方ってないのかな?
エアソフトガンを買う前は、そう思っていました。
けれど、そう、『スポーツ』としてシューティングを楽しむ方法もあったんです。
今回は、精密射撃についてのお話です。
さて、『精密射撃』と言えばAPS競技(注1)ですよね。私はエアソフトガンを手に入れた時から「いかに遠くの的に正確に弾を当てるか」に興味を持っていました。
ですから、APS競技銃に食指を伸ばすのは必然の結果であり、ただ、通販で買っている東京のエアソフトガンショップ(赤羽に所在するといえば、分かる人には分かるでしょう)に当時在庫がなかったので買えなかっただけでした。
マッ◯堺氏のレビューを見る限り、APS-1もAPS-3(注2)もそれぞれ一長一短あり、KS◯のGP100やAP200(注3)は再販も未定という状況だったので、お金ができた時に迷わずまずマ◯ゼンの「APS-1グランドマスターMk.2」を買い、次に再販が決定したマルゼンの「APS-3 2018年ロット」を買いました。
私が両方を使ってみて感じることは次のとおりです。
・重さはAPS-1が重いです。と同時に、ここは個人の感覚ですが、グリップもAPS-3よりAPS-1がグリップセイフティ(注4)の関係からか前後に平べったい感じがします。総じてフィット感はAPS-3の方がありそうです。
・APS-3にはガンケースが付いているので持ち運びに便利。APS-3より大きいAPS-1にこそガンケースを付けてほしいと思います。APS-1を箱に入れて持ち運ぶのは一苦労。
・重量バランスでいえばAPS-3の方がいい感じがします。APS-1は相対的に『前が軽い』感じがして、マズルを静止させることが難しく感じます。
・トリガーについては、APS-1は遊びがほぼない1段引きでAPS-3は遊びがある2段引き。
じっくり狙うにはAPS-3の相対的に長いトリガーストローク(注5)が有利ですが、マズルを静止できないときは引き切りが分かりやすいAPS-1も威力を発揮すると思います(狙点が合った瞬間にトリガーを引いて当てるという芸当ができるため)。
・前記の点を逆に言えば、APS-1はAPS-3より意図しない発射が起きやすいとも言えます。
・トリガープル(注6)の軽さはAPS-1もAPS-3も同じくらい軽いです。
ただ、APS-1は引き切りが分かりやすいため「撃った」ことが分かりやすく、マズルが微妙に動いていても引き切りの時期さえ合えば的に当てることが可能です。
APS-3はストロークの長さとトリガープルの軽さゆえ、思っていた瞬間に弾が出ずに、引き切りの時ちょっと迷いが出てしまう傾向もあります。
・リコイル(注7)についてはエアコンプレスト(注8)であるAPS-3が絶対的に有利。まったくと言っても過言でないほどリコイルはありません。
ただしAPS-1のリコイルも素晴らしく軽いし、逆にリコイルが感じられるためにフォロースルー(注9)を取りやすいと感じます。
・操作はAPS-1が単純で、セイフティをかけたままコッキング(注10)できます。コッキングの方式はボルトアクション(注11)形式です。
APS-3はセイフティを解除しないとコッキングできず、コッキング後にはセイフティがかけられません。またコッキングレバーを装弾レバーより先に操作したら発射できません。
・マガジンの装弾数はAPS-1が12発、APS-3が5発です。つまりAPS-3はマガジンを三つ揃えればAPS競技のすべてでマガジン交換(途中給弾なし)により試合ができることになります。APS-1の12発はちょっと中途半端ですね、装弾数が14発又は15発だったらなと思います。
・初速はどちらも甲乙つけがたいです。私が所持するものでいえばAPS-1が86m/s、APS-3が85m/s(東京マ◯イ0・2グラムベアリング弾)でした。ただ、APS-3よりAPS-1の方が射距離による弾の落差がやや大きいように感じます。
・前述の点は、APS-1の方がAPS-3よりマズルとサイトのパララックス(注12)が大きいことも関係しているのかもしれません。
個人的に言うと、ブルズアイ(注13)のような近距離かつ距離が変わらない競技の場合はAPS-1が有利で、シルエット競技(注14)のような距離が変わり10メートルというAPS競技銃の性能限界での競技にはAPS-3が有利な感触があります。プレート競技(注15)については、ターゲットのロックオン(マズルの静止)がいち早くできるならAPS-3が、そうでなければAPS-1が有利のような気がします(あくまで個人の感想です)。
