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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
73/74

73.ノロという帰結

爆発の音はなかった。

空を切り裂く光もなかった。


その森はただ…本来あるべきよりも長く、沈黙していた。


風が消え去るはずのタイミングよりも早く、葉っぱは揺れるのをやめた。夜の虫たちは、脅威に怯えたのではなく、何かの到来を本能的に拒否したかのように、一斉に音を止めた。


そして広大な森の中心で


大地がわずかに色褪せた。


焦げているのでもなく、

ひびが入っているのでもない。


ただ…色彩を失ったのだ。まるで、その地点における「大地」という概念が、それを必要としない何かによって一時的に通過されたかのように。


その存在が立っていた。


落ちてきたのでもなく、現れたのでもない。


もともとそこにいたのだ。


背の高さは目立たない。体は古びた重ね着のような布で覆われていて、色あせ、幾つかの箇所は破れているが、それは年月のせいでは明らかにない。その布は肩、胸、腕、足、そして顔まで、すべてを覆い隠していた。


ただ一つ例外がある。


片目。

その目は開いていた。


大きくもなく、輝いてもない。


だが、その目が存在すると同時に、その前に広がる森は…小さく感じられるようになった。


ノロは動かなかった。


夜が呼吸を取り戻すまで、風が再び葉に触れる勇気を持つまで、迷い込んだ夜鳥が一度鳴き声を上げ、すぐに後悔したかのように沈黙するまで、長い間立ち続けた。


「……」


ささやきもなく、祈りもない。


ノロは世界に挨拶する必要はなかった。


世界はいつも先に自分を適応させてくるのだ。


そして歩き出した。


一歩前に踏み出すと、大地は崩れ落ちることはなかったが、屈した。足跡は残らなかった。まるで世界が彼の記憶を保存することを拒否しているかのように。


巨木の間を、一本も幹に触れることなく歩いていった。本来は道を妨げるはずの枝々は、力で押されたのではなく、自らの意思でわずかに移動した。


この森は広い。


非常に広い。


野生の生き物たちが通常は覇者となる場所。危険な魔物たちが文明から遠く離れて隠れている場所。


だが、誰も彼に近づこうとしなかった。

逃げ出したからではない。


彼らが彼の存在に気づいていないからだ。


ノロは立ち止まった。


片目は特定の方向を見つめていた。


前でもなく、上でもない。


ただ…下を見ていた。


根や岩の届かない遥かな地底で、何かが動いていた。物理的な動きではない。


システム。


本来混ざり合うことのないエネルギーの流れが、今、互いに接触している。奪い取られた痕跡。分離された痕跡。不注意な手の痕跡…そしてあまりにも辛抱強い別の手の痕跡。


「……まだ完全だ」と、ノロはついにつぶやいた。


声は大きくもなく、重くもなく、脅迫的でもない。


だが周囲の空気は微かに震えた。まるで世界が初めて、その声が自身の一部ではないことに気づいたかのように。


彼はわずかに手を上げた。


古びた布の下、指はゆっくりと動いた。印を結ぶのでもなく、魔法を発動させるのでもない。


ただ…数えているのだ。


一。

二。

三。


「五」と、彼は静かに言った。


声のトーンは平板だった。


だが、隠されていない小さな満足感があった。


「まだ完璧だ」


彼は手を下ろした。


片目には森の光の反射が映っていたが、それは完全なものではなかった。まるでその目が森を「場所」として見ているのではなく、はるかに重要な何かの上にかかる薄い層として見ているかのように。


