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70.世界がまだ普通だと嘘をつく場所

彼らは歩いていた。


急いでいるわけでもない。

のんびりしているわけでもない。


むしろ…明確な方向も示さず、何かに呼ばれているような感じだった。


ロヨダ市の人里離れた通りは、徐々に明かりを落とし始めた街灯の下に延々と続いていた。夜はまだ完全に訪れていないが、昼もとっくに去っていた。時間はまるで動き出す許可を待っているかのような、ぎこちない位置にあった。


先頭にいるソニアは、手を後頭部に組み、まるでいつもの夕暮れの散歩のように軽やかな足取りで進んでいた。


そばを歩くシラナギは、より整然とした歩みで、目を光らせながら時折周囲を見回していた。言葉は発しないが、明らかにあまりにも多くのものに気を配っていた。


列の中央には、五人の悪魔エグアマが群れをなして動いていた。


彼らの中で一番前を歩く影爪ユラは、表情は穏やかで、まるで指導者であることを改めて主張する必要もないような態度だった。

シャケミニカは小さくあくびをし、尻尾がだらだらと揺れていた。

黒住コウヤは自分たちの壁に落ちる影を見つめていた。

八尋ヒノカはまだ体が弱く、夜叉コウガイの胸元にもたれかかっていた。

そして長男の夜叉コウガイは、片手でヒノカを抱えながらも、少しも重そうに見えなかった。


そして最後尾に——


サタンがいた。


足取りは重くもない。

軽やかでもない。

まるで自身の体重すら、この世界に完全に受け入れられていないかのようだった。


ソニアは少し後ろを振り返った。


「おい、サタン」

と彼女はくつろいだ口調で言った。


「俺たち、結局どこに行くんだ?」


サタンはすぐに答えなかった。

彼はそばの街灯を見上げた。


街灯は一度きらめき…それからまた安定した明かりを取り戻した。


「…歩けば分かる」

と彼は短く答えた。


ソニアは一瞬足を止め、後ろ向きに歩きながら体を半分向けた。


「んー…全然役に立たない答えだぞ?」


応答はなかった。


サタンはただ歩き続けていた。


彼の心の中では、その言葉をかみしめていた。


なぜ人間は、言葉にできる目的を必ず求めるのだろう?


やがてシラナギが声を上げた。


「サタン。文句ではないが…何かが合っていない」


サタンはゆっくり頷いた。


「ある」

と彼は簡潔に言った。


「それは?」ソニアはにやりと笑った。「まるで最初から知ってるみたいだけど?」


「知ってるわけじゃない」

サタンは答えた。


「ただ…この世界が、あまりにも大きな声を出し始めただけだ」


ニカは小さく声を上げた。「世界が声を出すなんて?」


「お前がうるさく喋るのをやめれば、聞こえるかもしれないな」

黒住は平淡な口調で返した。


「おい」


ユラは後ろを振り返り、サタンの方を見た。


「それはどんな種類の異変ですか、サタン様?」


サタンは歩みを止めた。


すると他の者たちも自然と立ち止まった。


彼は普通に見える先の道を見つめた。古い家々。ひび割れた壁。低く垂れ下がった電線。


「起こっている異変は」

彼は静かに言った。


「力によるものではない」


しばらく沈黙が続いた。


シラナギは眉をひそめた。「つまり…?」


「侵略ではない」

「直接的な紛争でもない」

「意思によるものでもない」


彼は少し考えてから付け加えた。


「むしろ…世界が自身を抑え込むのに疲れ始めたようなものだ」


ソニアは目を見開いた。


「まったくな、サタン…今日一番意味不明な言葉だな」


「はは!」

サタンはそれに応えた。


彼の心の中では、小さな混乱が気になっていた。


なぜ俺は説明しようとしたのか?

彼らが理解しようがしまいが、どうして俺は気になるのか?

