悪女爆誕②
重い回です、
「どうかこの学校を辞めてください」
私は目の前にいる校長のハゲ頭に向かって目を細めた。
自称進学校の公立高校に退学ってあるんだぁ。
「理由聞いてもいいですか?」
私はハゲ頭に質問した。脂ぎった頭頂部からは何も返事がなかった。
隣のお母さんの方を見た。お母さんはどこにも目線を合わせず、ただボーとしている。私よりも先に説明を受けたんだな。
「あの…」と校長先生が言葉を詰まらせているところに、「私が説明します」と校長先生の隣に座るスクールカウンセラーが手を挙げた。
カウンセラーは少し微笑みながら自分は神様ですみたいな眼差しで話し始めた。
なんかこの顔見たことある。あー中学の時にいた図書部の女の子と似てる。なんか懐かしいな。
「金田さんのことはご存知ですか?」とカウンセラーは眉毛をゆるやかな八の字にして聞いてきた。
「え、金田さん…はい」
金田さん…この名前が上がったということは。
あぁ先生達の中でも話にあがっていたのか。アイツにレイプされたのが金田さんって学年中の噂になっているのが。
もうそうなったら事の顛末は読める。
「金田さんのお母さんから連絡が入りました。うちの娘が被害者として扱われてイジメられるのは納得出来ないって」
カウンセラーは、一つ一つの単語に感情を込めて言った。
「だから、私が高校を辞めてレイプされた被害者は海野カナエだと学校は公表したいって事ですか?」
カウンセラーは真っ直ぐに私の目を見つめた。
「いいえ。私達はそういうことを言いたいんじゃなくてですね。海野さんはそのことについてどう思いますか?」
「そのこと…というのは?」
「金田さんが被害者と指差され虐められていることです。」
「それは、とっても…悲しいことだと思います。」
あぁ…嫌だな。なんだこの誘導尋問。
「じゃあ海野さんは…どうやったら金田さんは虐められなくなると思いますか?」
「学校側が生徒に対して被害者を推測したり、誹謗中傷をしないように指導することじゃないですかね?」
私から予想外の言葉が出たのか、校長もスクールカウンセラーも苦虫を噛んだ顔をした。
校長先生はため息をつきながら言った。
「海野さん…こう言っちゃアレですけど、金田さんは何も悪いことしてないじゃないですか?」
…え。
「金田さんは?」と私は強調して言った。
つまり、それは私は悪いことをした。私にも落ち度があったと言いたいのだろう。
「いや…それは…」と校長先生はモゴモゴした。
隣のお母さんは相変わらずぼんやりとした目でどこにも焦点を合わさない。でも何粒も何粒も涙が規則的に溢れている。
スクールカウンセラーは、“私はこういう事態にも慣れています”と言わんばかりの態度を貫いている。
「言葉足らずでしたね。海野さんごめんなさい。海野さんとしても金田さんが悪く言われるのは良い気がしないですよね。」
「それは…そうですけど。」
「海野さんのお母さんとも先に私達話しまして、お母さんのご実家の長野に帰るのが海野さんの為なんじゃないかと思いましてね」
え、そんなの聞いてない。私はお母さんの方を見た。
「カナエの為だから…」とお母さんは手で顔を抑えた。
そんな様子のお母さんを見てカウンセラーは、うんうんと頷き共感の動作をした。
教科書通りの対応をされていることに強い不快感を覚える。
「海野さんもストレスになっていると思うんです。自分が被害者とバレるんじゃないか。他の子が被害者と指差されて胸を痛めているんじゃないか。精神的な面で考えても、長野の学校で新しくやり直した方が良いのかなって学校側は思うんですよね」
「そうです、そうです」とハゲ頭もカウンセラーに賛同した。
「事件が不起訴になったということで、彼はまた東京のお家に戻られた。海野さんにも気軽に会いに行けるというわけですよ。」
校長も形勢逆転したのを良いことに強気になり始めた。
私はそんな2人の学校関係者の対応を見て我慢の限界を迎えた。涙がポロポロ溢れ始めた。
「辛いですよね。辛いけど、海野さんは今まで頑張ったと思います」とカウンセラーは私にハンカチを差し出した。
「学校側もできる支援は全力でしますから」と校長も続けて言った。
え、私まだ辞めるって言ってないけど。
え、なに、結局私が退学になる理由ってレイプされたから?
それを周りに隠して生きてきたから?
私は被害者として生きていけって言いたいの?
今日もう1話上げます。お待たせしちゃってすみません。
ブクマとレビュー待ってます(^-^)
スクールカウンセラーモデルいるのでめっちゃリアルに書けました笑




