第三話-概念の正体-
三話目です
終は絶句していた。
自身の世界の真相と本当の意味を知ってしまった。
悪魔によって作られた世界と自分自身・・。
長い沈黙の後に、悪魔が口を開いた。
「あははは。うける。その顔。」
言い返す気力すら、今の終の様子からは見受けられない。
「なんだよ、言い返せないのか?弱い奴だな。雑魚かよ。まあ、この状況ではそうするしかないもんね。」
「・・・るさい・・。」
「ん?なんか言ったかな?」
「うるさいって言ったんだよ!」
「逆ギレかよ。予想通りの反応だな。なんかムカつくからもっと落ち込んでもらおうかな~。」
「あ?」
「君の世界で戦争起こしてるのは人間たちだけど、そうさせてるのは私だから」
こういわれた瞬間、終はすでに分かっていた気がした。
最初に悪魔と言う風な自己紹介をされたときに・・世界の真相を知った時に・・。なんとなくわかっていた。創が全ての黒幕なのではないのかと・・。
「あはははは~。落ち込んだ?落ち込んだ?」
「いんや・・むしろ逆。」
「ん?」
終は確信があった。創を倒せば戦争が終わる・・。自分は戦争を終わらせに来たんだから・・こいつを倒せば、とりあえずあの世界の戦争や争いはなくなる・・。
「おい、創。俺と勝負をしないか?」
「ん?どうしたの?急に?」
「俺が勝ったら俺の願いを叶えろ。」
「では私が勝った場合は?」
「一生、お前の奴隷になってやるよ。」
正直言って願いの代償が割に合わないがそもそもなんで
「なんで、急に願いを叶えろなんて言うの?そもそもここに来た時点で君は無償で願い事を叶えることができたのに・・」
終が何故勝負などと回りくどい言い方をしているのか創には分からなかった。創は願い事を叶えてあげるつもりだった・・のではない。初めから願いなんか叶える予定なんかなかった。世界の真意を知った以上、もう元の世界に戻すつもりなんてなかった。
さっき言ったのは勝負事を止めさせるための方便で、実際のところそろそろ洗脳でもしようか考えていたところだったのだから、少し驚いている。
「勝負するの?しないの?」
「・・・。」
ここまでで、初めて創はだまった。
このことから、終は確信していた。
”やはり、願い事を叶える気などなかった・・”
そう感じたのは創が、願い事について最初に触れていなかったのがきっかけであった。
そもそも、もし初めから創が願いを叶える気であったのなら、願い事は?と聞いてくるはずだ。なのにこの悪魔は願い事よりも、質問に対して答えていた。一見これが願いを叶えているのではないか?と思ったのだが・・もし、そうなら願いかどうか確認してもいいはずだ。なのに、こいつはしていなかった。悪魔だから?いや、悪魔は契約を重んじるものである。その点からふまえると、この悪魔は願いを叶える気は無いという疑問が生まれたが先ほどの質問でそれが確信に変わった。
だとすると、やはり勝負に持ってこないとだめだろう。
そのため、悪魔が好きそうな賭け事に興じてみた。
そして創はこう答えた。
「いいよ。じゃあ、勝負をして君が勝ったら願いを何でも聞いてあげるよ。もし、君が負けたら私の右腕として永劫私の奴隷な。」
次回は悪魔と戦います。
お楽しみに。