表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使狩人   作者: 怒牙
5/6

真意



 男が恵の牢獄に訪れる数時間前ーー

「コイツが、例の……」

 男は、研究室らしき部屋にいた。そして、その周りには同じ服装をした人達。ただ、ローブの代わりに白衣を羽織っていた。科学者のような服装……。

「はい、この長峰恵は数年前、《聖天使ゼクアス》の出現によって家族を亡くしています。そして、現在ただ一人だけ、ゼクアスと接触してします」

 そう……恵を助けた天使狩人は死んだ。だから、長峰恵だけが《聖天使ゼクアス》の情報を知る者だ。問題は、そのことを記憶しているかどうか? だ。

 白衣を羽織った奴がこちらの意思を読み取ったかのように言った。

「長峰恵は、前々から天使狩人の批判を行っています。恐らく、家族を殺されたことがトラウマになっているんでしょう。その記憶も鮮明に覚えていると思います」

 そうか……覚えている、か…。覚えてないほうが、良かっただろうに。

 男は、フッと笑い。長峰恵が隔離されている牢獄へ向かった。


 時は現在に戻るーー

 恵は、いまだ自分に突きつけられた言葉が信じられなかった。

「長峰恵……お前を天使狩人に招待する」

 そう言い放ったのだ。招待する……と。

 ふざけるな……。

 人でなしに成れと? 

 ふざ……けるな。

 フザケルナ。

 フ…ザケ……ル…ナ。

「悩んでるっぽいな」

「ふざけんな!」

 怒りで反論した。

「俺は……お前らに…親を殺されたんだぞ! 天使狩人に!! そんな野蛮人になれるか! お断りだ!!!」

「……そうか、それは残念だな。こちらは、お前の親を殺した天使を知っているんだがな。それでも嫌と言うならしょうがないな」

 ……!! 親を殺した天使を知っている…だと? 

「ちょっと待て、親を殺した天使ってどいつだ?」

「《聖天使ゼクアス》だ。どうだ、コイツに復讐したくないか? 親を殺めたんだろ? なら、お前が殺せばいい。このまま、平和世界にいても意味がない! こい! 天使世界へ! 成れ! 天使狩人へ!」

 でも……天使狩人は、親を見殺しに………。

「お前が、天使狩人を嫌っているのは知ってる」

「だったら……なんで!!?」

「お前が変えてみせろ! 腐りきったと思うなら…………自分で正せ!! そして、証明しろ! 俺が変えるまで天使狩人は野蛮人の集いだったと! そのためには…まず天使狩人に成らねばならんがな」

 変える……この腐りきった奴等を変える……? そして、証明する……? 今まではこうだったと? そうすれば、こんなふざけた掟は無くなるだろう……。そんなことができるならーーーー。

「成るよ……天使狩人に……。成って、変えて、証明してやるよ!」

「話は終わりだ、長峰恵……共に来い! そして、共に戦うぞ!」

 恵は、座って痛みだしていた腰を上げた。上げる途中に、余計な思いは消えていた。ただ一つの思い……。


  変えて、証明してみせる


 そうして恵は、天使狩人への道をあるきだしたのだったーー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