第6話 私の恩人
やっと少年を出せました。
戦いの描写は難しいと実感、まだまだ至らない点だらけですが
よろしくお付き合いお願いします。
辺り一面を真っ白に染めるような白い光が瞬く。
「くっ、誰だ?」
悪魔が呟いた。
光が収まると、私と悪魔の間に一人の少年が一メートル程の高さから落ちてきた。
「どわぁっ!」
どしん!と盛大に尻もちをついた。私もあんな感じでここに来たのだろう。
少年が立ち上がる。
黒髪の少年だ。寝癖なのだろうか少しボサボサしている。
年齢は私と同じか、少し上くらい。
服装は全く異世界やゲームを感じさせない格好
黒いジャージだった。
黒に赤のラインが入った靴にズボンを履き、
腰に上のジャージの袖の部分を結んで付けている。
上は黒のTシャツだ。
唯一、異世界感を出しているのは
手に持つ黒鞘の日本刀だ。
「いてぇーな、誰だ?この下手くそな魔法は」
なんか怒ってる…と苺は思った。
少年は悪態をついている。
「お前は…!」
悪魔が驚く、少年とは知り合いのようだ。
火の蝙蝠を出したまま止まっている。
私は少年の事が気になった。
誰なんだろうか、助けにきてくれたのだろうか。
「あなたは?」
私はそう問いかけた。
少年は私に気づいて答える。
「助けにきた。友達?が心配そうにしてたよ」
そう言って右ポケットをゴソゴソして、何か取り出す。明らかにあのポケットの容量を超えたビンを取りだして、
私に放り投げる。
「ほいポーション」
「うわっ!」
落としそうになりながらもキャッチする。
「もっと優しく、手渡しでして下さいよ」
「絶対キャッチ出来ると思ったんだよ」
「何を根拠に…」
私は文句を言ったが少年に反省の意は無いようだ。
偶然取れたけど私はキャッチボールとかは苦手なのだ。
私はなんだか少し苛立った。
本当に助けてくれるのだろうか?
「さぁさぁ遠慮せずに、飲めって」
そんな事言われると飲みたくなくなるが、
傷も痛むので飲んでみる。
私はいかにもポーションだといった風のビンの蓋を開け
水色の液体を飲み干す。
「おいしい…」
少し柑橘系の香りに甘さがあってとてもおいしい。
身体に染み渡るような感覚がする。
すると私の傷が凄い勢いで消え、何もなかったようになった。ポーションとはこんなにも効果があるのかと驚いた。
結構沢山やけどしていたのに全て治る。
「すごい効き目だろ?俺特製ポーションだ。」
確かに凄いけど…
見た目よりもどこか少し子供っぽい感じの少年だ。
私は悪魔をチラリと見た。
「危ない!」
私は叫んだ。悪魔が火の蝙蝠を少年に向かって放ったのだ。
「喰らいやがれ!」
「おっと、すっかり忘れてた。」
少年は振り返って、おもむろに右手をあげる。
その右手からは透明な水が滴っている。
その水が突然、重量に逆らって動き始め水の玉を形作った。
「水弾」
少年がそうい唱えた途端に水球から
水が複数に分裂し弾丸のように火蝙蝠を貫く。
ジュウー
と音を立てて火が鎮火される。
そして全ての蝙蝠を撃ち落とした。
それに悪魔が悪態をつく。
「クソがっ!なめやがって、なんだその格好は!」
「動きやすさを重視したらこうなったんだよね」
「ふざけんな!」
悪魔は黒かった肌を目に見える程赤く染めた。
飄々とした少年に怒り心頭だといった感じだ。
悪魔は更に大きな炎を宙に出した。
「キシシ、俺様のとっておきだ。『ディシーブボム』」
その炎の塊をそのまま投げる。
炎は蝙蝠とは比べ物にならないくらいの速さで
少年に迫る。
私は思わず目を瞑りそうになる。
炎が少年に当たる前に一気に拡散して少年の視界を奪った。その瞬間私は悪魔が搔き消えるのを見た。
そして少年の後ろに現れたのだ。
「転移…」
私はそう呟く。私にも使えるはずだが使えなかったスキル。
少年は火に気を取られているのか振り向きもしない。
「死ね!」
悪魔は紫色の長く鋭い爪で少年に振りかぶる
もうダメだ、私は顔を手で覆う。
「ニヒヒ、バレバレ」
そんな声が聞こえた。
ガキィン!
金属が凄い勢いでぶつかり合う音がする。
私は顔を上げてみると、
少年は振り返りもせず鞘を付けたままの日本刀を背中に回し爪を受け止めていた。
「オラァ!」
悪魔が力を込めるが全く少年の腕は微動だにしない。
無理な体勢であるはずなのに…
少年は左足を引きぐるっと回転して
右足で悪魔の腹を思いっきり蹴る。
「グハッ!」
どれだけの力が込められていたのか、
悪魔は吹っ飛んでいった。
漫画やアニメならキラーんと星が出るだろう。
それほどまでに見事に飛んでいった。
危機は去ったようだ。
少年はそのままこちらに向かってくる。
「大丈夫か?うん、大丈夫そうだな」
勝手に聞いて勝手に納得した。
しかし私に苛立ちはもうなかった。
圧倒的な戦いで全て、あの悪魔のように吹っ飛んだのだった。自然と口から言葉が出る。
「ありがとうごさいました!」
「どういたしまして」
これが私の運命を変える師匠との出会いだった。
次回からはチュートリアルの予定です。
ここで、苺の常識が狂います。
友達と合流後それがわかっていくようになるはず!
少年視点は物語の都合上書けません、
なぜなのかは後々
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