第70話
原爆ドームダンジョン。
難易度高、危険度高、入場制限アリ。
第一階層ではダンジョンゲートと魔物が出現するエリアの間にレイドアタックを見越したような巨大な前室があり、事前に申請する事でキャンプを構築する事が出来る。
地下に潜っていくタイプのダンジョンで、最高到達点は第十階層。第一階層から第五階層までは火山フィールド、第六階層から第十階層までは博物館を模したようなフィールドとなっている。
第十一階層より下は未探索につき、情報が無い。
魔物はフィールドの特徴に沿った種が生息している。火山フィールドでは鉱石系のゴーレムや火を吹くトカゲのグレーターサラマンダー、溶岩で構成されたラーヴァスライムといった感じだ。
博物館フィールドでは無生物の魔物が多い。空飛ぶ剣のリビングソードに空飛ぶ本のカースドブック、包帯ぐるぐる巻きのマミー等が出現する。
出現を確認したら真っ先に倒す必要がある高優先度の魔物であるファントムナイトは原爆ドームダンジョンの固有種となっている。月島君が連れているリビングアーマーの上位互換種だ。
どの階層も他のダンジョンに比べて強力な魔物が出現するが、それよりも輪をかけて強いフロアボスは五階層刻みで現れる。
第五階層では燃え盛る溶岩の体を持つラーヴァゴーレム、第十階層では竜の骨が勝手に動いてるようなドラゴンスケルトンが出現する。
……これが、シーカーズに登録されている原爆ドームダンジョンの大まかな情報だ。ハッキリ言って、あまり濃い内容ではない。
だが、こんなペライチの紙にまとまってしまいそうな量の情報を集める為に、これまで大勢の探索者が命を落とした。
安全マニュアルは血で書かれている……なんて言葉があるが、シーカーズのダンジョン情報もまた、幾千幾万もの探索者の血によって書かれている。
ダンジョンを攻略して消滅させれば、情報は全く無意味な物となる。だが、それはそれで意味があったと言える。
もしダメだったとしても……俺達の血が、ダンジョン情報に新たな項目を付け足していく事だろう。
俺は体育館二つ分ほどの大きさの前室に立ち並ぶ企業ブースを前にして、そんな事をぼんやり考えていた。
§ § §
「広いなぁ」
「そっスね」
「多いなぁ」
「そっスね」
岩盤をくり抜いたような前室に学校の運動会で使うようなテントが立ち並ぶ様をぼけーっと眺めながら、俺達は呆気に取られていた。
企業ブースとは言うかナンタラエキスポみたいな感じの凝った作りのブースではなく、各企業が自前で持ち出したマルシェテントやタープテントの中で展示をしたり物品を販売したりしている。
武器防具のメンテナンスグッズやインナー等の装備品関連、カード化出来る食材の詰め合わせやスキルカードやポーション類といった消耗品、武器の研磨や防具の修理・コーティング処理を行うサービス関連の出店が目立つ。
物販コーナーから離れた所では飲食ブースがあり、食料品メーカーから派遣された腕自慢が料理をこしらえている。この匂いはカレーだな。
自由に使えるキッチンもあり、ドロップ品の食材があれば探索者も勝手に料理をしてもいいスタイルだ。
パッと眺めだけでもまさにお祭りとしか言いようがなく、大きめのステージがあればもはや探索者フェスと呼んでも差し支えないような賑わいだ。
企業エリアの奥はキャンプエリアとなっていて、既にいくつかテントが設営されている。
企業ロゴの入ったテントも見受けられる。恐らく企業担当者もしばらく原爆ドームダンジョンに詰めるんだろう。
企業のチームとして来ている俺が他所様の事を言えた義理ではないが、こんな所で寝泊まりしないといけない企業の人達も大変だ。
……おっといけない、往来のど真ん中で立ち止まっていては通行の邪魔だ。確か入場してからは静香と打ち合わせをする予定だったはずだ。
