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虚無王ザラビスは退屈している  作者: 釘宮・連
ザラビスの起源に関する注釈
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41.復活

地下回廊のささやき


地下回廊は長く、冷たく、どんな音も飲み込むように造られていた。黄色い薄暗いランプがゆらゆらと点滅し、まるでこの気だるい空気に誘われて眠りにつこうとしているかのようだ。そんな重苦しい空間を、ひとりの人間と、ひとつの……何かが悠々と歩いていた。


サタンは、東京の男優並みに端正な容貌をしつつ、どこか「普通じゃない」空気を纏った人間の姿をしていた。手を後頭部で組み、のんびりと歩き出す。そばには、寡黙でカリスマ的な冷たさを放つ青年・白凪が、少し頭を垂れながらサタンの話に耳を傾けていた。


「だから俺がコトラット世界に初めて降り立った時……」サタンは悠長な声で語り始める。「空が割れちまって、地面がガクンと揺れたんだ。そして俺は隕石みたいに降りてきた。めちゃクールだったぜ。それからソーニャに会ったんだ。あの時彼女はすぐに俺が変わった存在だと察してくれて、だから俺は彼女を助けた。単純だろ?」


白凪はゆっくりと頷く。「そうか……君の旅路は思ったより辛かったんだね。」


サタンは満足げに微笑む。心の中では「この話の8割は作り話だ」と知っていながら、白凪が信じてくれているように見えるのが、まるでプロの物語り手みたいで気持ちが良かった。


白凪は正面を見据える。「だが……ひとつだけ聞きたいことがある、サタン。」


「ん?」


「なぜ……君のような存在が人間を助けるんだ? 君は明らかに人間じゃない。俺には感じられる。」


サタンはためらいもなく答えた。


「うん。」


「……うん?」


「そうだよ。ただ、飽きちまったから。」


白凪は足を止める。「ハハッ? そんなレベルの理由?」


サタンは肩をすくめる。「飽きるってのは大事だぜ。強い存在だってストレスを感じるんだ。」


白凪はため息を深く吐く。「俺……君の思考回路は本当に理解できない。」


「いいじゃん。」サタンは平然と答える。「俺自身も自分のことは理解してないし。」


白凪は長い間サタンを見つめる。「…………」


サタンもそれに応酬するように見つめ返す。「…………」


そして、何もなかったかのように歩き出す。


「君はもう一度だけ聞いていいって言ったよな?」白凪が尋ねる。


「いいよ。回廊の終わりに着く前に、聞きな。」


白凪は深呼吸をする。「それなら――」


カタッ。カタッ。カタッ。


手前の曲がり角から、別の足音が響き始めた。


闇の中から、緋田ハガネと猛撃が現れる。二人は明らかにここにいるはずのないものを抱え、困惑した表情をしていた。さらに彼らの後ろには、夜、ゆかり、新、怜治郎というパーティー一行が続いていた。