ああ…!うるさい、これはあまりにも難しい。


彼らは歩き続けた。


一歩ずつ、一歩ずつ。


街は…あまりにも静かに感じられた。


叫び声もない。

騒ぎもない。

普段はうるさいはずの街にしては、あまりにも整然としすぎていた。


ヒノカはコウガイの腕の中で少し動いた。「コウガイお兄さん…寒い…気がする…」


にもかかわらず、空気は変わっていなかった。


コウガイは言葉も発せず、抱きしめる力を強めた。


ユラは再び立ち止まり、今度は全身を向けてサタンを見た。


「これが、サタン様が私たちを連れてくる理由ですか?」


「ああ…」


「そして説明しなかったのは…?」


「説明したら」

サタンは答えた。


「君たちは避けようとするだろう」


ソニアは鼻で嗤った。「それが悪いことなのか?」


「ああ…」


「け—、まあそんな答えはやめろよ…なんだよ、でもなぜ?」


サタンは立ち止まった。


長い間、立ち尽くしていた。


彼は自分の手を見つめた。


「…この異変は」

彼は静かに言った。


「避けられるものではない」


シラナギは深呼吸をした。


「つまり、世界全体に影響を及ぼすということか」


「既に始まっている」

サタンは答えた。


「俺たちは気づくのが遅れただけだ」


ソニアは眉を上げた。


「まるで映画を見ていて結末を知っているみたいな話し方だな」


サタンは彼女の方を振り返った。


「ん…それは違う」


ソニアは言葉を失った。


「もし俺が結末を知っていたなら」

サタンは続けた。


「こんな歩き方はしなかった」


その言葉にソニアは目を大きく見開き、さらに長い間黙り込み、少し考え込んでいた。


サタンの心の中では、また小さな違和感が湧いてきた。


なぜ俺がそんなことを言うと、彼らの顔が変わるのだろう?

それは…心配なのか?

