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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
53/74

53.均衡が崩れる前に

竜撃砦ドラゴンバースト地下牢


竜撃砦の地下は、彼らの闘いだけではなく、地上で何か巨躯が動き出しているせいで、ゆっくりと振動していた。天井から塵埃が舞い落ち、薄暗い照明がちらつき、亀裂だらけの牢屋の壁には影が乱舞するように揺れていた。


その空間の中央に、猛撃蛇モウゲキジャが安らかに立っていた。


身体中に小さな傷が無数にあったが、一つとしてその動きを鈍らせるものはなかった。呼吸は安定し、瞳は鋭く、笑みは獰猛だった。


その前には、猛がふらついていた。膝はもう少しで地面に着くところだった。


ドンッ!


猛撃蛇のパンチが猛の頬に打ち込まれた。


猛の身体は弾み飛び、石の床の上を転がり、やがて片膝をガチッと打ちつけて止まった。立とうとしたが、猛撃蛇は既にその上に立っていた。


ガラック!


猛撃蛇の足が猛の背中を踏みつけ、地面に押しつけた。


「立つのはやめろ」猛撃蛇は低く笑いながら言った。「遊びはまだ終わってねえんだから」


猛は歯を食いしばった。視界は霞み、胸は苦しく、一息するたびに肺の内側から刺さるような痛みが走った。


空間のもう一方で――


零次郎は牢屋の壁を突き破るように飛ばされた。


身体は鉄の壁、そして石、さらにもう一つの壁に打ち当たり、やがてボロボロになって倒れた。その衝撃は、計算されたような蹴りが胸に直撃したものだった。


猛撃蛇はちらりと向きを変え、微笑んだ。


「一つは仕舞いだ」


零次郎は動かなかった。


塵埃が身体を覆い、槍は手元から数メートル先に飛ばされていた。遠くに小さな崩落音が響いた。


静寂。


一秒。


二秒。


三秒。


闇の中で、零次郎の記憶が灯った。


猛……結花……他の仲間たち……


瞳が突然開いた。


「っ!」


ガヘッと息を飲み込み、深く息を吸うと、痛みが全身を襲ってきた。肋骨は折れたように感じられ、胸は焦げ付くようだった。だが思考は明晰だった。


ここで倒れてはいけない。


零次郎は頭を上げて目を凝らした。


エネルギー球。


静かに輝き、周囲の混乱を知らんぷりにしていた。その中の光は回転し、彼ら全員の力を宿していた。


空間のもう一方で、猛撃蛇は足を上げて猛を再び打ちつけた。


グアッ!


猛は薄い血を吐き、身体が震えた。


猛撃蛇は大声で笑った。


「自分自身を見ろ」と彼は言った。「お前はただの障害物だ、弱虫野郎め」


猛は頭を上げようとしてまた倒れた。


その瞬間――


零次郎が立った。


怒りは爆発するようなものではなく、冷たかった。彼は歩みを進め、瓦礫をかき分け、片手で槍を拾った。刃には小さな炎が灯り、大きくはないが密度の濃いものだった。


猛撃蛇はまだ向きを変えていなかった。


零次郎が動いた。


一息を吸い込み、猛撃蛇の背後に現れた。


叫びもなく、予告もなく。


槍は頭へと駆け抜けた。


スヒュッ!


猛撃蛇は半インチだけ回転し、槍の先端は頬のすぐそばをかすめた。


だが零次郎はそれを予測していた。


手が素早く回転し、身体は踏み込み、そして――


ドゴン!


槍が猛撃蛇の胸に打ち込まれた。


炎が一瞬だけ炸裂した。


猛撃蛇は半歩ほどよろめき……そして素手で槍を受け止めた。


皮膚から煙が立ち、笑みはさらに広がった。


「生きてるのか」彼は満足げに言った。「よしだ」


彼は槍を引き寄せ、零次郎を近づけるように迫り、膝を打ちつけた。


ドンッ!


零次郎は横に弾み飛び、転がり、一気に立ち上がった。


今、二人は対峙していた。


猛は後ろに倒れ、立つことができなかった。


「……俺を……気にするな……」彼は弱々しく囁いた。


零次郎は振り向かなかった。「黙って。耐えろ」


彼はちらりと横を見た。


エネルギー球。


猛撃蛇はその視線の先を察し、笑った。


「ほう?」と彼は言った。「お前はそれを欲しいのか?」


彼は飛びかかってきた。


ドンッ!


猛撃蛇のパンチは零次郎が槍の柄で受け止めたが、それでも後ろに押しやられた。床が亀裂し、壁が振動した。


外からは再び大きな振動が伝わってきた。まるで巨人が街の上を歩いているようだ。


零次郎は決断した。


左手でエネルギー球に触れた。


光が閃いた。


身体は激しく震え、自分と猛の力を同時に引き寄せた――全部ではなく、一部だけ。その流れは荒々しく、未熟で、危険だった。


背後で猛は身震いした。


「ック……!」


エネルギーが吸い上げられ、視界はさらに暗くなり、意識を失いそうになった。


だが零次郎はさらにしっかりと立っていた。


槍の炎は重く、より制御されたものに変わった。


猛撃蛇は瞳を細めた。


「なるほど」と彼は言った。「仲間から盗んでるのか」


「借りてる」零次郎は冷たく答えた。「必ず返す」


二人は激突した。


動きは飛躍的に速くなった。


零次郎は速い突きで攻撃するが猛撃蛇は受け流し、肘で返せば零次郎は槍を回し、炎が猛撃蛇をかすめ、彼は飛び込んで肩で打ちつける。


グアッ! ドンッ! ガラックッ!


一撃ごとに壁や天井に新たな亀裂が入り、塵埃は雨のように降り注ぎ、鉄と石がぶつかる音が響き渡った。


外ではゾルントラが足を止めた。


サオ・バイはロヨダ市の前に五体のローゼボルが立ちはだかっているのを見て瞳を細めた。


「これが答えか、ノロ……」


だが地下では――


零次郎と猛撃蛇は均衡を保っていた。


猛撃蛇は笑い、呼吸は少し荒くなってきた。


「面白い」と彼は言った。「お前は俺を本気にさせたな」


彼はさらに激しく攻撃してきた。


零次郎は押されながらも立ち上がり、再び攻撃した。


炎が灯り、槍が回転し、パンチが打ちつけられる。


猛は残り少ない意識で零次郎の背中を見つめていた。


耐えろ……


再び大きな振動が空間を揺るがし、天井の一部が崩落した。


だが零次郎は後退しなかった。


彼は槍を掲げ、猛撃蛇を見つめる瞳は静かで決意に満ちていた。


「ここで倒れない」彼は低く言った。「俺たちが出るまでは」


猛撃蛇は微笑んだ。


「そうだな、見てみよう」


二人は再び互いに駆け寄せ、次の激突が竜撃砦の地下牢全体を揺るがした。


闘いはまだ終わっていない。


そして彼らの上の世界も、爆発する準備をしていた。

「次回更新:12月 30日 20:20 / 21:00」

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