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天人伝承  作者: 安芸
第四章 苦しみを見出すということ
31/82

我が輩(ともがら)を

 紹介内容をまとめるのは、一苦労でした。

 そこでセグランが横いった。

「では、もしよろしければ、私が通訳をいたしましょう。王子が紹介するのでは天人語の応酬になってしまい、皆にはわからないので窮屈な思いをすると思います。いかがですか?」

「セグランは天人語がわかるのか」

「この十年、勉強いたしました。会話と読み書きも、不自由しない程度にはできます」

「そうか。ではすまぬが、皆への通訳を頼む」

「はい」

 キルヴァは首肯し、まだ畏まったままのダリーの傍へといった。

「彼はダリー・スエンディー。肩書は第四領地領主直属近衛兵長だ。ダリーは剣の腕も相当なものだが、強いだけじゃなくて思慮深い。行き当たりばったりでは動かない。人にものを教える指導力や、意見をまとめたり、まとまった力を引っ張ったりする牽引力に優れている。それにすごく信義や礼節を重んじていて、私も彼にはいつも教えられるばかりだ」

 次に、ミシカの横に立つ。

「彼女はミシカ・オブライエン。肩書は第四領地領主直属近衛兵副長だ。ミシカは慎重で警戒心が強いから滅多に間違わない。危険に対しては厳しくて、特に私に関してはちょっとでも危ないと思うと一度は必ず制止してくれる。だがそれは私に限らず皆の身を案じてのことだ。人にはなにかと誤解されやすいが、ミシカは強くて優しくて親切だ」

 次に、エディニィのところへ行く。

「彼女はエディニィ・ローパス。肩書は、あとは他の皆と一緒で、第四領地領主直属近衛兵だ。エディニィは誰とでも親しくなれて、どこへでも入り込める才能がある。情報を収集する能力が抜群に秀でているのだ。それに家事が得意で、料理もうまい。私は彼女の食事が一番好きだな。明るくて、面倒見がよくて、気が利いて、楽しい女性だよ」

 次に、クレイの肩を叩く。

「彼はクレイ・シュナルツァー。肩書はもういいな。クレイは潜入が得意で情報の拡散と攪乱が専門なんだ。口が上手で記憶力が確かだからなにかと援護に役立ってくれている。もう何度助けられたかわからないくらいだ。いつも私を笑わせて、場を賑やかにしてくれる。彼がいなかったら私の生活はだいぶ重苦しいものになっただろう」

 次に、カズスに笑いかける。

「彼はカズス・クライシス。カズスは剣の使い手としては最強だ。私が知る中で最も強靭な腕と身体捌きと馬術を備えているから戦場では頼もしいことこの上ない。頑丈で、体力もあるから、護衛の任や寝ずの番も安心して任せられる。人柄が率直で明朗快活だから誰からも好かれるし、常に前向きな姿勢は私も見習わねばならないと思っているよ」

 次に、アズガルに視線を移す。

「彼はアズガル・フェイド。アズガルは私の切り札だ。攻守どちらも優れた技で幾度となく私の命を救ってきた得難い存在、それが彼だ。寡黙で、忠実で、辛抱強く、決断力、判断力、行動力、戦闘力は他の皆を凌駕している。彼が常に傍らにいてくれるので私はいつでも安心してどこへでも赴くことができるのだ」

 キルヴァはジェミスを一瞥したが、結局、名前を唱えるだけにとどまった。

 最後に、セグランを見る。思わず、笑みがこぼれる。

「……セグランは、セグラン・リージュは、そのままだな。紹介するまでもない。だってステラはセグランとは既に顔見知りなのだろう? 私には秘密にして黙っていたようだけど、それが理由のあることなら、私は特には尋ねない。だけどもし教えてくれるのならば、いつか聞かせてほしい。そう、私は知りたい。知りたいのだ、ステラのこの十年を。いや、ステラのことは、なんでも――」



 次はセグランとその友人関係を。

 引き続きよろしくお願いいたします。

 安芸でした。

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