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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
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79.崩壊共鳴 - 螺旋生命軸の臨界

生命の螺旋軸スパイラル・アクシス・ヴィタエは天空でますます速く回転し続けていた。


かつて穏やかに流れていた宇宙光は今や、過剰なエネルギーを送り出さざるを得ない動脈のように鼓動し始めた。鼓動のたびに結晶平原の表面に波紋が生まれ、地上の螺旋模様は輝きと闇を交互に繰り返していた。


二つの集団は依然として向かい合って立っていた。


周囲を旋回する宇宙風は、死んだ星の破片のように降り注ぐ小さな光粒子を運んできた。


静寂はどんな衝突よりも重く感じられた。


ノロはまっすぐサタンの方向を見つめていた。


その視線には感情はなかった。敵意もなければ、敬意もなかった。


ただ観察しているだけだった。


サタンは凛と立ち、悪魔としての姿からは、まるで生きた影のようにゆっくりと鼓動する薄暗いオーラが放たれていた。


ソニャは歯を食いしばった。


「お前たち二人が知り合いなら…ここで本当に何が起きているのか説明してくれる人はいるのか?」


応えはなかった。


ユラは腕組みをし、冷たい目つきでノロを見つめた。


「…彼のオーラは周囲の次元構造を圧している。この地上にある存在のシンボルが彼から遠ざかろうとしているのさえ感じられる」


ニカはゆっくり頷いた。


「彼は単に世界の掟を破った者ではない。彼…はその定義を書き換えている」


やがてノロが話し始めた。


「サタン…」


その名前は抑揚もなく発せられた。しかし声の残響は二重の共振のように平原全体に広がっていった。


「予想していたより早く来たな」


サタンは無表情に彼を見つめた。


「この世界の創造主は決して道を外さない。ただ定められたしんぷに従っているだけだ」


シラナギは身構えた。


「…まるで世界の構造を内側から理解している二柱の神様のように話している」


タケルは体勢を低くした。


「こんな話の空気、俺は好きじゃねえ」


ノロはゆっくりと手を挙げた。


足元の結晶表面は光を吸い込むように漆黒に変わった。


「お前はまだあの力を封印している…そうだろう?」


ソニャは急いでサタンの方を振り返った。


「どんな力なの?」


サタンは眉を顰めた。


「ん…知る必要はない…」


「ふん…バカな…生意気なやつ」


サタンは応えなかった。視線は依然としてノロに釘づけだった。


「そしてお前は」とサタンはゆっくりと続けた「この世界の基盤から盗んだ能力を未だに利用している」


ノロの周囲のオーラが細かく震えた。


彼の背後にいる五人の護戒衆ゴカイシュは一斉に一歩前に進んだ。


周囲の空気は一瞬で緊迫した。


礼次郎は震えながら手を挙げて警戒信号を出した。


「全員…構えろ」


ヨルは音も立てずに短剣を抜いた。


ハルナはゆかりを支えて立たせた。その少女はまだひどく疲れていたが。


城四郎は長い息を吐いた。


「…彼らが戦えば、この平原は残らないだろう」


ノロは少し首を傾げ、依然として顔を隠したままだった。


「俺は何も盗んでいない。ただ人間に与えられるべきではないものを受け取っただけだ」


サタンは目を細めた。


「お前は自分の存在を安定させるために人間の道徳を消し去った」


「消し去ったのではない」ノロは穏やかに答えた「単純化しただけだ」


タケルは眉を上げた。


「完全に意味が分からなくなったぜ」


ユラは半歩前に進んだ。


「説明など不要だ。俺が気にしているのは一つだ…お前の存在が世界の均衡を乱していることだ」


一人の護戒衆が前に進んだ。


「混乱とは主観的な定義だ、魔将デーモン・エグアマよ」


