4話 魔物生成
現在、俺は迷宮の外の森を散策中。
あれから数十分は経っているが、未だに魔物には遭遇していない。
「はぁー、全然魔物見つからないんだが。あいつ等、何処に居るんだ?」
流石に視界がずっと森だけ、ってのは精神的にキツいんだが。
あ、そうそう。
戦の天才があるからか、気配の探り方なんかはなんとなく分かった。
それでも魔物が見つからないから、既にかなり迷宮から離れてしまっている。
「ん?今の感じは………」
一瞬気配を感じたので、その方向に進む。
気配の消し方は、戦の天才のお蔭でなんとなく分かる。
木の上に隠れながら移動すると、その現場に着いた。
下では、二つの種族の魔物が互いを威嚇しあっていた。
(あれは……多分、コボルトとオークか?なんか言い合ってるけど………)
そういや、あいつ等にも言語があるのか?
そもそも、あいつ等って魔物で良いんだよな?
迷宮核の書に聞いてみる。
「『魔物であっています。ただし、知能が無い魔物は魔物、知能がある魔物は魔族となります。魔物、魔族が使用しているのは、魔族語です』……成る程。で、あいつ等は魔物か?」
それほど知能は高く無さそうだ。
同種族だけで、固まってる感じだな。
コボルトは三匹で、それぞれが剣、短剣、弓を装備している。
オークは一匹で、石斧を担いで、革鎧?を身に付けている。
お、戦況が動いた。
剣コボルトがオークに斬りかかる。
だが、オークはそれを避けもせずに、石斧を振り下ろす。
剣コボルトはそれをギリギリ防ぐが、耐えきれずに弾き飛ばされた。
しかし、そこに弓コボルトからの後方支援が入り、オークの追撃を阻む。
オークは思った通りに進まず苛立っているのか、唸りながらコボルトを睨みつけている。
(って、あれ、短剣コボルトは?………あ!居た!)
短剣コボルトはオークの後ろに回り込んでいた。
成る程、剣コボルトと弓コボルトが惹き付けて、短剣コボルトが奇襲するって訳か。
オークは気づいてないし、奇襲は成功して、コボルトの勝ちになるだろう。
「でも、それじゃあ困るんだよ」
「カヒュッ」
俺は木の上から飛び降りて、短剣コボルトの喉を斬り裂く。
短剣コボルトは一撃で動かなくなった。
因みに、今は人差し指を刃に変えていた。
隠密時はこういう方が、小回りもきくし良いかもしれない。
と、流石にそこにずっと立っていれば、オークもコボルトも気づく。
俺はこいつ等が動き始める前に、攻撃を仕掛ける。
最初は一番近くにいたオークだ。
全力で走って、すれ違い様に頭と胴体を分断する。
そのままコボルトに突っ込んで、剣コボルトの首も断つ。
流石に弓コボルトが動き始めるが、遅い。
矢を掴む前に心臓の辺りを突く。
弓コボルトはピクピクと動いていたが、直ぐに動かなくなった。
それと同時に、全ての死体が光の粒子になって、俺に吸い込まれる。
「終わったか。奇襲も上手くいったな。物品の章の確認は後にして、さっさと次を探すか。血の匂いで魔物が来るし」
流れた血は回収出来ないんだよなー。
迷宮からかなり離れてしまったので、今日はもう帰る事にする。
次は逆の方向に行ってみるか。
こっちよりは、何か見つかるだろうし。
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あれから数日後、核部屋、縁側。
色んな種類の魔物を倒して、倒して、倒しまくった。
その結果がこれだ!
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伍の章 迷宮の章
『生成可能魔物名簿』
・ウルフ
・ゴブリン
・コボルト
・オーク
・レッサーモンキー
・リザードマン
・ドルラー
・スパイダー
・スケルトン
・ゴースト
・ゾンビ
・スネーク
・ビートル
・フォックス
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いや、本当に大変だったよ。
主にゾンビとかゾンビとかゾンビとか。
俺の戦闘手段って肉体と龍炎ぐらいしか無いからな。
あの腐った肉を斬る感覚は、もう二度と味わいたくない。
「さて、じゃあ今度こそ造りますか!と言っても、何にしようか。最初に作るのは幹部だけにしたいしな」
うーん、悩むなぁー……よし、決めた!
