第5話 悪魔の恨み
少年はまだ出ませんでした。
苺は反撃に出ます。
今度は私の番だ
というのは、おそらくこの悪魔から逃げられないと思うからだ。私の飛ぶ速さに余裕でついてくる。
つまり、私がどれだけ逃げてもおいかけられるのだ。
このピンチを乗り切るためには、アイツを倒すしかない。
倒せなくてもせめて逃げる隙を作らないといけないだろう。
となれば私の攻撃手段は1つしかない、
「くらえ!」
私は悪魔に向かって杖を振る。前は見えなかったがなにか透明な力が悪魔へと向かう。
「キシっ?」
悪魔は気づいていないようだ。
その透明な力が悪魔にぶつかる。
「グハッ、くそが…!
そんな悪態がきこえる。
悪魔はよろよろと空から落ちた。
私は箒を走らせようとしたが
箒は急に浮力を失い、落ちていく。
しまった。これもMPで動いていたのだろう。
私は箒から降り、地面に立つ。
そして力の失った箒を持って走りはじめた。
ーーーあれから私はまた岩陰にいる。
悪魔はあれから見かけていない。
もう足も棒のようで走れそうもない。
私はステータスを出した。
HP19/30
MP0/50
となっている。やはりMPはすっからかんだ。
HPもかなり減ったようだ。
私は腕や足のやけど傷を見る。
どれも、現実世界のようなリアルな傷だ。
辺りは暗さが増してきている様に感じる。
もう夕方なのかもしれない。
私は思わずしゃがみ込んだ。
「怖かったあぁぁ〜」
思わず声が震える。
とても怖かった。ずっと堪えてきたが、本当に怖かったのだ。そんな時最も聞きたくない声が聞こえた。
「そうか、そんなに怖かったかキシシ。そりゃあ悪魔冥利につきるな。」
私は声の方を見上げる。
その悪魔は岩の上にしゃがみ込んでこちらを見下げている。
「キシシシシ、さっきは酷い目に合わせてくれたな?
ありがとうよ、ちゃんとお返しをしてやらないとな。」
怒りを露わにしその悪魔はまたもや
手に火を灯し、続けて言った。
「ファイアーバットズ!」
さっきは手加減をしていたのか
数十匹の蝙蝠の火の玉が現れる。
私は後ずさり距離を取ろうとした。
「くらえ」
悪魔は無表情で静かに言った。
その瞬間、辺り一面を真っ白に染めるような白い光が瞬く。
「くっ、なんだ?」
悪魔が呟いた。
悪魔は反撃されると思ってもいなかったので
激怒しています。
次回こそは少年、師匠が現れるはず…