ハガネは苛立ちげにつぶやく。「『道を知ってる』って言ったじゃん、猛撃!」


「知ってると思ったんだ! だけどこの回廊、全部同じ形じゃないか!」


二人はサタンと白凪を見つけて足を止める。


サタンは最初から夜たちを見つけていたが、何も言わずに静かにしていた。


白凪は即座に敏速に行動する。


「サタン……君は気づいているように見えてはいけない。今すぐ体を麻痺させろ。骨がないようにだ。」


二度と言われるまでもなく、サタンはポタリと地面に倒れる。布製の人形のようにくねって、首は斜めに曲がり、腕は不自然な角度で折れ曲がり、足は逆さまになっていた。


白凪はそれを見つめる。「……なんでそんなポーズだ?」


「だろうね。『骨がない』って言ったじゃん。」サタンは仮死状態を装いながら囁く。


白凪は一時的に顔を覆う。「これはばかげてる。」


だがそれでも、サタンの首をつかんで麻袋を引っ張るように引きずり始める。表情は一変し、冷たく厳しいものになり、まるで危険な悪魔の死体を引きずっているかのようだ。


ハガネは眉を吊り上げる。「白凪? 何してるんだ?」


「この悪魔を捕まえたんだ。話をしようとしないから、口を開くまで苦しめるつもりだ。」白凪は迷いもなく答える。


地面に倒れているサタンは心の中で思う。


「……こいつは人間なのか、拷問団体のリーダーなのか!」


もちろん、声に出す勇気はなかった。


猛撃は唾液を飲み込む。「う、うわ……まあ、それなら……頑張って?」


ハガネはため息を吐く。「俺たちは迷子になった。地図、持ってるよな?」


白凪はポケットから地図を取り出す。「これだ。取っていけ。」


心の中で白凪は、「本当に必要ならサタンは必ず出口を知ってるだろう」と思っていた。だから地図を渡すのは気にしなかった。


ハガネは地図を受け取る。「ありがとう。実験室に急がなきゃ。」


猛撃は「骨なしのヨワヨワ体」をしたサタンを見つめる。「白凪……その悪魔、どこに運ぶんだ? 尋問は終わったのか?」


白凪は素早く答え、声は静かだが威圧的だ。


「終わった。だが口を開かなかった。だから後で……殺す前に、少しだけ苦しめてやるよ。」


仮死状態を装い続けるサタンは心の中で叫ぶ。


「少しだけ? 今の顔はめちゃくちゃ真剣だろ、それ『少し』じゃねえ! 人間って……くそ、悪魔より怖いんだよ。俺は普通の耐性しか持ってないのに!」


ハガネと猛撃は少し呆れたような表情をした後、慌てて後退する。


「あ、ああ……分かった。俺たちは先に行くぞ!」


二人は足取りを速めながら去り、白凪のような死刑執行人のような存在に近づきたくなかった。




リーダーの計画


白凪たちから充分に離れると、ハガネは小声で語り始める。


「……猛撃。黒牙と俺たち組織の主要計画、まだ覚えてるな?」


「もちろんだ。漏らすことはない。安心しろ。」猛撃は頭を垂れながら答える。


「よし。」


ハガネはそれから、夜、ゆかり、新、怜治郎の体を回廊の近くにある小さな牢屋に下ろす。彼らは無力に眠ったまま、鉄格子の向こうに置かれた。


「猛撃、白凪の監視に行け。俺は長栄があの女を捕まえ終わったか確認する。」


「了解。」


猛撃は回廊の闇の中に消えていった。




実験室


一方、主な実験室は巨大な機械が回転する音で微かに震えていた。太いケーブルが天井から垂れ下がり、ガラスパネルには沸き立つ暗い液体が映っている。赤いランプが点滅し、まるでこの場所の心臓が緊張して鼓動しているかのようだ。


その中央には、スクエーター・スネークのリーダー・黒牙が立っていた。飢えた蛇のような眼光を放っている。


そばには、ドラゴン・バーストのリーダー・バオがいる。巨人並みの身長で、荒れ狂う龍のような瞳をしていた。


二人は暴が捕まえてきた人間を使った初の実験の準備をしていた。


そして彼らの後ろには、特殊な鎖で縛られたソーニャ一行の三人がいた。


翔也、陽菜、猛。一部はまだ意識不明で、一部は半ば目覚めていた。


黒牙は彼らを見つめて嗤う。


「なあ……お前たちみたいな小鬼が、俺たちに勝てると思っていたのか?」


彼は大声で笑い、その音は壁に響き渡る。「バカめ。」


猛は激しく身動ごとをする。「なめるな――!」


陽菜は彼の肩を押さえる。「猛! やめて!」


だが猛がさらに叫ぶ前に……


シュッ。


猛は突然声を殺した。黒牙が動いた形跡は人間の目には何もなかった。


翔也と陽菜は同時に驚く。


「い、いつ……攻撃した……?」陽菜は囁く。


「スクエーター・スネークのリーダーのスピード……本当に異常だ。だがドラゴン・バーストのリーダーの力は……」翔也は鉄壁のように立つ暴をちらりと見る。「もっと恐ろしいと思う。」


翔也はしばらく目を閉じ、それから小声で囁く。


「……ソーニャ姉さんがまだ生きていてくれるように。そして彼女のサーベルがまだ完璧な形を保っていてくれるように。」




ソーニャの覚醒


その頃、長栄が彼女を置き去りにした階で……

廃墟が微かに震えていた。


ソーニャはゆっくりと起き上がり、瞳を大きく開ける。


冷たく、鋭く、嵐前の風のように震える脅威のオーラが彼女の体を包み込んでいた。


数階下まで降りていた長栄は突然足を止める。体が鳥肌だった。


「このオーラ……ありえない……」


彼は振り返る。


そしてソーニャがすぐ後ろに立っていた。彼女の顔には、すべてを守るための冷静に抑えられた怒りが浮かんでいる――荒れ狂う盲目的な怒りではなかった。


長栄が言葉を発する前に――


ドゥアアアン!!


強烈な一撃が長栄の顔に命中し、彼の体は布製の人形のように壁に打ちつけられた。


塵が舞い上がり、床に亀裂が入った。


新たな戦いが始まった。


──TO BE CONTINUED──

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