32.残された未来
スクワッター・スネークの暗き拠点
コトラット市から遠く離れた場所、爬虫類の彫刻に満ちた古びた建造物が立つ。鉄の錆び臭い空気の中、クロキバは足を組んで安らかに座っていた。だがその殺気は、まるで空気すら吸い尽くすような重圧を生んでいた。
黄色い爬虫類のような瞳が光り、ぼやけたホログラムスクリーンに映るソーニャとザラビスを見つめる。
「長影……お前は俺たちの中で一番速い。彼らを追尾せよ。邪魔するな。ただ見張れ……ただし黄金の隙を見つけたら別だ」
黒いコートをまとった小柄な男、長影蛇が無音の影のように身動ごとする。狂おしい笑みが浮かぶ。
「へへへ……つまり、ちょっと遊んでもいいんだね、リーダー?」
「あの娘には急いで手を出すな。調査用に俺が留めている」
壁にもたれかかる白凪が、赤い瞳をソーニャの姿から離さない。
「本当か?あの娘……違う。そしてあの『モノ』は、きっと悪魔の種族だ」
「だからこそだ。彼らから情報が必要なのだ」
白凪は低く鼻先を鳴らすが、角を持つ『モノ』の姿から目が離せない。好奇心が、どこか深いところへと変わり始めていた。
ソーニャとサタンの側
ソーニャとサタン(ザラビス)は郊外を歩き、次の街へ向かう長い旅路を続けていた。そよ風が吹き、何だか落ち着いている……ただ一つだけ例外があった。
ザラビスが突然大きくにっこりする。その笑顔は、魂の鎌のように不気味だが、なぜかユーモラスでもあった。
ソーニャはすぐに気づく。
「サタン……なんでニワトリ盗んだ直後みたいな笑い方してるの?」
「え?いやいや、大丈夫だよ。行こうぜ、ソーニャ」
だがザラビスの心の中は?
『ははは……スクワッター・スネークの小僧がついてくるな。この子、真についてくると思ってるのか?虚無の存在に隠れるなんて……』
手で口を押さえても、悪意のある笑いを抑えきれない顔つきだった。
ソーニャはさらに疑う。
「本当に何でもないの?」
「誓うよ。歩き続けろ。落ち着いて」
もちろんサタンは嘘をついていた——物語をもっとドラマチックにするために。
彼の持つ「オムニ・フューチャー」で、未来を見ていたからだ。
長影蛇は、ソーニャが15人の犯罪者を始末した後、彼女を刺そうとする。
ザラビスはそれを止めないことに決めた。
『いい精神訓練になる。それに……ドラマチックだ。はは』
15人の犯罪者による電撃罠とヘルアイズ
やがてザラビスは長い鎌の姿に変わる。
「ソーニャ……集中しろ。前に一人いる」
(心の中)『実は15人だけどな。まあ、もっと楽しくしようか』
ソーニャは素早く襲いかかり、最初の犯罪者の首を一撃で斬る。
突然——電撃の網が上空から落ちてソーニャを包み込んだ。
ビリリリリッ!!
だが痛みが走る前に、ザラビスは虚無の力で一撃で全ての電気を断ち切った。
ソーニャには、まるでくすぐられたような感覚しかなかった。
「起きろ。立て。早く。今からが盛りだ」
ソーニャが立つと、15人の犯罪者が彼女を囲み始めた。
「すごく……多い……!」
「お前の技があるだろ。使え」
ソーニャは牙を食いしばる。
その瞳が突然、地獄の炎のような赤い輪を描く漆黒の色に変わった。
——ヘルアイズ 地獄の瞳
瞳が開く瞬間、黒と赤のオーラが炸裂した。
15人の犯罪者は瞬く間に消えた。
死んだのではない。
ニリオン地獄、第6番目のアルマゲドン第二の門へと瞬間移動させられたのだ。
突然の「荷物」に呆れ気味に待っていたミュトラに迎えられることになる。
ソーニャvs長影蛇 悪魔の速さ
埃が晴れると……
シュワッシュッ!!
長影蛇が瞬間移動するように現れ、緑色の短剣を光らせてソーニャの背中から刺しかかる。
「ソーニャ!!後ろだ!!」
ソーニャは反射的に高く跳び上がり、パニック半分で二回転のサルトをする。
「へへへ……速いじゃん、美しい娘さん」
ソーニャは息を荒げる。
「お前……サタンを傷つけたのか!!畜生!クソッ!死ね!!」
実は大丈夫だったザラビスは心の中でつぶやく。
『ああ……俺が死んだと思ってるのか。怒る姿も可愛いな』
鎌の姿の中で、小さく笑っていた。
ソーニャvs長影蛇
長影蛇は亡霊の影のように跳ね回る。
その速さは、地面に足をつけるたびに地面を割れさせた。
ソーニャは両手で鎌を握りしめる。
(ザラビスの心の中)『待ってるなんてダメだソーニャ!早く先に攻撃せよ!』
ソーニャは一気に駆け抜ける。
ドアアアン!!
足元の地面が崩れ落ちる。
長影蛇は小さな短剣で鎌を受け止める——その衝撃は木々を切り裂く風を生んだ。
二人の攻防は早いテンポで続く。
ガチャン ガチャン ガチャン シュワッ チリン バン!
長影蛇は左側に瞬く
ソーニャは鎌を360度回転
長影蛇はソーニャの頭上に跳ぶ
ソーニャは地面をスライドして上向きに斬る
グラアアッシュ!!
長影蛇の短剣はソーニャの顔一ミリ手前まで来た。
長影蛇は狂おしく笑う。
「ははは!!速い!もっと速くなれ、小さな娘さん!!」
ソーニャはさらに怒る。
「そんな呼び方するのはやめろ!」
バオオオン!
ソーニャは地面を蹴り、ロケットのように滑走する。
二人は数秒で数百メートルも移動しながら戦う。
木々は倒れ、地面はズタズタになり、風は震える。
やがて長影蛇は消える。
背後に現れる。
また消える。
右側に現れる。
また消える。
ソーニャは鎌を回し、隙を探す。
(ザラビスの心の中)『お前の下だよ!はぁ……この子、集中力が足りないな』
ソーニャは高く跳ぶ
長影蛇は地面から現れる
ソーニャは鎌をらせん状に下向きに回転
そして——
地獄の一斬り!!
ブルータルに——
長影蛇は遠くまで弾き飛ばされ、大きな岩に突き刺さり岩まで割れてしまう。
彼は血を流しながら立ち上がり、笑う。
「へ……お前は面白いな。次回は……続きをしよう……美しい娘さん」
そして体は影の中に消えていった。
戦いの後
ソーニャは息を荒げていた。
「サタン……本当に大丈夫なの……?俺、お前が……」
ザラビスはにっこりする。
「俺?死ぬ?ははは……俺は黙ってただ、お前に本気で戦ってもらうためだけだ」
「オマエッ!」
だがソーニャは安堵していた。
それを見たザラビスは……温かさを感じた。
虚無の存在にとって、それは不思議な感情だった。
(心の中)『気持ちが……良い。もしかしたら……俺はもっと友達を作るべきかもしれない。今まで見たことのないものを見るために……』
そこで思いが止まった。
オムニ・フューチャーでも届かない未来の断片を見たような気がしたからだ。
『もし全ての目的が達成されたら……俺はどんな形でも消えなければならない。世界が再び戦争のない普通のものに戻るために』
だが彼はただにっこりし、複雑な思考を隠した。




