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EP12 激戦《ハードモード》

「うおおおおおおっっ!!」

「はああああああっっ!!」


 何度も果敢に斬りかかる空と、それを全て受け止めるオタキング。観客の目から見たらオタキングは防戦一方で、空の方が押しているように見えた。

 しかし実際は空の方が焦っていた。


(決定打に欠けるな。こいつ、受けが巧い!)


 空は時折りフェイントを混ぜながら上下左右様々な角度から斬りかかっていた。普通のプレイヤーであればその多彩な技に混乱し、なす術なく倒されてしまうだろう。

 しかしオタキングはそれらの攻撃を、まるで機械のように冷静に、正確に見切って捌いていた。


(苛烈な攻撃でござるが、いつまでもは持たぬでしょう。攻撃が止まった時が反撃の時!)


 Re-sportsというものはかなりの集中力を使う。現実世界を認識しながら、キャラの視界も共有し、更に細かい操作を求められるのだからその疲労度はゲームをやっている時の倍以上。プロの試合では脳がオーバーヒートし倒れてしまう選手も珍しくはない。


 それほどまでにRe-sportsというのは過酷な競技なのだ。


「ソニックピアース!」


 空はオタキングの胸元めがけ鋭い突きを放つ。オタキングはその攻撃を冷静に円盾で弾き、凌いでみせる。


(スキルはもう使えない、一旦引くか……!)


 スキルは無制限に使えるわけではない。それぞれに再使用時間リキャストタイムが設定されており、一度使うと一定時間経つまで再使用することが出来ない。

 当然強い技ほど再使用時間リキャストタイムは長いので、強いスキルばかり覚えるとスキルが使えない時間が出来てしまうのだ。


 空はバランス良くスキルを編成してはいるが、忍者状態ではない今の姿では使えるスキルの数に制限がかかってしまっている。おまけに相手は悉く空の攻撃を防いでいるので空の使える攻撃スキルはこの時、全て再使用リキャスト待ちになってしまっていた。


 気取られぬよう、一歩後ろに下がる空。

 しかしオタキングはこの時を待ち望んでいた、見逃すはずがない。


速度強化スピードアップ!」


 今まで使わなかったそのスキルを使用したオタキングは、距離を取ろうとする空に猛追し、思い切り空に向かって剣を叩きつけてくる。


「こいつ……!」


 猫被ってやがった。空は心の内で舌打ちする。

 今が勝機チャンスと踏んだオタキングは、今まで封印していた攻撃スキルをここぞとばかりに放ってくる。


燃え盛る刃(バーンエッジ)!」


 炎を纏った剣が空を襲う。体を捻ることで辛うじて回避するが、体勢を崩してしまう。

 当然オタキングはその隙を見逃さず、円盾で思い切り殴りつけてくる。


「ち……っ!」


 少なくない量のHPが減る。このままではマズイと思った空は賭けに出る。

 彼はくるりと後ろを向くと、背中を向けて逃げ出してしまう。突然の行動に「……へ?」と戸惑うオタキングだが、すぐに平静を取り戻し追いかける。


「敵を前にし背を向けるとは見損ないましたぞ。その背中、遠慮なく叩き切らせて貰うでござる!」


 逃げる空をオタキングは追う。既に加速アクセルの効果が切れている空にすぐに追いついた彼は、宣言通りその背中に斬りかかる。


「フルパワースラッシュ!」


 迫る刃。

 しかしこの状況は空にとって理想の展開だった。

 彼は背中を向けながらニヤリと笑みを浮かべると、誰も想定していないスキルを発動した。


「『バックステップ』!」


 背を向け逃げている状況でそれを使えば、当然その体は進行方向の逆、オタキングの方に動いてしまう。

 そんなの自殺行為だ。血迷ったのかと観客もオタキングも思うが、空はいたって冷静だった。


「見せてやるぜ! 俺の108ある廃人技をな!」

 そう叫んだ空の体が、まるで時間停止でもしたかのようにピタリとその場で止まる。その数瞬後くるりとその場で回転しオタキングの方向を向いた空は、技を発動する。


「廃人108技――――『バックファイア』!!」

「ぷっ……!」


 静止したはずの空が急加速し、オタキングの顔面に飛び蹴りを食らわせた。

 突然停止してからの反転し、急加速。目まぐるしく変わるスピードに観客もオタキングもついていくことが出来なかった。


「隙だらけ、だぜ!」


 顔面を蹴られ怯んだオタキングを、空は何回も斬りつける。

 オタキングは必死に盾と剣で防御するが、HPはジリジリと削られていく。


「ぐっ、強烈……!」


 堪らずオタキングは一旦空から距離を取り、信じられないと言った表情で空を見る。


「今の動き、『バクステキャンセル』……いや、『バクステキャンセルキャンセル』でござるな? まさかこの目で、しかも試合中に見ることが出来るとは」

「面白い動きだろ? 苦労したんだぜ」


 そう言って笑う空を見て、オタキングは背筋が凍る思いをした。


 その技術は多少『苦労した』くらいで使える技ではない。血の滲む、いやそれ以上の狂気的な努力がないと使えない技だったのだ。

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