「最初はゴブリン」
迷宮核の書から光の粒子が溢れ、庭に一匹のゴブリンが造り出される。
「次はコボルト」
「レッサーモンキー」
「リザードマン」
「ドルラー」
「スケルトン」
「フォックス」
順番に造り出されていく。
今、俺の前には七匹の魔族が居る。
緑色の肌をした、薄汚れた小鬼。
二足歩行の、黒い毛色の狼。
白い毛色の、身体の小さい猿。
緑の鱗を持った、いかつい顔のトカゲ人間。
大きな爪を持つ、つぶらな瞳のモグラ。
青白い火を眼に灯す、不気味な人骨。
艶やかな毛並みの、黄金色の狐。
全員の眼がこちらを向きく。
俺が目を向けると、全員が一様に身体を固くさせる。
何故だ?威圧なんてしてないんだが。
最初に造り出したゴブリンが他の魔族を代表して聞いてくる。
魔族語のスキルは既に取ってある。
「貴方が我々の王でよろしいですか?」
「おう、その通りだ。お前達は俺が最初に造り出した魔族だよ。それと、これから名前をつけるぞ。いちいち種族名で呼ぶのって、面倒臭いし」
俺の言葉に全員が驚く。
もう相手にしない。
「最初はゴブリンだ。ほら、前に出てこい」
「は、はい!」
こいつ、眼の色が普通のゴブリンと違うんだよな。
普通は濁った赤色なのに、こいつの眼は綺麗な真紅だ。
「お前の名前は、紅鬼だ。これからしっかり励めよ」
「はっ!この命に代えても!」
なんか忠誠心が高すぎな気がするんだが…。
まだ造ったばっかだぞ?
「じゃあ、次。コボルト」
「はい!」
こいつは、多分変異個体だろう。
普通は茶色い毛色だが、こいつは真っ黒だ。
「お前は黒狼だ。頑張ってくれ」
「はい!」
こいつもセンクと同じだな。
何でなんだか、全く分からん。
「次、レッサーモンキー」
「へい!」
こいつは、白い毛色が特徴かな。
レッサーモンキーは個体で毛色に差があるんだが、ここまで真っ白なのは初めてだ。
「お前は白猿だ。期待してるぞ」
「へい!頑張りやす!」
こいつもか……。
口調は軽いが、さっきの二匹と気迫は変わらないんだが……………。
「次は、リザードマンだ」
「はい」
こいつは眼が翡翠みたいな色をしている。
鱗も硬そうだな。
「お前は翠龍だ。期待に応えてくれよ」
「はい、必ずや」
こいつも同じかー。
少し無口な奴みたいだな。
「次、ドルラー」
「お、おす!」
こいつは、やっぱり爪が特徴かな。
茶色い大きな爪を持っている。
「お前は、茶竜だ。頑張ってくれよ」
「おす!頑張るっす!」
こいつもだなー。
なんか微笑ましい絵面になってるけど。
「次、スケルトン」
「………………」
こいつは正に人骨だな。
眼の部分で青白い火が妖しく光っている。
「お前は、蒼霊だ。頑張って働けよー」
「……………」
ソウリョウは頷いて元の場所に戻る。
スケルトンは喋れないのか?
「次は、フォックス」
「はいっ!」
こいつは綺麗な黄金色の毛色をしている。
個体によって様々だが、こいつは毛並みもいいな。
「お前は、金狐だ。頑張ってくれ」
「はいっ!頑張ります!」
元気だなー、こいつ。
なんか嬉しそうだし。
まあ、それはともかく。
俺は目の前に並んでいる全員を見て言う。
「皆、これから宜しくな!」
俺の迷宮主としての始まりだ!