彼の体の周囲に薄い黒いオーラが現れた。


ヒノカは即座に身構えた。


「…エネルギーの動きだ」


その護戒衆の足元の結晶地面は小さな円模様を描いて割れた。


予告なく――


ヨルが先に一気に駆け出した。


彼の体は加速された影のように動き、短剣の刃は護戒衆の喉元を目指していた。


衝突は一瞬のうちに起きた。


エネルギーがぶつかる金属音のような響きが鳴り響いた。


ヨルの攻撃は空中に現れた薄い闇の膜によって防がれた。


護戒衆は一ミリも動かなかった。


「…素早い攻撃だ。精度も高い」と彼は無表情に言った。


彼は一本の指を挙げた。


暗いエネルギー波がそっと爆発し、ヨルを数メートル後ろに弾き飛ばした。彼は安定して着地したが、呼吸は少し荒かった。


「自動防御か…」と彼はつぶやいた。


戦闘が勃発した。


ニカと黒住は即座に他の二人の護戒衆に突撃した。彼らの悪魔オーラは凍てつくような炎のように体を包み込んで燃え上がっていた。


タケルは跳び上がり、重力の拳で地面を叩きつけ、結晶表面に大きな亀裂を生じさせた。


礼次郎と城四郎は編隊を組んで、反対側から攻撃してきた二人の護戒衆を食い止めた。


エネルギーの衝突が平原全体に広がり始めた。


光と闇がぶつかり合い、周囲の空間に小さな亀裂を生み出していた。


だが――


すべての混乱の中で…


ノロとサタンは依然として立ったままだった。


動くことはなかった。


まるで周囲の戦闘が遠くの無関係な残響に過ぎないかのように。


ソニャはサタンの背後に立ち、心配そうに戦闘を見つめていた。


「…お前、彼らを助けないのか?」


サタンは振り返らずに答えた。


「彼ら自身でこの脅威の規模を理解する必要がある」


ソーニャは低く唸った。


「たまにお前が本当に悪魔なのかどうか忘れちまうよ」


ノロはわずかに微笑んだ。


「ふむ…彼は悪魔だ……この世界の歴史にある全ての悪魔とは違う悪魔だ」


上空の天空が突然震えた。


生命の螺旋軸は銀河の亀裂のように天空を切り裂く鋭い光を放った。


シラナギは目を見開いて上空を見上げた。


「…共振が上昇している!周囲の次元構造が衝突し始めている!」


一人の護戒衆が手を挙げた。


闇の波動が長槍の形を作り、そして貴族党キゾクパーティの方向に飛び去った。


ハルナはエネルギーの盾を作ろうとしたが、槍は霧のようにそれを貫通した。


まだ弱っているゆかりは反射的に手を挙げ、小さな防御光を呼び出して攻撃を数度ずらした。


エネルギーの槍は地面に激突し、数十メートルにわたる長い亀裂の峡谷を作り出した。


一瞬、全員が唖然とした。


その力は明らかに普通の攻撃ではなかった。


ユラはますます厳しい表情でノロを見つめた。


「…これがただの部下の力なら…お前自身はどのレベルなのか?」


ノロは応えなかった。


ただ少しだけ手を挙げた。


平原の周囲の空気が突然遅くなった。


生命の螺旋軸の光は回転の途中で凍りついた。


漂っていた全てのエネルギー粒子は凍った絵のように止まった。


ソーニャは息をのんだ。


「…彼は何をしているんだ…?」


シラナギは震えた。


「…彼は局所的な時間の流れを圧している…」


サタンがついに動いた。


一歩前に踏み出した。


周囲を包む暗いオーラはより強く鼓動した。


足元の結晶表面が割れ始めたが、それは物理的な圧力によるのではなく、現実が適応しようとしているためだった。


「…お前が融合させた超自然的な能力と悪魔の力…」サタンは静かに語った「…お前は自身を不安定のしんぷに変えてしまった」


ノロは深く彼を見つめた。


「そしてお前は…まだ限界のある存在であるふりをしている」


静寂が訪れた。


初めて、サタンのオーラがわずかに漏れた。


周囲の空気はまるで世界の皮膚がはがれかけたかのように震えた。


ソニャは即座に振り返った。


