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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
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90.遠き観測者

三つ目の爆発が、多重宇宙ニリオン第一層を揺るがした。


次元空間は割れそうなガラスのように震え、二つの宇宙的力が再び激突した。


巨人の重力とエテリアルエネルギーが拮抗する。


光の嵐の中に二人の姿が佇んでいた。


一方は第一層の番人。


もう一方は異次元から来た魔王。


アルロ・アシュヴァレンはまっすぐ前を見つめていた。


目の前には、フェルダの紫のオーラが死にゆく恒星の心臓のように鼓動していた。


二人はほとんど動かない。


だが周囲の空間は絶えず崩壊し続けていた。


フェルダは薄笑いを浮かべた。


「この多重宇宙はなかなか意地が強いな」


手のひらを開く。


エテリアルエネルギーが再び集結する。


だが今回はその規模がこれまでにないほど大きかった。


エネルギーの塊は膨張する。


恒星の大きさから。


星系並みの大きさへと。


アルロは動かない。


巨大な体は宇宙の柱のように静かに佇んでいた。


だが周囲の重力は徐々に変化していた。


見えない重力場が次元空間を曲げ始める。


フェルダは首を傾げた。


「まだ手加減しているのか?」


アルロは自然の摂理のように響く声で答えた。


「俺が手加減しなければ…この層はずっと前に崩壊している」


フェルダはゆっくり笑い出した。


「面白い」


手を掲げる。


エテリアル星塊が一気に飛び出す。


エネルギー塊が進むにつれ、次元空間は裂けた。


だが標的に届く寸前で――


アルロは拳を握りしめた。


宇宙的重力が爆発した。


エネルギー塊周囲の空間全体が巨大な渦のように歪んだ。


エテリアル星塊は止まった。


震える。


そして億万の光の粒子へと崩壊した。


崩壊によるエネルギー波が第一層全体を席巻した。


遠くにある小さな銀河いくつかは、まるで宇宙風に吹き飛ばされる砂のように即座に崩壊した。


フェルダは目を細めた。


「冗談じゃないな」


ほぼ同時に――


多重宇宙ニリオン第二層。


別の爆発が起きた。


宇宙的オーラとエテリアルエネルギーが激突する。


四騎の魔王将軍が同時に攻撃を仕掛けた。


ミロアは幻影のように動く。


パゴダは巨大なエネルギー槍を創り出す。


サストランは次元空間を切り裂くエテリアル嵐を放つ。


グレーターは純粋な力で空間をぶち壊す。


だが攻撃の中心に一人の姿が佇んでいた。


ルーサズ・リレス。


宇宙竜の鱗鎧が爆発の光を反射していた。


瞳は新たに誕生した恒星のように輝いていた。


片手を掲げた。


「『宇宙支配コズミックドミニオン』」


次元空間は瞬く間に変貌した。


宇宙的エネルギー場が星の網のように広がる。


ミロアの攻撃は鈍くなる。


パゴダの槍は震える。


サストランの嵐はエネルギーの破片へと砕け散った。


グレーターは眉をひそめた。


領域ドメインか?」


ルーサズは冷たく彼らを見つめた。


「この層は俺の守護下にある」


手を握りしめた。


宇宙的エネルギー場全体が一気に爆発した。


四騎のエテリアル将軍は次元空間の彼方へと吹き飛ばされた。


衝突による衝撃波が第二層を周回する他の世界へと襲いかかった。


星アストレヴァル。


軌道を巡る水晶の輪を持つ星。


エネルギー波が大気圏を席巻した。


空は裂けた。


水晶の輪は砕け散った。


わずか数秒で――


星は宇宙の破片へと崩壊した。


ミロアはゆっくり笑い出した。


「悪くない」


瞳は冷たく燃え上がった。


「だが我々はここまで来て、ここで止まるつもりはない」


ほぼ同時に――


多重宇宙ニリオン第三層。


静寂はわずか一秒だけ続いた。


そして剣が動いた。


一本の黒い線が次元空間を切り裂く。


「『虚無断罪ヴォイドセヴァランス』」


ウォルサー・ザギの剣は再び振り下ろされた。


目の前の空間は裂けた。


攻撃はシゲドンにほんの僅かに届かなかった。


だが魔王将軍は雷光のような速さで回避した。


次元空間の断片は遠く彼方へと飛び去った。


第三層を周回する世界がその影響を受けた。


星オリヴァス。


二つの衛星を持つ赤色の星。


わずか一秒で――


星は完全に二つに裂けた。


フジラは眉を上げた。


「面白い剣だ」


ウォルサーはゆっくりあくびをした。


「まだ眠たい」


手の中で剣を回した。


「だから早くしろ」


シゲドンのエテリアルオーラが一気に高まった。


「喜んで」


三騎の魔王将軍が同時に攻撃を仕掛けた。


宇宙の剣とエネルギーの嵐が激突する。


第三層は光と闇の戦場へと変貌した。


その頃――


戦場からはるか遠く離れた場所。


多重宇宙ニリオンの中心には広大な王国があり、その中に巨大な門が存在する。


門の中には二つの「終末のアルマゲドン」があり、第二のアルマゲドンの中で数人の存在が戦いを監視していた。