「とりあえず、静香と合流するか……どこだっけ?」
「東洋鉱業のブースにいるはずっスから、B-1区画っスね」
「左端がAの列で……端っこのはずだから……ああ、あそこか」
テントに貼り付けられているスペースを表す掲示を確認しながら探索者の雑踏をすり抜けながら通路を通り、俺は東洋鉱業のブースを見つけた。
大きめの業務用テントの中では静香と中本社長と大河内さんが書類を付き合わせつつ何やら話し合いをしており、他のスタッフは魔石を燃料にして稼働する工業用携帯炉や砥石といったメンテナンス用の設備をセットアップしている所だった。
「お疲れ様っス、皆さんお揃いみたいっスねー」
美沙が手をひらひら降って静香達に近づくと、東洋鉱業ブースにいる皆が手を止めてこちらに顔を向け、手を振ったり頭を下げたりとリアクションを返してくれた。
中本社長や大河内さんと話していた静香が打ち合わせを一旦止めてこちらに歩み寄る。
「おつおつですぞ、思ったより遅かったようですな。壮行会が長引きましたかな?」
「そっスね、来賓の挨拶がちょっとばかし長かったんで押し押しでしたね。……応援団長は来てないんスか?」
美沙がキョロキョロとブース内を見渡しながら静香に訪ねる。応援団長……つまり、あかりだ。
記者会見の日の翌日から海外ロケでベルギーに出かけているはずだ。ヒロシマピースレイドまでには帰ると言っていたが、スケジュールが押しているんだろうか?
「雪ヶ原氏、さっき広島空港に着いたみたいでござるよ。荷物をジャーマネに預けてマッハでこっちに来るとは言っておりましたが……ま、一時間か二時間はかかるでしょうな」
「ふーん、それだ間に合ってしまいそうっスね。どうせあたしたちAチームの出番はまだ先っスからね……チッ、もう一日ズレ込んでれば良かったのに」
「あははー、月ヶ瀬氏にも恋のライバルとしての怨恨はありましょうが、雪ヶ原氏は拙者のズッ友でござるし、アイドルのジョブは有用でござるので、あまり邪険にしないでやって欲しいのが本音ではありますがねー」
悪態をつく美沙をたしなめるように、静香がここにいないあかりをフォローした。
美沙の言う通り、俺達の出番は少し後だ。今回のレイドは探索者の種別やレベルによっていくつかの部隊に分けられている。
レベル上げがてらベテラン探索者の教導を受けつつ浅い階層で魔物を倒していく若手主体のCチーム。
手堅い仕事で評判のある中堅どころの探索者で構成された浅い階層のヘルプと最前線への補給や退路確保といった裏方的役回りのBチーム。
そして鉄砲玉よろしく最前線でガンガン魔物を討伐して先を目指していく我らがAチームの三班だ。
今回はとにかく「人員を多く動員して最高峰の難易度のダンジョンに挑みました」というポーズが大事なようで、裾野を広げる為に参加条件がやや緩い。
さすがになりたてのド素人は申請の時点で弾かれるが、ある程度の実績が認められる探索者は参加が許可されているようだ。
今の時間は壮行会に出席せず事前に潜っているCチームが第一階層から順番に探索中だ。
俺達はCチームが帰還してから出発となるので、今しばらく時間がある。
「ま、雪ヶ原氏がパンをくわえてちこくちこくーと走ってくるのを見越して、こうして関係各所と打ち合わせをしていた訳ですぞ。……あ、お二人とも八重垣を出してもらっていいですかな? ファームウェアを更新したいんだそうで」
「ファームウェア? ああ、フィードバック用にデータ取ってるって奴か?」
「らしいですぞ。このフィールドバカ暑いんで演算装置周りの耐熱処理を施すのとデータ収集の判定を引き上げるとの事でござる。まあ、中広ダンジョンなんかでゴブリンをぺちぺちやるのとは訳が違いますからな。さ、出した出した、時は金なりですぞー」
