表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

おしまいの聖女

作者: とりさし

初投稿です。

手直しして連載を考えてますのでよろしくお願いします。

 おおぅ!?!


 あぁ、夢だわこれ…ここんとこネット小説読みまくって晩酌して寝落ちだし?


 定番のほっぺつまみも痛いような気がしたけど、そもそも夢なら痛くないとか証明しようがないが。


 薄ら赤く発光する円。その中にいくつかの円とそれを繋げる曲線。よく見るとクネクネした文字が重なっている。


 その中心に私がいた。部屋着兼パジャマで。


 中世だか近世だかヨーロッパ風な広間に神官、騎士、奥に王様が勢揃いしている。


 夢であれ。


 二度寝したら覚めるだろう。

 スヤァ……

 スヤァ……スヤァ……



「「「「「「∂∃∅∆∇∉⊄∏∅ー!!」」」」」」

「「「「「「OOooooOoーー!!!!!」」」」」」



「うっさいわー!!!人が寝てるのに!!」

……

…………

………………

 黄色頭の神官が近づいてくる。


「∧∏∑∝∞∈⊗アルベール、⊄∥∑∨∧≯∇∬?」


 自分の胸を指差し、その後手の平を私に向けて言った。名前を聞いているのか?  

    

「チサ·ミヤノ」

 

 後のおっさんの口がモゴモゴと動いた。





「いや、ここまで書くならムー○で書こうよ?!」

 スマホをスクロールしながら作家様への届かぬ思いを叫ぶ私、矢野咲知は九州の隅で一人暮らし、休職中の28才だ。マンガ、ゲームは日本人としてそこそこ嗜んでいるが、いかんせん飽きっぽい。


 仕事は大学の延長でそこそこ楽しかったが、年の離れた姉の残した甥っ子姪っ子の世話をすることになり実家に帰省して数年。そこに姉の元夫のご両親がやってきてこれまでの養育費と称して中々の大金を押し付けて甥姪を引き取っていった。


 思うことは色々あるが、こんなところでギリギリの暮らしをするよりよい生活をさせてもらえるだろう。そうであってほしい。そんなこんなで缶チューハイで晩酌して寝落ちするそこそこな自堕落ライフを過ごしていた。整理がついたら復職する予定ではあったが。


 熱しやすく飽きっぽい、このところのブームがネット小説である。枯れっぷりが目に浮かぶだろうがソッとしてほしい。同時に数十話読み進め、少し飽きてきたら違うものをインストールしまくり、読みかけが百近くになっている。お気に入りタグは悪役令嬢とかの雑食。


 つまりは、聖女召喚はそこまで興味の対象じゃないし、話が多すぎてこの人ら何の誰だよ?って事だ。

 そして先程に戻る。




「チサ様。言葉が通じるよう呪い(まじない)を掛けさせていただきました。どうでしょう?」


「はい。通じます。ありがとうございます」


「改めまして。私は聖女様の世話役となりますアルベールと申します」


「私も改めまして。チサ・ミヤノと申します」


 アルベール(……ねぇ?)は20過ぎくらいか?本名を隠すのは鉄則だな。てか、やはり聖女召喚か。作品は何だろうか。


「ところで、この状況を説明いただけますでしょうか?」


 チラチラと気になるものがあるが、アルベールに聞いてみる。なるべくおとなしく見えるように。とっととここから移動したい。気持ちが悪すぎる。


「これは失礼いたしました。チサ様が大変お綺麗なもので惚けておりました」


(嘘くせぇ!揃いも揃って皆ハリウッド俳優並じゃねぇか!日本語上手いし外タレ事務所という線も捨てきれない。うん、これはモニ○リング?)

キョロキョロとカメラを探してみるが分からなかった。


「(スルーしてと)何かお困りでしたらお伺いいたしますが、できることはないように思いますが…」


「いいえ、あなたにしかできない事なのです!神に祈り、導くことのできる女性を召喚しチサ様が顕現なさいました!我が国に正当な世継「あぁ!!疲れで立ち眩みが!ジビョウノシャクが!!二日酔いが!!!」」


(セフセフセーフだよな!?聞いてないし言わせんぞ!!)


