プロローグ
ねぇ?
君は…×××はさ。
狂おしい程何かを願った事は無いかい?
どうしても叶えたい望みは無いかい?
…ふふふ
その顔だと有るみたいだね。
全てを犠牲にしてでも何かを叶えたい望みが。願いが。
…分からないな。
だって、君のその感情は『僕達』の役目と余りにもかけ離れているのだもの。
「完全」な『僕達』にあってはならない「不完全」なんだ。
まぁ…「不完全」な君だからこそ『僕達』とは違う道を見つけたのかもしれないね。
そんな君に『僕』から、とっておきの話を教えてあげる。
あははは。
そんな身構えなくてもいいよ。
うーんとね…あれだ、次のステージに進めた時に出るクリア特典とでも思っていてくれ。サービスサービス。
このご時世サービス精神にあふれた奴しか生き残れないのさ。ここテストに出るよ。覚えといてね。
『僕』は後輩には優しいのだよ。文化系部活並みのフレンドリーさが『僕』の持ち味なのさ。
そう。たとえば、今から殺される相手にこうやって情法提供するほどに…ね。
…おっと。話が逸れてしまった。ごめんね。ねんめご。
さて、本題に入ろう。君は、この街の近くにある「黄泉桜」と呼ばれる桜を知っているかい?
この桜。「望みを叶える」という『奇蹟』を起こす特別な桜だそうだ。
ふふふ…
まさに、君ぴったりな代物じゃない?でもね…
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彼女は走っていた。
ただひたすら走り続けていた。
自分が一体何のために生まれたのか
生きる意味を理解せず
終わらない生を貪り続け
今の現状をも理解せず
彼女は走り続けた。
「お母さん!今ね…人が ビルの 中に 入っていったよ」
「何を言っているの? 人がビルに入るのは普通でしょ?」
通りすがりの親子の会話を背に聞きながら彼女は走った。
しかし、突如彼女は壁に 当たった。
「~っ」
初めて味わう『 痛み』という感触に彼女は戸惑いを隠せなかった。
しかし、背後に迫る気配が近づいて来る事を察知した彼女は、その壁を乗り越え先に進んだ。
彼女が越えた壁にはこう書いてあった。
『県立 夜見桜ヶ丘高等学校』