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教師とミライ③ーラブホテルでお仕置きー

教師視点

 信じられない…。


 やっぱりカナエだ。


 何故俺の前に海野カナエがいるんだ。


 その恥じらった表情も、なかなか人と合わせられない目も、細身のウエストも…。


 カナエだ。ミライじゃない。俺の目の前には海野カナエがいる。



 また俺たち愛し合える。


 でも今日はちょっとお仕置きだぞ。


 俺を警察に通報したお仕置きだ。

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 



 俺はシャワーを浴び終わりバスローブを羽織った。

 



 少し生地がゴワゴワしている。生地は100歩譲るとして、この丈の長さはどうにかならないのかといつも思う。俺の膝が…いや太ももがしっかり露出してしまう。肌寒い。



 ラブホテルのバスローブはいつもこうだ。女用に作られている。全く…いつの時代も女が贔屓されて虫唾が走る。


 まぁ…でもこんなもんか。激安というわけでも高級というわけでもないホテルだし。



 俺はベッドの端に座った。



 スマホの電源をつけて時間を確認。あの女が来るまで15分くらいか。


 Googleを開きプライベートモードにし、『風俗 ピチピチ ムム』と打ち込み検索をかけた。


 1番上に出できた『ぴちぴち姫ムム』をタップした。下にスクロールし、本日出勤リストにいる“ミライ”の顔写真をタップした。



 俺は左手で顎をさすりミライの顔写真を真剣に見つめた。


 


 やっぱりカナエに寄せている。



 ミライの宣材写真は、俺が以前プレゼントした制服を着用していた。そして2枚目の写真は俺が以前ミライに見せたカナエの写真を模したものだ。はちまきに短パンに長袖ジャージ。体育祭の時のカナエだ。



 何故だ。何故この女はカナエの真似をしているんだ。



 カナエの見た目…客ウケが良かったのか…?まぁ確かにあの女は28にしては若くみえるし、カナエのコスプレは似合っていたと思う。


 まだ写真だけしか見ていないが、雰囲気もどこかカナエに似ている。



 まぁカナエに似ていればいい、いや今日に関しては誰でも良いから発散したい。


 満たしたい。満たされたい。


 カナエとエッチしてから釈放されるまで禁欲の生活を強いられた。ご飯もまずい。取り調べも脅迫まがいのものだった。こうして冤罪は産まれるんだなと心の底から思った。



 今回の不幸中の幸いは教員免許を剥奪されなかったことだ。また教師に戻れる。だがしばらくは無理だ塾講で繋ぎ止めるしかない。


 あー満たされたい。


 釈放されたのその日の夜、1人にさせてしまった嫁を慰めてあげようとした。それなのに首を思い切り締められた。殺されるかと思った。まだ出産までは先なのに。



 釈放されてから俺は何一つ満たされていない。


 今俺を満たしてくれるのはあの女しかいない。金さえ払えば俺の欲望を受け止めてくれる。



 コンコンコンとドアがノックされた。俺は平然を装って、ゆっくりとドアを開けた。



 「1分遅刻なんだけど、店にクレーム…え」


 俺が装った平然は扉を開けた瞬間に崩壊した。




 「か…カナエ?」


 「先生…」と大きな瞳の中に俺が間違いなく写っていた。


 カナエだ。俺の目の前には間違いなく海野カナエがいる。


 制服を着てブラウスのボタンは1番上を開けている。細身のウエスト。すぐにそらす目、おぼつかない唇。カナエだ。


 俺は扉の前で立ち尽くしてしまった。


「先生…中に入っても良いですか?」



「あ、あぁ…」



 俺はカナエを部屋に入れた。


 カナエ…いや違う。この女は未来だ。風俗の女だ。俺の好みに合わせてきたんだな。すごいプロ根性だ。



 「ミライちゃん…君すごいねぇ…。俺のためにここまでカナエの真似してくれたんだね。」


 俺は再びベットの端に座った。

 

 未来は辺りを見回しながら後ろで腕を組み、もじもじした。


 「違う…わたし未来ちゃんじゃないよ…」


 「え…?」


 「カナエ…本物のカナエ。未来ちゃんに頼んで代わってもらったの。」


 「は?」


 目の前の女が何を言ってるか全くわからなかった。カナエ?