「これはいけない!部屋に案内いたしますのでお休み下さいませ!この者はニコラ、聖女様付きの侍女でございます。口がきけないのが難点ですが、賢く気が利き、武芸の嗜みがあります。さ、ニコラ、案内なさい」


 10才位か?黒髪の可愛らしい子がスッと入ってきた。可愛ええわぁ。色が目に優しいー


 豪華な、何故か(白目)入ってきたところとは別のドアがある部屋に案内された。


さぁ、お休みなさいだ!



スヤァ……

スヤァ……スヤァ……



「夢だけど!夢じゃなった!!夢だけど!!夢じゃなかった!!!」


 おぉぅと頭を抱えていると、ヤツ(アルベール)が入ってきた。どうやら20分ほどしか経っていなかったぽい。これでは仮眠!体内リズムの正確さが恨めしい……!ニコラちゃんが用意した服に着替え(さっきまでスウェット上下だったよ!お綺麗とか出任せ以下じゃねぇか!)、紅茶(コーヒー派なのにうっかり紅茶派に鞍替えするとこだったニコラちゃん天使。紅茶天使)を啜っている間にヘアセットされ、白に金糸刺繍のワンピースのような服に着替えさせられたところ、ものすごくいいタイミングで入って来た。


 監視、されてるな?


「お疲れでしょうが、謁見の間にお越しいただけませんでしょうか?」


「わかりました。本調子ではありませんが、参ります。ニコラに付いてに来てもらっても良いでしょうか?」


「随分と気に入ったのですね。私としても嬉しいです。ニコラ、付いて来なさい。」


 アルベールに案内され謁見の間に通された。


 謁見の間。青に金糸の装飾のあるタペストリーが左右の壁にある。装飾過多な広い部屋に数段高い場所にある玉座へ続く赤い絨毯。何やらズラッと左右に並んでいて、奥は多分王様と左に王妃か。若いのは王太子?か。がいる。で、やっぱりチラチラと気になるのが空中に浮いている。




「よく来た、異界の聖女よ」


 王がよく通る声で話しかけてくる。


「御目にかかれて光栄にございます。チサ・ミヤノと申します。誠に残念ですが、現状私に助けとなれるようは思えません。ここに世話になるのも心苦しく、市井に降りたいと存じます」


 カーテシーなんてわからないので日本人らしく笑ってごまかす!


「いや、聖女殿にしか出来ないことなのだ。これより「あぁ!ジビョウノシャクが!二日酔いが!!」」


(言わせてたまるか!あぶねぇ!)


 とりあえず、直ぐに殺さない程度には甘いことはわかってる。このまま押し通す!


しかし、しかしだ。チラチラと気になる。


「申し訳ないのですがあちらの方々を呼んで下さいませんか?えーと、金髪の子とピンクの女の子と青い子と緑と赤と黄色(戦隊かよ!)の」


「それは大事な事なのか?」


「一刻を争います」


 王が目配せをし、彼らを呼び寄せた。


「「「「「「お呼びでしょうか聖女様!」」」」」


 すごい誇らしげだな!でも、多分、ごめんよ~


 チラチラと気になるのをヒョイヒョイとしてと…


「えーと、ねぇ……ファイ!!!!」


「てっめ!こいつは俺のもんだ」「いや、私の声がたまらないと!!」「あんなにも激しくもと「私を誰だと思っている!!」」「……!!!」「「「「「まさか!!!!」」」」」


繰り出される拳が鳩尾にヒット!後ろから蹴らないであげて!あー、立派な服がボロボロに……髪引っ張ると禿るよ!魔法は流石にヤバいから止めてあげて!羽交い締めにしている青と緑偉い!けど締めすぎ!


 うん、スマブラかな?笑

 彼女流れ弾に当ってるけど大丈夫?笑


 うん、チラチラと気になるもの、1つ2つ確定してしまった……


 DNAの残滓かぁ……


 え、だとしたら、あれは

「ねえ、アルベール、右列の体格の良い騎士とその横の彼。左列の青髪の彼と、水色の小柄な彼」


……

…………

………………


「じゃあ、あなたと左奥の…「流石は聖女様素晴らしい!流石です!」」被せてきやがった!


