54.竜牙砦・共鳴する意志
竜牙砦地下、震える闘い
地下深く、ドラゴンバーストの本拠地が激しく震えた。瓦礫と塵埃が舞い上がり、玲二郎と猛撃蛇は死闘を続けていた。部屋の片隅に倒れて昏いた猛は、体一つ動かせないほど弱々しく見えた。息は絞り出されるように浅く、唇から細い血筋が流れていたが、その瞳は玲二郎に向け、焦燥に満ちた声を漏らした。
「…がんばれ…」
猛撃蛇は悠々と立ち、弱った獲物を見下す捕食者のように玲二郎を見つめた。その体の一挙手一投足には獰猛な力が宿り、ただ一歩を踏み出すだけでも既に崩れかけた床をひび割らせた。
玲二郎の息は荒れ、瞳は焔のように燃え上がっていた。手にした槍の穂先からは震えるような炎が輝き、牢獄の壁の亀裂からその光が猛撃蛇に射し込んだ。彼は知っていた。勝つためには、部屋の片隅に輝く全ての力の源であるエネルギーボールを手に入れなければならないのだ。
猛撃蛇の攻撃が一層速くなった。右の鉄拳が玲二郎に襲いかかる——彼は体を回してかわすが、二つ目の打撃が周囲の瓦礫を粉々に砕いた。玲二郎は後ろに吹き飛ばされ、壁に激しく叩きつけられた。
ドゴン!
猛撃蛇の膝蹴りが彼の肋骨に襲いかかる。激しい痛みが全身に広がるが、玲二郎は耐えた。瞳が部屋を掃き、エネルギーボールの位置を確認した。これが唯一のチャンスだと悟った。
一息を呑み込み、彼は跳び上がり、空中を滑るように飛びかかり——その手がエネルギーボールに触れた瞬間、閃光が裂け目を作った。
玲二郎の体が震え、灼熱のオーラが周囲の空気を焼き尽くすように膨らんだ。彼はボールとの接触を通じ、自身の力と猛の残りの力を吸い込んでいった。
「…今か、それとも永遠に失うか!」——心の奥で叫んだ。
猛撃蛇は満足そうに笑い、玲二郎を面白い玩具のように見つめた。彼は疾走し、拳を打ち、蹴りを込め、獰猛な連続攻撃を浴びせかけた。玲二郎は槍で受け流し、穂先の炎がさらに強く燃え上がった。両者の衝突ごとに小さな爆発と火花が散り、塵埃が空中に舞い続けた。
倒れたままの猛は、玲二郎と猛撃蛇の足音を聞き、少しだけ頭を上げた。かすかな残りの力で精神を集中させ、遠くから玲二郎に向けて——物理的な攻撃ではなく、純粋な覚悟の波動を送った。
「玲二郎…諦めるな…俺は君を信じてる!」——猛の思考が空気を震わせた。
玲二郎はその推力を感じ取った。瞳が一際鋭く輝き、深く息を吸い込んで槍の握りを締めると、猛のエネルギーが自身の反射神経とスピードを高めていくのを感じた。
猛撃蛇の蹴りが玲二郎の腹に当たる。彼は数メートルも吹き飛ばされ、大きな瓦礫に叩きつけられた。口から血が溢れ、体は激しく震えた。猛撃蛇は笑い、床の猛を見下した。
「くそ弱いな!」——低い笑いと共に罵った。「お前は俺の邪魔者に過ぎない!」
猛は残りの力で玲二郎に小さく頷いた。その瞬間、玲二郎はその意思を読み取った。物理的な攻撃ではなく、戦略——集中力とスピード、そしてエネルギーボールを使うのだ。
玲二郎は槍を掲げ、瞳に炎を宿した。常識を超えるスピードで猛撃蛇に突き進み、槍を回して彼の手の攻撃を逸らし、次いで胸元に突き刺そうとした。猛撃蛇はかわすが、玲二郎は跳び上がって体を回し、槍の穂先で彼の脇腹を切り裂いた。
両者の動きは速く、的確で、互いの呼吸を読み合うように続いた。崩れかけた床は震え、瓦礫が舞い、鉄同士の衝突音が地下の空間に響き渡った。
倒れた猛は一つ一つの動きを見守り、時折息を呑んだ。彼は精神的に呼吸を整え、再び集中力の波動を玲二郎に送り続けた。玲二郎の攻撃、防御、一歩一歩が、今では一層的確で均衡の取れたものになっていった。
猛撃蛇は初めてプレッシャーを感じた。玲二郎の力が飛躍的に上がったわけではない——だが彼の反射神経と攻撃の調和は、まるでひとつの体に二人の魂が宿っているかのようだった。
「…そんな…不可能だ」——猛撃蛇は苦々しく笑いながら囁いた。「お前…俺を困らせるだけの価値は…あるな!」
玲二郎はエネルギーボール、そして倒れた猛を見つめた。一つの過ちが二人を滅ぼすことを知っていた。彼は跳び上がり、空中を滑りながら連続攻撃を浴びせかけた。猛撃蛇は応酬するが、玲二郎の一撃一撃は猛の精神エネルギーに支えられ、益々速く、予測不可能なものになっていった。
ガシャン!