その一人がニメロスだった。


第二の第九終末の扉番人。


そばには竜と魔王の混血種がだるそうな表情で佇んでいた。


ヴェルドラだ。


周囲には他の者たちもいた。


ヴェルキラ。


ヴェルミラ。


スレイズ。


そして他の世界から来た二匹の魔王。


ヤイとスヴァルタ。


二人は青白い顔で目の前の光景を見つめるばかりだった。


遠くに――


アルロとフェルダの宇宙的な戦いは、まるで互いに喰らいあう二つの巨大な嵐のように見えた。


銀河は彼らが激突するたびに震えた。


ヤイは唾液を飲み込んだ。


「これ…が戦いなのか?」


スヴァルタは答えなかった。


ただ第二層で今起きた星の崩壊を見つめていた。


彼らの故郷の世界では…


ヴァウのような魔王は王国を滅ぼせる存在とされていた。


だがここでは――


星すら小さな破片にも満たない。


スヴァルタはやがて小さな声で語り始めた。


「もしヴァウ魔王のような存在がこの世界にいたとして…」


再び戦場を見つめた。


「一秒も持たないだろう」


ニメロスは二人の肩に手を置いた。


「心配するな」


声は静かだった。


「君たちは我が主の守る領域にいる」


ヴェルキラは不機嫌そうに腕組みをした。


「もちろんだ」


そして姉を見た。


「混血種が最初から問題を起こさなければよかったのに」


ヴェルミラはため息をついた。


「お姉ちゃんは本当に責任を取らなければならないわ」


ヴェルドラは頭を掻いた。


「ああ…あの件はな…」


スレイズはすぐに笑い出した。


「そうそう。ヌルヴァガナ星が半分壊れたのはお前の仕業だ」


ヴェルドラは肩をすくめた。


「全部俺のせいじゃない」


ヴェルキラは鋭く彼を見つめた。


「『お前が』始めたんだよ!」


ヴェルドラはすぐにスレイズを指差した。


「こいつもそこにいたんだ!」


スレイズはさらに大きな声で笑い出した。


ニメロスは長いため息をついた。


「もういい」


全員はすぐに静まった。


再び戦場の方を見つめた。


「この戦いがこのまま続けば…」


目を細めた。


「我々は宇宙的実体エンティティだから、第一層の銀河いくつかが崩壊する可能性がある」


ヴェルドラの方を振り返った。


「お前は何をすべきか分かっているだろう」


ヴェルドラはただ戦場の方をぼんやりと見つめていた。


そしてだるそうにため息をついた。


ずっと黙っていたヤイがやがて話しかけた。


「一つ聞きたいことがあります」


全員が彼女の方を振り返った。


「あの…『宇宙的実体エンティティ』とは何ですか?」


その質問で空気は一変した。


ヴェルキラは固まった。


ヴェルミラは言葉を失った。


スレイズは笑いを止めた。


ニメロスは答えなかった。


ヴェルドラさえも何も言わなかった。


全員が何かを思い出しているようだった。


この戦いや彼らの多重宇宙よりもずっと古い何かを。


そして――


物語の視点は移った。


遠くへ。


もっと遠くへ。


多重宇宙ニリオンからはるか遠く。


さらには兆の多重宇宙をも越えて。


そして彼らが属するオムニバース――「ヴォーサス・アセンダンシー・オムニバース」をも離れて。


そして


さらに遠くへ。


遠く、そして遠くへ。


数多のオムニバースを越えて。


そして


三次元空間にある宇宙の領域で。


そこには三次元に閉じ込められた太古のオムニバースが存在した。


その名は


オムニバース・ダフラベルザッツ。


静かな宇宙空間の中心に。


七人の存在が、まるで次元の玉座のような巨大なエネルギー構造体を取り囲んで佇んでいた。


彼らはそのオムニバースの支配者たちだった。


七つの「実体エンティティ」。


その一人がゆっくりと目を開いた。


「戦いは既に始まった」


別の実体は薄笑いを浮かべた。


「多重宇宙ニリオンがついに動き出したな」


三人目の存在は宇宙空間の彼方を見つめた。


「そして虚無の王は未だ気づいていない」


四人目の実体は低い声で語った。


「これは我々が待ち望んでいた機会だ」


五人目の実体はゆっくり笑い出した。


「彼らの番人たちは忙しいところだ」


六人目の実体は場の中心にあるエネルギー構造体を見つめた。


「私は自らの『物語のブック・オブ・ナラティブ』をそこで弄り、今動けば…」


一瞬言葉を詰まらせた。


「…あの多重宇宙は我々のものになるだろう」


そして一人目の実体がついに話し始めた。


声は静かだった。


だが周囲の宇宙空間を震わせるほどの力を持っていた。


「まだだ」


他の全ての実体が彼の方を振り返った。


「戦いに任せよう」


瞳はかすかに輝いた。


「多重宇宙が混乱すればするほど…」


見えない次元の彼方を見つめた。


「…我々が手に入れるのは容易くなる」


宇宙の彼方で


大いなる戦いは未だ続いていた。


そしてはるかに大きな何かが…


ついに動き出したばかりだった。

「次回更新: 3月 12日 21:00」

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