「…え…さっきのは何だ…?」


ノロは目を大きく開けた。


「なに?…つまんない…この悪魔は本当に違う、そして非常に面白い…」


上空の天空はさらに大きく割れた。


生命の螺旋軸スパイラル・アクシス・ヴィタエは回転方向を変えた。


シラナギは慌てて叫んだ。


「アクシス・ヴィタエが安定中心を失っている!」


次元の亀裂が平原の周囲に現れ始め、重なり合う他の世界の姿がかすかに見えた。


貴族党キゾクパーティ護戒衆ゴカイシュの戦いは、全員がその変化に気づいた瞬間、一時的に止まった。


結晶の地面は巨大な心臓のように鼓動し始めた。


ノロは空を見上げた。


「…我々の出会いを長く続けるには、この世界は耐えられないようだ」


サタンはゆっくりと顔を上げた。


「…ならば、先に進もう」


一瞬――


彼の目が薄く光った。


存在の圧力波が広がった。


平原にいる全員が即座にひざまずくか、よろめいた。


ユラさえも身構え、ひざが地面に届きそうになった。


ニカは歯を食いしばった。


「…この圧力は…力ではない…強制的に変えられる存在の定義のようだ…」


ノロは初めて笑った。


ほんのりとした微笑みだった。


「なるほど、お前は本当にあの強大な力を使う覚悟なのか…こんな世界で?」


サタンは応えなかった。


だが周囲のオーラは少しずつ高まり続けていた。


そして…微笑んだ。


アクシス・ヴィタエの天空が崩壊し始めた。


次元の亀裂は小さな渦に変わり、あらゆる方向からエネルギーを引き寄せた。


シラナギは叫んだ。


「このままだと…コトラト世界の全層が崩壊してしまう!」


ソニャは慌ててサタンを見つめた。


「やめろ!このままじゃ……俺…俺は世界を救えない」


サタンはついに少しだけ彼女の方を振り返った。


その視線は穏やかだった。


「はは」


「…これが彼を止めなければならない理由だ、ソーニャ」


ノロは手を下ろした。


周囲のオーラが変化し、背後にゆっくりと回転する暗い記号の輪を形成した。


五人の護戒衆は一斉に後退し、場を空けた。


「いいだろう」と彼は穏やかに語った「さあ見よう…虚無のラージャ・ニヒルは自身が創り出した破滅を食い止められるのか」


天空は完全に裂けた。


生命の螺旋軸は巨大な渦に変わり、水平線全体から光を吸い込み始めた。


結晶平原は紫色の光を放つ峡谷を形成するように割れた。


サタンはゆっくりと手を挙げた。


地獄からのオーラが広がった――


そして二つの力がぶつかる直前に――


上空に巨大な次元の亀裂が開いた。


その中から、他の世界がゆっくりと崩れ落ちる姿が見え始めた。


まるで二人の存在が…次元間の連鎖的崩壊を引き起こしたかのようだ。


全員は恐怖を込めて空を見つめた。


そして破滅の渦の中で


ノロとサタンは向かい合って立っていた。


そしてコトラト世界では、世界をさらに滅ぼす戦いが始まろうとしていた


二名の護戒衆、蓬莱簪ほうらい・かんざし水原妖傑みずはら・ようけつ全魔将デーモン・エグアマと対峙する。


さらに二名の護戒衆、獅子葉虚ろ(ししば・うつろ)と天霧光滅あまぎり・こうめつが貴族党と対峙する。


そして…最も強力な護戒衆、影剣心淵かげつり・しんえんがソーニャとシラナギと対峙する。


真の戦いが――


ついに幕を開ける。


そして即座に自身の力の一つの封印を解いた。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


次回、第80話は通常よりも長めのエピソードになる予定です。

物語が大きく動き出しますので、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。


「次回更新: 2月 14日 21:00」

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