猛撃蛇の背後の壁が崩れ落ち、塵埃が一気に舞い上がった。だが彼は集中を乱さず、床の一部を粉々に砕くような拳で玲二郎に襲いかかった。玲二郎はかわし、槍を回し、自らの体で打撃を受け止めた。
猛は半身昏いながらも微かに笑顔を浮かべた。自分の精神的な推力が、玲二郎を危機の中で立たせ続けていることを感じたのだ。
玲二郎はエネルギーボールの方向に跳び、突き、払い、槍蹴りを繰り返して攻撃した。猛撃蛇はかわしながら全力で蹴りを込め、衝撃が床の瓦礫を砕き、牢獄に新たな亀裂を作った。
怒りを募らせた猛撃蛇は全身の力を込めて攻撃し、玲二郎は部屋の片隅に追い込まれそうになった。体はよろめき、息は絞り出されるようになった。猛は恐怖を感じながらも、最後の推力——集中力のエネルギーを玲二郎に送った。
「玲二郎…集中…君にはできる!」——猛の思考が彼に届いた。
玲二郎は全身の力を集結させ、槍に灼熱のオーラを集中させ、一気に三段攻撃を放った。猛撃蛇は最初の二撃を受け止めるが、三撃目は彼の脇腹に確実に命中した。
猛撃蛇は転がり、数メートルも滑り続けた。だが彼は立ち上がり、瞳に怒りの炎を宿した。
「…なかなかだ」——彼は微かに笑いながら囁いた。「お前…今度こそ俺を真剣にさせたな」
両者は互いの瞳を見つめ合った。玲二郎は両手で槍を構え、猛は床に座り、残り少ない呼吸を整えていた。足元の床の亀裂は広がり、塵埃が舞い続け、狭い空間に全てのエネルギーが集約されていった。床は大きく崩れかけ、両者は一歩一歩を慎重に踏み出さなければならなかった。
玲二郎が跳び上がる。猛撃蛇はそれに応えるように、弱った床に蹴りを込めた。衝撃の爆発が足元の床を崩し、両者はさらに深い地下の広大な回廊に落ちていった。
猛は吹き飛ばされ、玲二郎は数メートルも転がったが、すぐに息を荒らしながら立ち上がった。
一方、ゆかり、よる、はるな、そして翔也を抱える譲史郎は、玲二郎と猛を助けるための武器を探していた。彼らは広大なドラゴンバーストの本拠地を上っていき、目の前に広がる高エネルギー兵器の列と、ガラスの水槽に入れられた人間たちに呆れ気味に目を見開いた。
ゆかりは呆れたように呟いた。「なんで…こんな武器を置いていくんだろう…?」
はるなはうつむき、考え込んだ。「もしかしたら予備兵器なのかも。持ち歩くには力が強すぎるから…」
よるは震えながら答えた。「え、ええ…まるで…戦争がずっと前から準備されていたように…」
譲史郎は翔也を床に置いて休ませ、兵器たちを見つめた。「俺たち…二人を救えるのか?」
全員が力強く頷いた。「もちろんだ!」——ゆかり、よる、はるなが声を合わせて叫んだ。
譲史郎は笑い、倒れた翔也を見つめた。「うん、もちろん…俺たちがすべきことだから。この武器を持って、仲間を助けに行こう」
彼らは兵器を手に取り始め、手のひらから脈打つようなエネルギーを感じ、玲二郎と猛を助ける準備が整った。
果てしなく広がる地下回廊で、玲二郎と猛は立ち、体は震え、息は荒れていた。猛撃蛇は血と貪欲に満ちた笑みを浮かべて見つめていたが、回廊の残された空間は狭く、両者の一挙手一投足には慎重さが求められた。
猛は力尽きそうになりながらも再び精神を集中させ、玲二郎に向けて覚悟の波動を流し続けた。二つの魂は再び戦いの構えを取り、互いを見つめ合い——この闘いはまだ終わっていないことを知っていた。
地上では、仲間たちは脈打つエネルギーを宿した予備兵器を手に、新たな生命感を得ていた。ゆかりは回廊の方向を見つめ、胸の鼓動が速くなるのを感じた。
「玲二郎…君を…失いたくないの」
地下では、闘いは再び幕を開けようとしていた。玲二郎と猛は、広大な回廊の中、崩れかけた床と散らかる瓦礫、刻一刻と熱くなるエネルギーのオーラの中で、猛撃蛇に立ち向かう準備が整っていた。
そして今、地上にも新たな激突が迫りつつあった——
「次回更新:1月 1日 20:20 / 21:00」