「ドラゴンバーストは失敗した」と、彼は感情もなく言った。「彼らはいつも失敗する」


彼は歩き続けた。


一歩一歩、森の奥深くに進むごとに、その住人たち自身も気づいていない紛争の中心にも近づいていった。


遠くで、角の生えたオオカミのような巨大な魔物が頭を上げた。赤い目はノロの方向を見つめた。


体が震えた。


恐怖からではない。


本能が警告を発しようとしているが、何を恐れるべきか見つけられないからだ。


魔物は後ずさりした。


逃げるのではない。


理解できない何かに敬意を払うかのように、ゆっくりと後ずさりした。


ノロはそれに気づかなかった。


気にも留めていない。


「長く分離されたエネルギー…所有者を探しに行くだろう」と、彼はつぶやいた。


再び歩みは止まった。


片目は別の方向を向いた。


ラビリンスとは異なる方向。アクシス・ヴィタエとは異なる方向。サタンとは異なる方向。


だが、それでも…関わりがある。


「そしてその時が来れば」と、彼は続けた。「世界は選ぶことを強いられるだろう」


彼はわずかに頭を下げ、古びた布が風に吹かれて揺れた。


笑顔もなく、笑い声もない。


だが一つ明らかなことがある。


ノロは世界を破壊するために来たのではない。


この世界が利用するには十分に破損しているから、彼は来たのだ。


「動け」と、彼は見えない何かに言った。「俺はもう着いた」


森は再び沈黙した。


だが今度は


虚ろな沈黙ではない。


待ち構える沈黙だった。


そして遥かな地底、刻一刻と変化する回廊の中、止まることのないサタンの歩みと、揺らぎ始めたアクシス・ヴィタエの鼓動の間で


ノロの到着による最初の帰結が、ゆっくりと姿を探し始めていた。


ノロの歩みは速まらなかった。


彼は、焦る理由のない者のように歩いていた。なぜなら、前にあるものは何であれ


待つ以外の選択肢はないからだ。


森は変化した。


時間の経過によるのでもなく、天候の影響によるのでもない。


ただ、意味合いが変わったのだ。


ノロが歩く場所では、緑の色合いが次第に霞んでいった。葉っぱは落ちなかったが、成長する意志を失った。大地は死んではいないが、長く生命を支えることを望まなくなった。


そのオーラは圧し掛かるものではなかった。


終焉を誘うものだった。


片目がゆっくりと動き、まっすぐ前を見つめていたが、彼の目に映るのは木々でもなく、距離でもなかった。


彼は貫いて見ていた。


木を貫き、岩を貫き、空気を貫いて。


無生物は彼の目の前で透明になった。魔法のせいではなく、世界が彼に隠すほど重要な存在ではないからだ。


「……五」と、彼はつぶやいた。


可能性の数え上げではない。


人間の数だ。


数百メートル先の森の縁に、五人の存在が立っていた。煙とエネルギーの衝突の光に満ちた開けた場所を見下ろしている。


戦い。


計画された大規模な戦いでもなく、聖戦でもない。


単に、双方が我慢の限界に達した二組織の衝突だった。


遠くで、ノロ自身の所属する無徳明むとくめい組織の部隊・五魁衆ごかいしゅうが、ドラゴンバーストの残党と激突していた。エネルギーの爆発、絶叫、崩壊が相次いでいる。戦場の縁の森はゆっくりと燃え上がっていた。


