65.再会と、次の鼓動
ユカリの要請前
その廊下はまだ「生きていた」。
比喩ではない――本当に呼吸し、鼓動し、単一の存在の意思に従って変化していた。かつてまっすぐだった壁がゆっくりと湾曲し、床は波の最中で凍った水のようにうねっていた。
そしてその全ての中心に、笹目ユカリは立っていた。
動かない。
走らない。
慌てない。
他の者たちとは違う。
彼女の前には、コトラト世界の中心であるアクシス・ヴィタエが、はっきりとした形もなく浮かんでいた。光はまるで決して瞬かない巨大な瞳のように回転し、この果てしない廊下全体がまるでそれに直接つながる神経のようだった。
ユカリは静かに拳を握った。
「まだ分かれているのね」
声は低く、疑問ではなく断定だった。
遠くの廊下が震え、まるで応えるかのようだった。
アクシス・ヴィタエは声で話さない。
その答えは直接意識に届いた。
――そうだ。
ユカリはため息をつき、顔を上げた。
「ひとつ、お願いがある」と彼女は言った。
「彼らを出会わせろ」
アクシス・ヴィタエの「瞳」がより強く鼓動した。
――あなたの望むような形でか?
ユカリはしばらく沈黙した。リスクを知っている。自分が請うているのは「助けて」ではないことを知っている。
「怖がらせろ」と彼女はやがて言った。
「逃がせ。動かせ。ただ……」
声は低くなり――
「壊さないで」
廊下はこれまで以上に激しく震えた。
――要請、受理する。
遠くで、廊下たちが攻撃的に変化し始めた。影が動き、偽りのシルエットが友人の顔、見慣れた姿、ほとんどそっくりだがいつも少しだけ違う声を上げて現れた。
ユカリは目を閉じた。
彼らを感じられる。
レイジロウ。
タケル。
ヨル。
ハルナ。
ジョウシロウ。
怖がっている。だがまだ生きている。
ユカリは目を開けた。
「導いて」と囁いた。
「私が案内する」
アクシス・ヴィタエは拒まなかった。
廊下は安全な道ではなく、選択を強いる道を開き始めた。
そしてその全ての中で、ひとつの名前がアクシス・ヴィタエの意識に浮かんだ。
――妄撃邪。
場面転換
妄撃は一人で目を覚ました。
彼のいる廊下は他とは違っていた。偽りの影もなければ、友人の声もなく、分岐する道もなかった。
ただの空間。
黒く。
静かで。
そして狭かった。
「おい……これは何だ?」
つぶやくと、反射的に武器を掴んだ。
その瞬間、目の前の空間が折りたたまれた。
開くのではなく――まるで世界が無限の穴に飲み込まれるように、自身の中へと折りたたまれた。
何かが現れた。
生き物でもなければ、怪物でもない。
――存在。
考える前に、見たものに名前をつける前に、妄撃は膝がふらつくのを感じた。
――罪人。
声は大きくなく、威圧的でもない。
むしろあまりにも静かだった。
――この道にあなたの存在は不要だ。
妄撃は叫び、持てる全ての技、全ての暴力を、考える間もなくぶつけた。
だが全ての攻撃は、何にも触れる前に消えていった。
空間そのものが彼を拒んでいた。
――部分的抹消、開始する。
廊下は崩れ落ち、光は真っ白になった。妄撃の声は途切れ、まるで世界が耳を塞いだかのようだった。
そして意識がひとつ鼓動したとき――
彼は死ななかった。
移されたのだ。
コトラト世界すらその存在を認めない場所へ。
ユカリへ戻る
ユカリは小さく体を震わせた。
「……彼は排除されたのね」
アクシス・ヴィタエは否定しなかった。
――主要路線から脅威は排除された。
ユカリはしばらく目を閉じた。
「ありがとう」
微笑むことはなかった。
今起きたことが終わりではなく、ただ将棋の駒を動かしただけだと知っている。