俺達はカードデバイス「神楽」を取り出して八重垣のカードを抜き、急かしてくる静香に手渡した。
「ほい、受け取りましたぞ。じゃあしばらくかかるでしょうからその辺をブラブラしてくると良いですぞ」
「あ、そうだ。静香に報告しとく必要のある事案があってだな……」
俺が琉輝彌君……というか、配信者グループのガリンペイロと一緒に行動するかもしれない事を報告しようとしたが、静香が手のひらをこちらに向けて遮った。
「ガリンペイロの虎林琉輝彌氏からの申し出でコラボ配信をする可能性がある件についてですな? マイベストフレンドフォーエバーの雪ヶ原氏から話は聞いておりますぞ。迂闊だとは思いますが別に咎めはしませんぞ。しかしお二人の特殊なあれやこれやの運用についてはバラさないよう慎重に願いますぞ」
「……話は聞いてるって、ついさっきの事なんだが?」
「ついさっきのネタを仕入れて売るのが雪ヶ原氏のお仕事にござりますが故……月ヶ瀬氏が往来のど真ん中でコアラのように高坂氏の腕にしがみついてた件についても報告を受けておりますな。やめろとは言いませんが節度を持って頂きたく」
静香が俺に突き出していた手のひらをひらひらと振って中本社長達の所に戻っていった。話は終わりって事か。
「装備の処理が終わるまでする事ないですし、ブース回ります? 時間もありますからここを出て本通りでお茶したりできますけど」
「うーん、一応作戦期間中だからあまり離れるのは良くないよな……せっかくだから他にもどんなブースがあるのか見てみるか。 ……ん? 何だ?」
スマホが震えたのでポケットから取り出して確認すると、あかりからのメッセージだった。
シーカーズアプリを起動して内容を確認すると、「私も腕にひっついて歩いたりお茶したりしたいですー(╹◡╹)」との事だった。
……茶をしばこうって話はついさっきってレベルじゃないんだが? ちょうど今の話なんだが?
§ § §
美沙とあちこちのブースを物見遊山気分で回っていたが、結構面白い。
東洋鉱業以外の装備メーカーもデザイン性に富んだ武器や火山や氷結フィールド特化型のアーマー、着心地を優先したアンダーウェアなんかを発表していたりする。
IDA-10というメーカーは履き物専門だが、防御力よりも回避率を優先するジョブの為の高機動シューズを販売していた。
悪路での踏破性を重視したトレッキングシューズや最高速を追求したランニングシューズ、ジャンプ力が強化される靴もあった。
八重垣は全身一式なので靴だけ変えるような変更は出来ないが、普段履きにはいいかも知れない……と思ったが、販売員に止められた。
いわく、普通の舗装路ではスピードが出過ぎてしまい、一般人と衝突したら怪我では済まないからだそうだ。
本通りや広島駅の駅ビル、マリンフォートレス坂のポップアップストアのような実店舗や公式サイトのネット通販ならデチューンを施した普段履き用の靴を売っているのでそちらをどうぞとショップカードを頂いた。
探索者用のツールが多い事にもびっくりさせられた。
俺達警備員は事前に会社から申請された物以外の装備品やアイテムをダンジョンに持ち込む事を許可されていない。
どうしても必要な物品はその限りではないが、仕事を楽にする為の探索者グッズを勝手に使ってはいけない決まりになっている。
なので便利なツールを導入するという考えが無く、普通の探索者はこんな物を使って楽をしているのかと少し羨ましい気持ちになった。
俺が気になったのはカード化したアイテムをすぐに使えるようにする為のカードケースだ。
いくつかのボタンが付いており、カードの格納箇所ごとに紐付けが可能となっている。押したボタンの場所のカードがカード化を解除され、目の前にアイテムが現れるという寸法だ。
