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私が未来から来たカナエだよ②

「あなたの未来なの!未来の私!カナエの未来!!貴方を救うためにタイムスリップしてきたの!」


 そう言ってから10秒ほど返答が無かった。

 蝉の音と自分の心臓の音がどんどん大きく聞こえてきた。


 よくやくカナエちゃんの口から「タイムスリップ…?」と言葉が返ってきた。


 良かった。電話切られなかった。


「そうだよ!タイムスリップ!!今私あなたの家の前にいるの!」


「え!?」


「下に降りてこなくて良いから、まず私の姿を窓から確認して!貴方にそっくりだから!本当に未来の貴方だから!」


 よし…これでカナエちゃんが窓を開けてくれたら家を特定できる。犯罪者と同じ思考をしている自分に嫌気がさす。


 そしてすぐに4階建てのアパートの左側の部屋からカラカラと音がした。窓が少し開き少女が周囲を見渡している。


 あれだ。カナエちゃん。生で見ると、とてつもない美少女だなこの子。骨格も髪質もSSR。カナエちゃんはパジャマを着ていた。写真で見せてもらった時より顔色も悪いし髪も整えられていない。


 私は「おーい!」と言って手を振った。

 

 カナエちゃんもこちらに気づいたようだ。私の手に振り返しはせず、ただ私の方を見つめた。私も手を振るのをやめてサングラスを外し、カナエちゃんを見つめ返した。


 カナエちゃんは再びスマホを耳に当てた。私も急いでスマホを耳に当てた。


「本当に私…?」と、か細い声が聞こえた。


「そうよ!海野カナエ。高校2年生。お母さんと2人暮らし。得意科目は数学。苦手科目は社会。最後に髪を切った日は5月15日。去年の体育祭ははちまきを頭に巻いていた!」



 あのゴミ教師の情報を言うのは癪だが致し方ない。今はカナエちゃんにこのふざけた設定を信じてもらわなければ困る。


「え、あのすみません。そのそれでも信じられないんですが。」


 当たり前だ。これで信じられたらそれはそれで彼女のことが心配になる。ダメだ。こうなったら…。 



「か、カナエちゃんさ…レイプされたでしょ?」

奥の手だ。


「え…?なんで…え、そ、、その」


「大丈夫だよ。私は未来の貴方だから。知ってて当たり前なの。」


 やばい。普段日光が出ている時、私は仕事終わりで爆睡している。身体が限界だ。こんなに長時間、日光にあたるのはいつぶりだ。フラフラする。臓器がグツグツに熱くて、額からは汗がダラダラ。せっかくの化粧が無駄だ。


「カナエちゃん…未来は明るいから…大丈夫だから。この先…あなたは絶対幸せに生きられるから…だから…」


 視界がぐるぐるして頭に衝撃が走った。それでも動くことはもうできなかった。


 夜職のババァがこんなことするもんじゃないよ。まったく。


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