45.ブラックヤヌアトール
ロヨダ市へ
コトラット地方の空は灰色だった。
森は徐々に疎らになり、冷たい風がささやくように吹いていた。
その瞬間――
ドゴンッ!!
地が鳴り動く。
靄の向こうから、七メートルもの身長を誇る人型モンスターが現れた。体は生きたコンクリートのようにひび割れており、ソーニャは反射的に神経を尖らせた。このモンスター、かつて対峙した記憶があった。
シラナギが一歩前に踏み出した。
「任せろ」
ソーニャは顔を向ける。
サタンは鎌の姿で静かに佇んでいた。
シラナギ VS 七メートルのモンスター
モンスターは唸り、腕を振り下ろす。
シラナギは深呼吸をした。
姿勢を低くし、平然としていた。
白い光が体の周りを流れ、空気は竜の鱗のように渦を巻いた。
「竜珀の技」
白竜。
一歩を踏み出すと同時に、シラナギの姿は消えた。
フラッシュ――
光の軌跡が空中を弧を描く。
モンスターは凍りついた。
頭から足元まで、一本の白い線が横切っていた。
その瞬間、モンスターの体は整然と二つに裂け、やがて光の粒子となって消え去り、まるで存在しなかったかのようだった。
静けさが訪れる。
ソーニャは……
見とれ、呆れ、息を忘れていた。
「キ、キレエ!! すごい!! シラナギさんって本当にすごいの!!」
シラナギはすぐに小さく慌てた。
「え、ええっ?! い、いや普通だよ……」
(にっこりと笑い、頭を掻く)
サタンは小さく震えた。
「ブルルル……すごいすごい……だから早く行こう」
シラナギはソーニャに向け直す。
「こんなモンスター……お前が闘った時も消えたのか?」
「うん。まったく同じよ」
鎌は震え、サタンはパターンを捉えた。
「ソーニャ。シラナギ。新しい情報だ」
「この人型モンスターは……人間の実験体だ」
シラナギは目を細めた。
「……ドラゴン・バーストか」
「そうだ」
(サタンは最初から知っていたにもかかわらず、肯いた)
ロヨダ市
彼らは既に市に到着していた。
一歩一歩と入っていく。
ロヨダ……は無人だった。
人の姿はどこにも見当たらず、風の音と、落ちている看板、そして死んだような建物だけがあった。
その瞬間――
ドバアアン!!
一つ……二つ……
十体の七メートル人型モンスターが彼らを囲んで現れた。
サタンは鋭く震えた。
「構えろ」
ソーニャは鎌をしっかり握り締めた。
シラナギは深呼吸をした。
「行こう」
遠く、崩れた建物の屋上から――
一人の男が悠々と歩き出し、鋭い目で彼らを見つめていた。
コゴラク。
ブラック・ヤニュエイターのリーダー。
「強いエネルギーだ……」
「あっちの方だな」
男は薄く微笑んだ。
「さあ。行こうか」
影が動き出す。
大きな闘い……が正式に始まる。
ロヨダの風は止んだ。
十体の七メートル人型モンスターが円を作って立っていた。
彼らの目は空っぽで、体はひび割れ、生きた機械のように鼓動していた。
ソーニャの手にある赤黒い鎌が震えた。
「行こう」
一歩前に踏み出すと同時に――
ソーニャが消えた。
最初のモンスターが岩ほど大きな拳を振り下ろす。ソーニャはその下をすり抜け、回転しながら斜めに斬りつける。赤い光が空を裂き、モンスターはよろめき、エネルギーの破片となって消え去った。
後ろから二体のモンスターが同時に襲いかかる。
ソーニャは跳び上がり、空中で体を回転させ、鎌は軌道のように体の周りを回る。円を描くような斬撃。二つの巨体は動きを止め、同時に消えた。
「集中しろ、ソーニャ」
「止まるな」
サタンは冷たく、平然と、鋭く言った。
一方で、シラナギは音もなく前に進んでいた。
三体目のモンスターが地を叩きつける。シラナギは髪の毛ほどの隙間で避け、足の裏を地面に一撃つけ、まっすぐ前に跳び上がった。
パンチ。
エルボー。
脛に向けた真っ直ぐなキック。
動きは速く、スッキリと、効率的だった。
「貫電刃 後段」
白い竜の残像が一時的に背後に現れる。空拳で一撃。モンスターは空気の圧力で裂け、消え去った。
残り四体が一斉に襲いかかる。
ソーニャとシラナギは交差するように動いた。
ソーニャは崩れた建物の壁を走り、滑り降りながら上から斬りつける。シラナギは攻撃の下を忍び込み、体を回転させ、関節の要所を叩く。
二人の動きは言葉一つ交わさずに同調していた。
五体目が倒れ、六体目も続く。七体目が逃げようとした瞬間――ソーニャの鎌が三日月のように弧を描き、それを止めた。
「逃がさないよ」
赤い光が横切る。
残り三体が一斉に唸る。
地がひび割れ、埃が舞い上がる。
ソーニャは息を呑み、目を鋭く絞り、動きを計算していた。
一歩。
二回転。
三回の速い斬撃。
八体目と九体目が消えた。
最後の一つ――
シラナギはゆっくりと前に進んだ。
「もういい」
一歩。
一つの技。
一筋の白い光。
最後のモンスターは音もなく消え去った。
静けさが戻る。
埃はゆっくりと落ちていく。
ソーニャは立ち尽くし、肩を上下させ、手はまだ鎌を握り締めていた。
「ハア……ハア……」
鎌は小さく震えた。
「どうした、ソーニャ?」
「疲れたのか?」
「まだだ。前に敵がいる」
ソーニャは動かず、顔を向ける。
「敵?」
「どこ? もう終わったじゃないの?」
シラナギはすぐに緊張し、表情が真剣に変わった。
「サ、サタンの言う通りだ」
「前に……何かがある」
「そして彼は強い」
二人は同時に顔を向けた。
建物の向こうから、影が動き出す。
一つ……二つ……数十……数百……
足音が通りを満たす。
ソーニャの手にある鎌が一際震えた。
「検知数」
「三百六体」
わずか0.001秒の後、ソーニャとシラナギは反射的に言おうとしたが――その言葉は既に出ていた。
シラナギは鎌を見つめ……そして小さく笑った。
「……速いな」
ソーニャに向け直す。
「気をつけろ」
「包囲してくる」
ソーニャは力強く頷いた。
「はい」
遠くから、一人の姿がゆっくりと前に進んでいた。平然と、悠々と、鋭い眼差しで。
彼らのリーダー。
ソーニャとシラナギは目を細めた。
「サタン」
「彼は誰だ?」
答えは短く、平板だった。
「コゴラク」
ただそれだけ。
にもかかわらず……
サタンはすべてを知っていた。
ソーニャは握りを強め、シラナギは体勢を低くする。
三百六体の者たちがゆっくりと動き、円を作っていく。
ロヨダの風が再び吹き始めた。
大きな戦い……
今こそ始まる。