俺達の使っている八重垣はカード化解除やカード化後の神楽への収納が自在だが、このツールはカード化を解除するだけの一方通行だ。それでも便利は便利だが。
そんな風にいろんな所を物色しながら練り歩いていると、声をかけられた。
「あ! 高坂さんじゃないですか!」
声の主を探してきょろきょろと見回すと、長崎書房のブースからだった。
記者会見の時に質問していた男性記者の佐原さん……だったかな? と、その横でスマホをいじってた女性記者だ。名前はわからない。
「ああ、えーと……佐原さんでしたっけ? 記者会見の時に質問されてた」
「そうです! 佐原です! いやー、名前を覚えて頂けて光栄です!」
「ここって長崎書房のブースですよね? お二人はここで何を?」
照れ臭そうに頭を掻く佐原さんの肩越しにブースの中を見てみると、シーカーズ・フィールドのバックナンバーがぎっしり詰まった本棚とテーブルと椅子が置いてある。
奥の方ではパーテーションで仕切られたスペースがあるが、何をする為の場所なのかは想像がつかない。
「今回のレイドはうちの誌面をかなり割いて特集を組む事が決まりまして……著名な探索者やチームが参加する事もあって、うちの記者総出で取材やインタビューをしてるんですよ。このブースはうちの拠点みたいなモンです」
「そうだったんですね。……あー、えーと」
佐原さんの言い方だと、俺や美沙もインタビューを受けないといけないんだろうか? 今回のレイドにおける取材関連のスタンスを聞いとけば良かったな。
美沙に目配せをすると、美沙は懐からスマホを取り出して静香に連絡を取り始めた。アイコンタクト一つでよく分かったもんだ。
「ああ、今の時点ではお二人を取材するつもりはないんで安心してください。個人的にはせっかくだから色々お聞きしたいんですけど、さすがに霧ヶ峰ホールディングスを敵に回したくはないんで」
「そうですか、こっちもメディアへの対応をどうするか聞いてなかったんで助かります」
「まあ、とは言え全てのブン屋がウチみたいにお行儀がいいとは限らないんで気をつけた方がいいですよ。……それはそれとして、今日はテイムモンスターはいないんですか?」
何だかんだ言ってしっかりこっちの状況を聞くんじゃないか、というツッコミは腹の中にしまっておいた。
今回のイベントに際して、テイムモンスターは全員出動している。今もカードの状態で神楽にしまってある。
梨々香のクラスメイトが一人もいない状態になってしまうので、しばらく勉強は氷谷さんとのマンツーマンだ。
一人くらい残した方がいいかと思ったが、梨々香に「お仕事なんだからみんなと一緒にしっかり頑張って、私も頑張るから」と逆に励まされてしまった。
梨々香は本当に良い子だ。何かお土産を買って帰ってやろう。
……まあ、テイムモンスターに関してはどうせ召喚する事もあるだろうから、別にそこはバラしてしまってもいいか。
「人が多そうだったんで召喚してませんけど、ちゃんと全員連れて来てますよ」
「そうなんですか! 高坂さんはご存知か分からないですけど、高坂さんの連れてる魔物は皆大人気でして……写真撮らせてもらうことって出来ませんかね!? 巻頭カラーのピンナップや表紙にしたいんですが!」
何だかんだ言って撮影の交渉までするんじゃないか、というツッコミが喉まで出かかったのをどうにか止めた。
そこでスマホで静香に連絡を取っていた美沙が話に割って入ってきた。
「シーカーズ・フィールドさんからは事前の申し込みがあったんで取材自体はOKなんですが、今は出発前なのでご勘弁頂きたいとの事でした。Aチームがこのベースキャンプに戻って来たら取材の機会を設ける予定なのでその時に、と」
「なるほど……承知しました、ではそれまでお待ちしております。長々とお留めして申し訳ありませんでした」