ユカリは前に歩み出した。目の前の廊下は、一人が通るのにちょうどいい細い道を開いた。
「では……」とつぶやき――
「私が迎えに行く番だ」
遠くで、かすかな叫び声が聞こえた。
レイジロウ。
ヨル。
そしてだんだん近づいてくる足音。
アクシス・ヴィタエは静かに鼓動した。
――ゲームはまだ終わっていない。
ユカリは目を開け、まなざしは鋭くなった。
「分かっている」
そして果てしない廊下に入ってから初めて――
ユカリは微かに微笑んだ。
果てしなき廊下は動き続けていた
無作為ではなく――強制的に動いていた。
レイジロウは先頭を走り、足が重くなり始めても呼吸は整っていた。タケルは左横についており、何度か振り返り、まだ眠っているショウヤが置いていかれていないか確認していた。
「この廊下……」タケルは息切れしながら言った。「曲がり角がどんどん増えてる」
「道を間違えているんじゃない」レイジロウは短く答えた。「導かれているんだ」
急なカーブ。
廊下は狭くなる。
それからまた広がる。
彼らは突然立ち止まった。
目の前に――
ハルナは立ち尽くしており、片手はまだヨルを抱きしめていた。少女はまだ完全には離れず、顔をハルナの胸元に隠している。まるで離せば世界がまた崩れ落ちるかのようだった。
廊下の脇には、ジョウシロウが一人で立っており、背中を壁につけていた。目つきは鋭いが、体は落ち着いていて、慌てても誰も助からないと悟った人のようだった。
「……ハルナ?」タケルの声は小さく、ほとんど信じられないようだった。
ハルナは振り向いた。目が少し大きくなり、安堵のため息をついた。
「生きてたんだな」短く言った。
ヨルはやっと顔を上げた。目はまだ濡れていた。
「レイ……ジ……ロウ……?」声はためらいがあり、まるでこれがまた別の幻覚だと恐れているようだった。
レイジロウはすぐに近づかなかった。廊下を見回し、突然の歪みがないか確認した。
「本物だ」やがて言った。「本当に会えたんだ」
ヨルはすぐにハルナをさらに強く抱きしめた。
「行かないで」早口に言った。「もう消えないで」
ハルナはヨルの髪をそっとなでた。
「誰も行かない」
ジョウシロウがやっと声を上げた。
「この廊下は少し前から変化してる」と彼は言った。「圧力が違う。まるで……制御中枢があるようだ」
レイジロウは静かに頷いた。
「『ようだ』じゃない。確かにある」
ほぼ同時に――
彼らが踏む廊下から遠く離れた場所で、笹目ユカリは静かに立っていた。
アクシス・ヴィタエは彼女の指示通りに動いていた。
廊下たちは調整され、残された道筋は強制的に合流していた。
「よし」ユカリは短く言った。「彼らが出会い始めた」
だが別の震動が、より激しく、より重く忍び寄った。
廊下からではない。
妄撃邪が隠された空間からだ。
アクシス・ヴィタエは存在の一部をそちらへ向けた。
そしてユカリは知っていた――妄撃の抹消はまだ終わっていない。
廊下はついに静止した
安全だからではなく――
動くのを止めたからだ。
ずっとゆっくりと回転していた壁が今は固まり、まるで空間自身が息を潜めているかのようだった。青白い光が空中に浮かび、どこからも来ず、温もりも与えなかった。
ヨルはまだハルナにしがみついていた。
手はハルナの衣を握り締め、体は少し震え、呼吸はまだ完全には落ち着いていなかった。
「ハ……ハルナ……」小さな声だった。「廊下……もう追いかけてこないよね?」
ハルナは少し顔を下げ、そっとヨルの頭をなでた。
大人が小さな子供をなだめるような、そんなタッチだった。
「大丈夫だ」落ち着いて言った。「まだ追いかけてきてたら、君はもうずっと前から叫んでるはずだ」
