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教え子のカナエちゃん。

「カナエ…随分と先生のちんこによがってたね。嬉しいよ」


「先生…」と私は放心状態で言った。良かった。ちゃんとヤリきれた。


 男はゴムを外し素早く縛ってゴミ箱に捨てた。その後、テーブルに置いてあるリモコンでテレビの電源をつけた。


 ラブホのテレビでしか見ることのできない派手なホーム画面が表示され、数秒差でオルゴールが流れた。不快とも快とも言えない音色。


私はベットにうつ伏せの状態のまま息を整えるために何度も深呼吸をした。



「やっぱり君、カナエにそっくり。」と言って男はベットの端に座りスマホをいじり始めた。


 どうやら私のカナエちゃんの役目は終わったようだ。


 右手を伸ばしタイマーに目をやる。残り15分か。シャワー勧めようかな。キモいから同じ空間に居たくないし。


 そんなことを考えていたら疲労が体に一気に来た。眠たい。瞼が重い。そっか。今日で23連勤目だ。流石に限界風俗嬢すぎる。


うっすら目を開けた状態でぼうっとしていたら目の前が急に眩しくなった。


「見て。これが本物のカナエ」


突然の光に焦点が合わず目の奥が痛くなった。目を何度も瞬きしていくうちに画面に焦点があっていった。


 「私じゃん…」と思わず言ってしまった。


 スマホの画面には1人の少女が映し出されていた。短パンにクラスTシャツと思われる派手なTシャツ。紺の長袖ジャージを羽織り、額には赤のはちまきを巻いている。体育祭とかかな。ボブの髪型がよく似合う恵まれた頭蓋骨。全身の骨格はストレート。この子、ハイネックの服着たら相当映える。


 なんていうか整形した後の…今の私にそっくりだ。私の完全なる上位互換。羨ましい。私が欲しいものを彼女は生まれながら持っているのか。良いな。


 「この子…何年生?」


 「今高校2年生。17歳。かわいいだろ。本当に教師になって良かった。俺のクラスになるように根回しめっちゃ頑張ったんだよ」


 教育委員会に通報してやりてーわ全く。まぁ通報しても無駄だろうけど。


 「教師だとJKの制服姿を毎日見れて住所も電話番号も全部知れるんだよ。天職だろ天職。」


「そう。」


「海野叶恵の個人情報ならなんでも言えるよ。」


と男は言ってベットの上を飛び跳ね始めた。


そして自慢気に海野叶恵の住所、電話番号、家族構成、得意科目、苦手科目、生理の周期、元カレの名前、最後に髪を切った日など叫んだ。


 男のキモさのせいか、波打つベットのせいか分からないが気分が悪くなった。


「君は10年後の叶恵だよ。こんなにソックリだなんて思わなかった。」


「良かった」

これでカナエちゃんに手を出さないなら全然いい。きっとAVのJKレイプものだけじゃ足りなくなったんだろうな。この男。やり方がAVそのものだった。ガシマンの極み。死ね。


「先生はカナエちゃんのどこが好きなの?」


「蕾だよ。ツボミ。彼女は咲く寸前の蕾なんだ。」


「はぁ…」と思わず言ってしまった。


「誰にでも優しくて不器用。自分から損な立ち回りに行って傷を負う。それでも人を信じてるから傷つきにいく。最高なんだ。胸もこの一年で大きくなった」


「そう。」

少し昔の自分に当てはまった。


「きっと彼女はもうすぐ咲いてしまう。自分の価値に気づいてしまう。僕みたいなおじさんのことをゴミのように見る日もそう遠くない」


あ、こいつ客の中でもヤバい方の奴だ。特級の化け物だ。


「授業が終わったら、俺のところにきて『先生ここが分かりません』って甘えた声で俺のところに来るんだよ」


黙れ。


「それも必ず髪を耳にかけながら。ワイシャツも1番上は止めてないんだ。見せに行ってるだろ。あぁなんて美しい。咲いて欲しくない。蕾のまま永遠に僕と一緒にいて欲しい」


黙れ。


「だから咲く前に僕がめちゃめちゃに…」と化け物が言いかけたところで、私は化け物にキスをした。


 守らなきゃ。私が。カナエちゃんを。


「先生、また来てくださいね。次は少しだけ…サービスしますから」


 男は私の顔を一身に見つめた。男の目はスーパーに並んである魚のようなドス黒い色をしていた。


「カナエはそんなんじゃない。顔だけの女が。」と男は吐き捨て部屋から出ていった。


その男は店に2度と来なかった。 




だけど、その男とは1ヶ月後再会する。


テレビ画面越しで。


男は強制性交等の罪で逮捕された。


被害者は男の教え子だった。


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