佐原さんがぺこりと頭を下げた。
「いえ、見知った顔がいて少し安心しました。また後でお会いしましょう」
「そうそう、隣の列の隅っこにあるエクシード・ブレイブの担当者も高坂さんを探していらっしゃるようでしたよ」
「……なるほど、そっちも顔出さなきゃかぁ……」
聞いてない、エクシード・ブレイブの話は全く聞いてない。そんなの絶対一桜かラピスを出してくれって言われるに決まってるじゃないか。
いっその事、どの組織から申請が出ててどの組織の取材を受けていいのかを明文化してくれたら楽なんだけどなぁ……静香も忙しいだろうし、多くを求められないか。
俺が腕を組んで悩んでいると、美沙が俺の服の裾をちょいちょいと引っ張る。
「渉さん、大丈夫っスよ。サンブリンガーズの事務所に連絡取って今回のレイドに参加してて取材の申し込みがあったり協力関係にある企業のリストと対応方法の一覧を貰っておきましたから、わざわざ毎回聞き出さなくても可否の判断が出来ますよ」
「マジか……そこまで気が利くなんて流石だなぁ、もはや敏腕マネージャーだな」
「ふふーん、これでもあたし良妻賢母目指してますからねー! もっとしっかりねっとりどっぷり褒めてもいいんスよ?」
分かりやすくドヤ顔で胸を反らせる美沙の頭をなでてやると、名前の知らない女性記者が意を決して美沙に話しかける。
「あの、月ヶ瀬さん!」
「何ですか?」
いきなり目を細めてよそ行き顔になるのはやめなさい、記者さん戸惑ってるじゃないか。
「実は月ヶ瀬さんにも取材を申し込んでまして……お帰りになられたらインタビューを受けて頂けませんか?」
「ん? 長崎書房さんからは……あ、二つ来てますね。こっちはシーカーズ・フィールドとは違うんですか?」
「ええ、こちらはあの……『シーカーズ・マリアージュ』って言う最近創刊した雑誌なんですが……その、探索者向けの結婚情報誌でして……仲のいい探索者カップルにお話をお聞「受けましょう!!!!!!!」えっ、いいんですか……?」
女性記者が説明の途中だと言うのに目をギラギラに光らせて美沙が叫んだ。何なら女性記者の手を引っ掴んで握りしめている。
……何だか凄く心配だ。ある事ない事……下手したらない事ない事吹き込みそうだ。
少なくとも、江田島から帰るフェリーの上で渡したセトウチ・アクアマリンの話は絶対にするだろう。今もカード化した状態で神楽の中にしまっているのを俺は知っている。
いや、カップルって事は俺も話を聞かれるのか? それはかなり恥ずかしくないか?
「無事に帰って来ますんで、後でしっかりお話しましょうね。えーと、お名前は?」
「あ、鹿島と申します」
「鹿島さんね、覚えました。それではまた後でお会いしましょう。ほら、渉さん、次行きますよ次」
美沙が鹿島さんの手をパッと離し、超上機嫌で俺の腕を引っ張るので、俺は佐原さんと鹿島さんに頭を下げて長崎書房のブースを辞した。
美沙があまりにもチョロ過ぎるバグが猛威を振るっている。これは対策しないと色々困った事になりそうな気がするぞ。
結局、美沙がサンブリンガーズ運営から受け取ったリストを頼りに各ブースを訪ね歩き、挨拶がてらのドサ回りを敢行する羽目になった。
先程話に出たエクシード・ブレイブのブースだけは結構ごった返していた事もあり、俺達が行くと余計な騒ぎを呼びそうなので迂回する事にした。
チラッと見た感じでは、興行で人気のある探索者グッズを中心に色々販売しているようだった。俺達のグッズもあるようだ。
一桜とラピスのグッズが既に売り切れているあたり、熱心なファンがいるようだ。顔を出さなくて正解だったかも知れない。
あらかた訪問が終わり、東洋鉱業で微調整の終わった八重垣を受け取ったのは、Aチームの集合三十分前の事だった。