だがその五人は戦いに加わっていない。


ただ見ているだけだ。


中央に立つ者は手を背中に組み、背が高く、構えは落ち着き、表情は満足げだった。


黒谷嵐羽こごらくばいな


黒夜叉隊ブラックヤニウエイターのリーダー。


彼の後ろには残された四体の部隊員が立っていた:クロ、イエン、タジュバ、モヤ。


彼らの顔は緊張していたが、目には計算高い光が宿っていた。


「彼らは相互に消耗し合うだろう」と黒谷は悠然と語った。「ドラゴンバーストは既に崩壊している。五魁衆も無傷では帰れない」


彼は小さく笑った。「そして我々は残り物を収拾するだけだ」


誰も気づかなかった。


木々の陰で、残り物を収拾する者がもう一人いることを。


ノロは立ち止まった。


彼は陰に立っていた。隠れているのでもなく、見えているのでもない。死のオーラは爆発することもなく、脅迫することもなかった。


ただ…存在しているだけだ。


片目は黒谷を見つめていた。


「……日和見主義のリーダーか」とつぶやいた。「世界もまた彼らを見返すことがあることを、最も早く忘れる種類だ」


彼は歩き出した。

一歩。


黒谷の四体の部隊員は、ほぼ同時に動きを止めた。


見たからでもなく、聞いたからでもない。


単に本能が切断されたからだ。


クロは素早く振り返った。「リーダー……」


言葉は途切れた。


自分の影が体よりも先に動き、足を大地に締めつけた。彼は傷もなく、絶叫もなく倒れ、呼吸が止まった。まるで世界が彼に呼吸を許すことを忘れたかのように。


イエンは後ずさりしようとした。


歩みは空中で止まった。まるで彼が歩いていた方向がもはや存在しないかのように。体はゆっくりと崩れ、目は開いたまま、困惑していた。まるで死が自己紹介もせずに訪れたかのように。


タジュバは絶叫し、能力を発動しようとした。

反応はなかった。


エネルギーが……応えなかった。


モヤは最後だった。


彼女はノロを見た。


ほんの一瞬。


それだけで足が力を失った。


黒夜叉隊の四体の部隊員は、一滴の血も流さずに倒れた。


抵抗もなく、

名誉もなく。


黒谷は凍りついた。


振り返らなかった。


だが満足げな笑みは次第に消えていった。

「……面白い」と彼は静かに語った。「第三の勢力か?」


ノロは彼のすぐ後ろに立っていた。


一歩の距離。

「勢力ではない」ノロは答えた。「締めの者だ」


黒谷は素早く振り返り、手を武器に伸ばそうとした——


だが世界が先に距離を閉じた。


彼は胸が詰まるような感覚を覚えた。圧されたのでもなく、刺されたのでもない。


単に…拒絶されたのだ。


「ノ…ノロ……なぜここにいる……」


ノロの片目がまっすぐ彼を見つめた。


怒りもなく、残虐さもない。


ただ…誠実だった。


「時代を誤読した」ノロは平板な調子で語った。「そして君は、自分のものではない森に立っている」


黒谷は絶叫しようとした。


声は出なかった。


体は次第に「リーダー」として、「脅威」として、「重要な存在」としての姿を失っていった。


彼はひざまずき、


そして崩れ倒れた。


攻撃によって死んだのではない。


単に世界が、彼の存在を継続させる必要がないと判断したからだ。


ノロは彼の横を歩き過ぎた。


振り返らず、確かめもしない。

彼は知っていた。


彼は森の縁に立ち止まり、今や収束し始めた戦場を見つめた。


炎は一つずつ消え、絶叫は疲労のため息に変わっていった。


そして荒廃の中に


五人の存在が立っていた。


彼らは「五魁衆」——無徳明組織のノロの部隊だ。


体は傷だらけで、呼吸は荒かった。


だが彼らの周囲には、もはやドラゴンバーストの者はいなかった。


組織の構造も、象徴も、何もかもが消えていた。


混乱の中心にあるはずのサオ・バイ組織も——


姿を見せなかった。


ノロは片目を細めた。


「……つまり君は消えたのか」とつぶやいた。「敗北したのではなく」


彼は小さく頷き、まるでそれが満足のいく答えであるかのようだ。


「分かった」


彼は体を向け直し、古びた布がそっと音を立てた。


「それなら……君が再び現れる時、迎えるのは俺だ」


彼の歩みは戦いから遠ざかり、勝者から遠ざかり、敗者からも遠ざかった。


だが彼の足跡は——


これまで分断されていたすべての物語の筋を結びつけ始めた。


そして再び沈黙した森の中、傷のない死体、戦いもなく崩壊した組織、指揮官のいない戦場


一つの無言のメッセージが刻まれた:


ノロは闘いの場に登場した。


そして今度は、


勝利のために戦う者は誰もいない。


全員ただ、


彼の目から逃れて少しでも長く生き延びるために戦っているのだ。

「次回更新:2月 2日 21:00」

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