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天使狩人   作者: 怒牙
4/6

招待



 恵は、牢獄に隔離されていた。そして、頭には最後に言われた言葉が残っていた。「悪いのはお前で、正しいのが俺たちだ」と……。

 確かに、平和世界から見てみると恵は、おかしい人間だろう。しかし、それは恵の過去に関するから仕方ないことである。だが、おかしいのには変わりはない。これが、現実である。

 昔のことが蘇ってきた。暗く、音の無い部屋にいるからだろうか? 

 


 恵がまだ幼い頃……平和世界に来る前の頃だ。恵は、天使狩人に憧れていた。あらゆる脅威から、世界を守り人が危なくなったときは、雷の如く助けに行く……いわばヒーローだった。

 恵が住んでいた所は、平和世界に入れない人達の集まる場所なので一般的に『裏世界』と呼ばれていた。表の世界に出れず、裏の世界で生きる住人達の住みかだ。今は、全ての裏世界が無くなっている。異空間から成す平和世界が拡大されたからだ。

 その時のその場所では、朝……集まりがあった。天使狩人を崇拝するためだ。恵は絶対、参加していた。そこで、天使狩人の像に向かって手を会わせ、礼をする。それを二度か三度かするのだ。そして、通常の朝を迎える。

 皆がみな、手を会わせ、礼をするのだ。当時の恵は知らなかったが、これは裏世界で生きていくにあたり必要事項だったのだ。

 天使狩人を崇めない。

 天使狩人の像に傷つける。

 天使狩人の言うことは絶対。

 

 なぜなら、彼らのお陰で生きているのだから。

 生かしてくれる戦士だから。

 脅威から守ってくれるから。

 だからーーー


  敬意を示しなさい


  その身をもって


  崇めなさい


  敬いなさい


 これらが、必要事項だった。

 今考えるとバカらしい。こんなの狂っている。でもーー崇めないと捕まるから……。

 だから、恵は許せなかった。親を見殺しにし、それでも聖人顔できる天使狩人がーー許せなかった…………。

 その結果がこれだ……

「ハッハハハ」

 恵は笑った。自分自身を笑った。そしてーー泣いた…。こんなことに怒ってしまった自分に笑い、泣いた。自分が情けなかった……。

「狂ったか……」

 泣いていて気づかなかった。人がいた……それも、言われた言葉を言った人物だった。

 その人は、青黒い服を来てそれと同色のズボンも履いている。動きやすそうだ。そして、ローブを羽織っていた。

 次に発せられた言葉がまたもや、心に刻まれた。


「長峰恵……お前を天使狩人に招待する」


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