「だって……もう叫びたくないんだ……」ヨルはささやくように答えた。「怖いのが疲れた……」
ジョウシロウは彼らから少し離れた場所に立ち、冷たい廊下の壁にもたれかかっていた。視線は周囲を掃引しており、過度な警戒ではなく、何かを計算しているようだった。
「この廊下は変化を止めた」と彼は言った。「お前たち三人が出会ってからだ」
ヨルはハルナの背中越しに覗き込んだ。
「だから……私だけが感じてるんじゃないの?」
「もちろんだ」ジョウシロウは答えた。「この空間は俺たちの動きに反応している。あるいは……俺たちの選択に」
廊下の向こう側から、静かな足音が聞こえた。
レイジロウとタケルが近づいてきた。
タケルは首筋をなで、顔は疲れているが小さく微笑んでいた。
「本当に……ずっと回り続けるんだと思ったよ」
「もしそうなっていたら」レイジロウは静かに言った。「俺たちを止めたい者がいるってことだ」
全員の視線が彼に向いた。
レイジロウは廊下の端に立ち、体は動かず、視線は光が十分に届いていない闇の先へとまっすぐに向けられていた。
まるでそこに何かを見ているようだ。
形でもなく、生き物でもない。
ただ……方向だ。
彼らには見えない遠くから、ユカリは息を潜めた。
レイジロウの顔がはっきりと目の前に見えた。
静かで、集中している。
そしてなぜか、仲間に囲まれているのに一人きりに見えた。
――いつもそうだよね、とユカリは静かに思った。
前に立っているけれど、決してリーダーだとは言わない。
拳を静かに握った。
本当に……直接会いたい。
全て大丈夫だと言いたい。
でも……今はまだだ。
奇妙な音が響いた。
足音でもなく、風の音でもない。
金属がゆっくりと擦れる囁きのようで、廊下の壁からやってきて、はっきりと捉えられる前に消えていった。
ヨルは反射的にまたハルナに寄りかかった。
「あ……あの音はまた何だよ!」
ハルナはため息をついた。
「この廊下は俺たちに安らぎを与えたくないみたいだな」
タケルは静かに笑い出した。
「正直、突然すべてが静かになった方が怖いよ」
まるでその言葉に応えるように、音は止んだ。
静かだ。
あまりにも静かだ。
レイジロウは振り向かず、やっと話し始めた。
「俺たちは迷っていない」
ジョウシロウは眉を上げた。
「早い結論だな」
「出会わされているんだ」レイジロウは続けた。「……優しくない方法でだが」
ヨルは唾液を飲み込んだ。
「だから……あの全ての恐怖は」
「偶然じゃない」レイジロウは言い切った。
タケルは周囲を見回した。
「それなら、誰かが見張っているってことだな」
ユカリは一瞬目を閉じた。
――そうだ。
でも君たちを傷つけるためじゃない。
廊下はそっと震えた。脅威ではなく、合図のようだった。
壁の光が少し動き、別の方向への道を開いた。
強制するのではない。
まるで言っているようだ――進んでもいいよ。
ハルナはヨルを見た。
「まだ歩けるか?」
ヨルは小さく頷いた。
「……置いてかれない限りは」
「誰も置いてかない」ハルナはすぐに答えた。
彼らは一緒に歩き始めた。
その瞬間――
別の場所で。
果てしなき廊下の遥か上空で。
崩れ落ちたドラゴンバーストの本部の瓦礫の中で、ひとつの体が動いた。
ショウヤは目を開けた。
視界は霞んでいる。呼吸はせき込むようだった。
「……他のヤツら……?」静かにつぶやいた。
彼は下で何が起きているのかまだ知らない。
だがひとつは明らかだ――
物語はまだ終わっていない。
そしてコトラト世界は……
ついに再び動き始めた。
「次回更新:1月 17日 21:00」