 「なんでお前らが知り合いなんだ?」


 「先生が逮捕されてから、未来ちゃんが私のお家に来たの」

 

 そう言い切ってから、カナエは目を逸らした。


 「どうして、あの女が海野の家に来たんだ?」


 しまった。目の前にいる女を海野カナエのていで喋ってしまった。

 


 「未来ちゃんがね…先生は悪いやつじゃない。あなたも先生のことが好きだったでしょって怒ってくれたの。」


 あの女…どうして俺のためにそんなことを。


 「それ聞いて私すごい反省したんです。突然のことでビックリしちゃって警察いっちゃたの、先生ごめんなさい」


 そう言ってカナエは大粒の涙を頬に流した。


 「カ、カナエなのか?」


 「うん…そう…先生ごめんなさい…。本当は私ねすっごく気持ちよかったの」


 カナエは手で自分の顔面を抑えて泣きじゃくった。

 


 違う。この女は未来じゃない。あの女は、あの時心の底で俺を見下し蔑んでいた。自分の方が立場が上だと言わんばかりの接客だった。



 カナエだ。今目の前にいるのは海野カナエだ。



 「カナエ…」

 俺はベッドから立ち上がり、カナエのことを抱きしめた。


 カナエも少し経ってから俺のことを抱きしめ返してくれた。




 やった。やった。やっと通じ合えたんだ。




 カナエは俺の首のアザを心配してくれた。そして俺たちは再びキスをした。


 カナエもキスが気持ち良くなってきたのか、ドンドン目がトロンとしている。


 カラカラに乾いた心がドンドン満たされていく。カナエの体温が舌が唾液が俺の心を満たしていく。通じ合えた。やっぱり俺たち愛し合えるんだ。妻もお腹の子もどうでもいい。俺にはカナエだけいれば十分なんだ。


 一通りキスが済んだら俺はカナエのお尻をパチンと叩いた。カナエの体はビクンとはねた。



 「俺を警察に通報した罰だよ。わかっているよねカナエ」


 カナエは目を泳がしたあと、こくりとゆっくり頷いた。


 カナエの身体から腕を離した時


 「あれ?」というカナエの声が聞こえた。


 「どうしたカナエ?」


 「せ、先生、先生のお腹から血が…」


 「えぇ?」


 俺はゆっくりとカナエから自分の腹部へと視線を落とした。





 え、赤、なに




「うわぁぁあああああああああ!!!!!!」

 


 真っ白いバスローブからドンドン大きな赤いシミが出来ていく。


 俺は尻餅をついてしまった。




 「せんせいたいへーん❤︎」



 俺は再び視線を腹部からカナエに戻した。


 カナエはにんまりと笑っていた。


 俺の知ってるカナエは…違う。こんな女じゃない。俺の知ってるカナエは…。



 「はぁ…はぁはぁ…」


 息が乱れる。腹を見る。血が止まらない。



 そして海野を見る。


 「なっーーー」



 海野の顔が俺の目の前に来ていた。



 ガッという音とともに顔面に衝撃が走る。顎を殴られたのか。


 違う。


 カナエ…。君はそんな子じゃないだろ。



 「カ…カナエ…」


 追い打ちをかけるように雷に打たれたような衝撃が体に走り、俺の意識は遠のいていった。


ーーーーーーーー



 「よし…はじめるか…」


 





 



レビューいただきました。後ほど活動報告にも書こうと思います!滅茶滅茶嬉しいです!ありがとうございます!


嬉しい!!(^-^)

やる気上がります!

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