これらの点を比較するために、シューティングレンジに通い詰め、家でも廊下レンジで何度も射撃をしました。右ひじを痛めて、しばらくの間湿布が手放せなかった時期もあります。そんな私を見ても何も言わず好きにさせてくれた(半分呆れているのかもしれないが)連れ合いや子供たちに感謝です(と持ち上げておく)。
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注1:APS競技…Air Precision Shooting の略で、エアーガンによる精密射撃競技です。
注2:APS-1、APS-3…マル◯ンさんがリリースしているAPS競技専用銃。大会の会場で見る限り、APS-3のユーザーが多いですね。シベリウスFは使い慣れたAPS-1が好きですが……。
注3:GP100、AP200…K◯CさんがリリースしているAPS競技専用銃。GP100はガスを、AP200はエアーを発射に使います。こっちの銃も欲しいなあ。
注4:グリップセイフティ…グリップの後方にある、握り込むタイプの安全装置。しっかり握らないと引き金を引いても弾は出ません、というより引き金が引けません。コルトガバメントが有名ですよね。
注5:トリガーストローク…引き金を引く長さ。長ければ速射に不利で、短ければ暴発の危険が出てきます。
注6:トリガープル…引き金を引く強さ。重いと弾が横にブレやすくなり、軽いと暴発の危険が出てきます。
注7:リコイル…発射時の反動。当然ですが、実銃に比べるとすごく低いです。でもガスを使うエアソフトガンではガンガンくるリコイルが楽しいです。
注8:エアコンプレスト…空気圧縮式とでもいいましょうか? エアコッキングと機構的にどう違うんでしょう? 知っているお方がいらっしゃったらご教示ください。(“コッキング”でなくて圧縮するからかな?)
注9:フォロースルー…剣道で言う“残心”だと理解しています。発射後にしばらく銃口を的に向けたままにすることを意識すると、確かに命中率は上がりました。
注10:コッキング…撃鉄を起こすこと。昔のフリント(燧石)式銃の、火打ち石がつけられた撃鉄が鶏のとさかに似ていたからと言う説があります。
注11:ボルトアクション…ボルト(遊底)を手動で操作することで弾薬の装填、排出を行う機構です。狙撃銃で一発一発レバーを引いてガチャガチャすることで空薬莢を出して弾を押し込んでいるアレです。
注12:パララックス…照準線と弾道のズレ。照準器の位置が銃口から離れれば、当然ズレも大きくなります。
注13:ブルズアイ…APS(精密射撃)競技のステージの一つ。ハンドガンの場合は5メートルから片手で、ライフルの場合は10メートルから、競技用の的を2分間で5発、2回撃ちます。的は10点が直径22ミリ、8点が35ミリ、5点が50ミリです。
注14:シルエット競技……APS競技のステージの一つ。3センチ×3センチの的を、6,7,8,9,10メートルの距離に一つずつ設置し、2分間で5発射撃します。撃ち落とすまで同じ的に何発撃っても構いませんが、全部で5発しか撃てません。高さ1・4メートルの『スタンディング(立射)』と15センチの『プローン(伏射)』を1回ずつ射撃します。
注15:プレート競技…APS競技のステージの一つ。15枚の的が5枚ずつ3段に設置されていて、下段の的は縦6センチ×横4センチ(だったっけ?)の楕円形。中段と上段の的はやや小さい。下段から撃ち始め、当たっても外れても次の的に照準は移行します(つまり、撃ち漏らしがすぐ分かる)。引き金から指を放し、銃を身体から30度以下の角度で合図を待ち、「プレートスタンバイ、レディ」の後のブザーと同時に照準をして撃ちますが、ブザー後3秒以内でないと当たっても的は倒れません。キビシー。
いいですよ〜APS。
狙ったところに当たると快感ですよ〜。
最初は直径22ミリなんてまぐれでも当たらなかったですが、A4判のダンボールから初めてだんだん的を小さくしていったんです。
ちょっとした悩みやイライラも、的を狙っているうちは忘れられます。
専用銃は厳しくても、お手元のエアソフトガンでも結構いい感じに遊べます。
遊ぶときは思いっきり遊んで、日頃のストレスを解消しましょう。