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教師と未来⑤ーアンチレイプコンドームー

この三連休で一山終わらせてクレープ食べに行きたい。



「あークソ最悪だ。雨で視界悪いし渋滞だ」


「秋口警部、後何分くらいでホテルに着くでしょうか?」

 

「良くて10、悪くて20分だな」


「そんな…」


「それじゃ間に合わない。刑事さん急いでいください!!忍を…どうか忍を救ってください!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 風俗嬢ミライのトレードマークのボブカット。


 店長が言ってくれたんだっけな。顔の作りが良いから短いのが似合うって。



 あの時嬉しかったな。


 店長の言葉のおかげでオトガイと両顎に課金して良かったと心の底から思えたから。


 でも今日でおしまい。


 


 私は最後に自分の髪を撫でた。




 先生の視線の先は私が右手に持ったハサミ。


 「おい、カナエ何する気だ?」


 「いつまで海野カナエって言えるかな…?」



 私は左手で自分の前髪をつまんだ。


 そして右手に持ったハサミで1番綺麗に揃っている前髪から切り落とした。



 そしてこの作業を繰り返した。


 左手で髪を掴み、右手に持ったハサミでザクザク切る。



 「は…はは?なにしてんだよ?」



 「貴方がだーい好きな海野カナエからドンドン遠ざかっていくね…」



 先生は瞬きもせず私のことを見つめた。


 そう海野カナエのトレードマークもボブカットだ。


「やめろ…」


「嫌よ。言ったでしょ。お前の最後は私だって。カナエじゃないミライ。」


ジョキジョキと音を立て、落ちた髪の毛が先生の体に落ちる、私の鼻にへばりつく、血の桶に落ちる、床に落ちる。

 


 よく分からないジャズが部屋に流れる。脱ぎ捨てられた服。一本だけ吸われた灰皿。タンクにパンパンに入ったウォーターサーバー。



 全裸で椅子に縛られた男、そこに跨り全裸で自分の髪を切る女。



 あぁカナエに会いたい。


「カナエ…カナエ…行かないでくれ…」

先生は涙と鼻水を流した。本当に気持ち悪い。つい先月まで教鞭を取っていたのが信じられない。


「いやだ!いやだ!カナエ!カナエ!」



 私はもう左手で髪の毛を充分に掴めなくなった。毛先と頭皮がほぼ同時に触れる。



 「さぁ仕上げだ」


 私は手を伸ばし、机に置かれたDiorの真っ赤な口紅を引いた。



 真っ黒のテレビから自分が反射して映る。

 ギタギタのベリーショートの髪型をした裸の女が写っている。


 


 もうここに海野カナエはいない。


 三上忍もいない。


 風俗嬢のミライもいない。


 あの日、あの時、なりたかった私がいる。



 新しい女がそこに写っている。









 


 

 「まだ死んじゃダメよ」


 「嫌だ…。俺は最後カナエとして終わるんだ。最後にSEXしたのはカナエだ…。」


 私は再び先生の上に跨った。



 「カナエの痛みを少しでも理解してから死んでもらうよ」


 私は吐き捨てるように言って先生の唇を奪った。


 私はゆっくりヴァキナを先生のペニスに落とした。





 「奪われる痛みを知りながら死ね」





 挿入した瞬間、聞いたこともない男の叫び声が部屋中に響き渡った。



「ぎゃああああああああああああああああ!!!!うわぁああ!あぁ…ああぁぁぁぁ!!!!!」




 男の体はビクンビクンと跳ねた。口から泡を吹いていた。




 「おい…お前…なに…した?」

 先生はガクガク震えた。


 「うふふ。アンチレイプコンドーム」


 「あ、あ?」


 「内側に針がついたタンポンよ。入れた瞬間に貴方のペニスは数100本の針に刺される。」


 南アフリカの女性が開発したタンポン。レイプから身を守るコンドーム。男はこれで傷をつけられたら排尿も出来ない程だ。自力で取ることはまず出来ない。エイズ感染を防ぐために出血はしない。傷をつけ犯人特定に役立てるのだ。開発者からタダじゃ終わらせないという強い意志を感じる。



 「ぎゃああああああ!!!!!!!!!!」



 「痛いでしょ?カナエはもっと痛かったわ。騙されてカビ臭い部屋に閉じ込められた。」



 「あぁぁあ!!!ああぁあああ!!!」




「無理やりキスされて挿入されて、一生の傷を作った!!アンタの気持ち悪い性欲のために!!」



 「あれは同意があったって!!示談書にカナエは同意したんだ!!!」



 「そうせざるを得ない状況をお前が作ったんだろ!!」

 



 私は激しく腰を振った。



「違うんだ。あの女が!誘惑したんだ!全部あの女が!!」



 「未成年に手出しといて弁明するな猿が!!」



 「あああぁぁあ!!!痛い!死ぬ!千切れる!!」


 「そう言って感じているんでしょ?ドンドン気持ち良くなるから。」


 2分ほど私は腰を振り続けた。満面の笑みで。男はブルブルブルブル震えた。目が白目になって泡を吹いている。


 きっとコイツはカナエの痛みなんて一生分からないんだ。


 カナエ…。


 カナエ…。




 カナエの顔が何度もよぎった。


 貴方の未来は明るいよ。大丈夫だから。貴方は光のある道に。


 学校に通って、進路に悩んで、大好きな人を作って、恋に悩んで溺れて、幸せを見つけて、そして一生を遂げて。



 神様…どうかカナエを幸せにさせてください。


 一方的に奪われる人生を送らせないで。


 どんなものも捧げる。


 私はこの10年、自分のために生きた。


 残りの人生どうなってもいい。






 私ね…あの子のことが大好きなの。


 大事なものを奪われても逃げ出さずに、自分の居場所から逃げ出さないあの子が…大好きなの。


 



 ついに男から悲鳴が聞こえなくなった。




 その代わり玄関の方からドアが開く音がした。




今日人生で初の二郎系ラーメン食べました。お持ち帰りで。朝も昼も抜いて全てをかけました。結果は上の野菜だけ食べてお腹いっぱいになりました。麺は明日の朝チンして食べます。私は山岡家が好きです。

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