分からない。だが…俺はあの人に約束した。ずっと友達でいて、一緒にいることを。


彼にはよく分からなかった。


彼らは狭い路地を通り過ぎた。路地の先にある灯りは、彼らが近づいた瞬間に消えた。


闇。

一歩。

それから灯りは再び点いた。


ニカは唾を飲み込んだ。「わかった…偶然じゃないよね?」


「もちろんだ」

サタンは答えた。


黒住は薄笑いを浮かべた。「面白いな」


ユラは手を上げた。「集中しろ」


サタンは彼らを追い越して進み、今度は少し先頭寄りの位置に立ったが、やはりソニアとシラナギと並ぶことはなかった。


「もうすぐ着く」


「どこに?」ソニアは反射的に聞いた。


サタンは振り返らずに答えた。


「世界が」

彼は言った。


「全てがまだ普通だと偽っている場所だ」


沈黙が訪れた。


やがてソニアは少しガツガツしたような小さな笑いを浮かべた。


「知ってるか?」

彼女は言った。


「時々、君は話し方が物語のラスボスみたいだよ」


サタンは立ち止まった。

振り返った。


「ではお前は?」

と彼は平板な口調で聞いた。


ソニアは目を見開いた。「え?」


「なぜここを歩いているんだ?」


ソニアは数秒間黙っていた。


「…世界が滅びようとしているなら」

やがて彼女は言った。


「怒るのにふさわしい場所にいたいからだ」


サタンは長い間彼女を見つめた。

それからまた背を向けた。


「…変な理由だな」

と彼は言った。


「でも本当の気持ちだ」

と彼は薄笑いを浮かべながら付け加えた。


彼らの足取りは再び進み始めた。


そして普通に見える街の壁の向こう側で——


何かが動き始めていた。

生き物でもない。

エネルギーでもない。

意思でもない。


ただ、長い間重荷を背負い続けていた現実に、細かい亀裂が入り始めただけだった。


サタンは足取りを速めなかった。

これ以上警告もしなかった。

彼はただ歩いていた。

感じながら。


そして未だに完全には理解していなかった——


崩れゆく世界の全ての出来事の中で、


一番気になるのは、


一緒に歩く彼らの足音だということを。


視点:ソーニャ

忘れられない路地


ロヨダ市はいつも鉄と汗の匂いがした。


叫び声、荒っぽい笑い声、そして近すぎる足音——それが当たり前だった。


だがあの日は違った。


学校裏の路地は狭く、壁一面に落書きが塗りつぶされていた。街灯も半分消えていた。


そして私は一人だった。


彼らは突然現れた。


一人でもなく、二人でもない。


逃げるには数が多すぎた。


あの時、馬鹿げたことを考えていたのを覚えている。


ああ…ここなんだね。


すると別の足音が響いた。


慌てていない。

怒ってもいない。

迷ってもいない。


一人の足音だった。


彼は路地の先に立っていた。シルエットは闇の中に静かに佇み、英雄のような構えもなければ、大げさな台詞もなかった。


ただそこにいた。


「エヘム。」


あの時私はとても怖かった。

それから——


彼は言った。「ごめんな…俺の顔はこんなもんだ」。

詳しいことは覚えていない。


ただ、体が倒れる音だけが残っている。


そして世界が突然…少し軽く感じられたことだけは覚えている。

気がつけば路地は空っぽだった。


彼以外は。


サタン。


彼はそこに立ち、少し私の方を振り返っていた。

彼の目はこの街の人々とは違っていた。

渇いていない。欲張っていない。残酷でもない。卑猥でもない。


怖い…だけどそれほどでもなかった。


「俺の名前は…うーん…ああ、そうだ。この世界では『異変の魔王』って呼ばれてる」

と彼は尋ねるように言った。


私は頷いた。


それだけだった。


約束もない。

理由もない。

だがあの日から、彼はいつもそばにいた。


それこそが私を怖がらせた。

心の中で何度も尋ねた。


本当はどこから来たの?

ロヨダの住人でもない。

この世界の者でもない。

俺たちと同じように反応しない。


怒るべき時に怒らない。

逃げるべき時に怖がらない。

なぜ私と友達になろうとするの?


私は誰でもない。

強くもない。

ただ…生き残っているだけだ。


そして一番言い出せない問いかけ:


私を置いて行かないよね?

わがままだとわかっている。

この街は燃え、世界は壊れている。

そして彼は…一つの場所に留まるにはあまりにも大きすぎる。


サタン、君の世界はどうなっているの?

帰る場所はあるの?

それとも私のように、帰る場所がないから歩き続けているだけ?


あの日、もし君がその路地にいなかったら?

この問いの答えは知りたくない。


俺たちの足取りは前に進み続けていた。


気がつけば自分の歩みが遅れていた。


シラナギが振り返った。「ソニア?」


私は顔を上げ、深呼吸をした。


「大丈夫だよ」

と私は落ち着いて答えた。


それは嘘ではなかった。

ただ…残りの想いを胸にしまっているだけだ。


彼らは歩き続けた。


後ろではサタンがくつろいだ様子で歩き、ソニアの方を見ていた。

だが今のサタンは人の心を読む力を封印していたので、彼女の考えは聞こえなかった。


でも彼は見ていた。


彼女の表情を。


少し迷うような足取りを。


後ろではなく、前を見つめる瞳を。


いつの間にか彼が一瞬立ち止まったのか、自分でも気づいていなかった。


いつの間にか頭を上げ、煙に覆われたロヨダの空を見上げたのか、気づいていなかった。


だが私は知っていた——


なぜか、胸が少し軽く感じられたから。


サタンの心の中で、決して口に出さない言葉があった:


もしこの世界が平和になったなら…

もし彼らの足取りが痛みから解放されたなら…

俺は君の弟を蘇らせる。


シラナギの弟も。

報いでもない。

約束でもない。


ただ…


理由もなく君たちが笑えるように、と思うからだ。

置いて行きたくない。


だが彼は知っていた——


もしこの世界がもはや自分を必要としなくなり、

ここに何も見つからなくなったなら——


彼はまた歩き出すだろう。


別の世界へ。

別の物語へ。

そしてなぜか…


彼は振り返らないだろう。


だって彼が私の前を歩いている限り、

俺たちの足音が響き合っている限り——

私は信じることを選ぶ。

今日という日が続く限り、

彼はここにいる。

それで十分だ。

「次回更新:1月 27日 21:00」

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