三人の罪人 狐の追憶
「あぁ、そうだ、そうだった……」
俺は、あぁ、そうだ、思い出した、思い出した。
俺は、この女を殺して、あの男に殺された。
あいつはたぶんこの女の彼氏か何かだったのだろう、それで、復讐に来て……。
俺は、俺はなにをしているんだ、こんな女に騙されて、それでカッとなって殺して、そいつの彼氏に殺される。こんな間抜けな話が他にあるだろうか、もう女を殺した時の怒りは無い、あるのはただ虚しさだけ、自分の間抜けさにそこの無い虚しを感じるだけ。
あの男が、急に取り乱して、屋敷を出て行ったのも、記憶を取り戻したからだろう。
そうかぁ、俺、死んだのか。
じゃあここは天国か何かということか、いや、あんことをしでかしたんだ。
きっとここは地獄だろう。
死後の世界なんてものを信じてはいなかったが、今実際に体験してしまったのだから、そう思うしかない。
しかし、この女は目の前に自分を殺した奴がいるというのに、嫌に落ち着き払っているな。
いや、きっとこいつはまだ、俺とあの男がそうだったように、まだ記憶が戻っていないのだろう。
あの男は取り乱して屋敷の外に出たが、もしかしたら、殺しに戻ってくるかもしれない。
一度殺した俺をもう一度殺しに、奇妙だが、実際に起こるかもしれない。
俺はソファから転げ落ちるように、離れると、男が出て行行った扉から反対側の扉に逃げ出した。
狐のようや女はどこから取り出したのか、タバコに火をつけると、一息に吐き出した。
まるで、この男2人が、こうなることをわかっていたかのように。
「そうね、私たちは罪人、許されることはない」
でも決して裁かれることはない、もう死んでしまったのだから。
誰も裁けない、裁く権利もない。