 あー、ヒエロスロコス組めるな。


「ねぇアルベール、初等科の教室で我慢できずにおも…「あー!!」」

「ねぇアルベール、好きな娘の笛「あー!!!」」

「ねぇアル「あー!!!!」」


 気になるもの3つ目も確定。正しいっぽい。ヤバイなこれ。

 ちなみに止められたのはアルベール愛のポエム(笑)


てことは、

てことは。

ヤバい。ヤバすぎる。


 広場では未だ大乱闘中だ。もう少しヒョイヒョイとしておこう。左右は別の調整を試してみよう。

 うん、いい感じにピンクになった。


「ねぇアルベール。この国同性婚は?」

「禁じられています」

「そっか」

「しかし抜け道などいくらでもございます」

「だよね!」


 なら問題なし!



「ねぇ、ニコラ。一緒に付いてこない?ここより正しく生きられるよ。きっと楽しい」

 なるべく優しく尋ねる。子供を導くのは大人の役目だ。

「それで良いなら、首を縦に2回振って」


 ニコラは1秒程間を置いて、首を振った。確かに2回だ。


      [管理者権限を得ました]


「ョシャ!!」


 思った通り!!正直時間がヤバいが手早く済まそう。

 ニコラの下矢印をタップ。項目の呪い欄を削除。


「ぁ…ぇぁあ……」


「声、久しぶりだね。練習しよう。これからたっぷり時間はある。」


 泣きながら首を振るニコラは可愛すぎ。


「じゃ、アルベール、私を背負って走れ!ニコラついてきて!」


 周囲の恐慌状態にビビったのか、素直に言うことを聞いてくれた。



「あー、ちょっと、あのおじさんとこに近寄って。」

「おじさんて!大神官様ですよ!?!」


 ヒョイヒョイとしておく。出来るだけ苦しんで死ぬといい。


「城外まで全力ダッシュ!!」


「なんで俺が!!」


「あー、14歳のとき左手に「わかりました!聖女さま!どこまでもお供いたします!」」


「俺て!そっちの方が嘘くさくなくていいね!ニコラも付いてきてー」


中二病って共通なんだなー



***



「やってもうたー!もう死にたいぃぃ……皆に迷惑をかけた……合わせる顔がない……ぅぁぁ……ドヤ顔恥ずかしい……あぁぁぁ……」


 無事に追手もなく、街の外れに辿り着いた。


 落ち着いたと思ったらこれだ。この人、とてもめんどくさい。


「もう二度と飲まない……申し訳無さすぎる……とりあえず飲まないとやっていけない…!!」


「どっちですか」

 

 質屋で宝石類を換金し、古着屋で平民の服を買って3人とも着替えた。聖女は何か手をヒラヒラしたと思ったら見た目が変わっていた。髪の色が黒から銀、目も焦げ茶から赤だ。


「派手すぎませんか?それ」


「日替わりでいくからどうでも良いよ……」


 何それズルい。髪の色は魔力を現す。目は血統だ。それに縛られているのがどれ程いるかわかって言っているのか。


「今日は何?お祭りなの?」


「今日は初代聖女が降臨なさった記念日なんですよ。まあ、お祭りなようなものです。なので、はいどうぞ」


「カップ、木製なんだ!可愛いねぇ。」


 これが可愛いとはなんだ?酒場前の屋台で買った葡萄酒を聖女に手渡す。銅貨2枚だ。ニコラには葡萄汁だな。


「何?酒場?」


「はい。あちこちに支店があって仕事の斡旋もしていたりするので機会があれば見てみるといいですよ」


「ふーん、店名は?」


「ルイージの酒場です」


「惜しい!!非常に惜しい!!」


あれだけの酒でまさか酔ったと?

 

 聖女は葡萄酒入のカップのフチを掴みゆらゆらさせている。


「こっちの人って、髪の毛カラフルだよねー。鳥か!鳥から進化したのか?!ねぇ、ダンスとかあるのやっぱり?」


「進化ってなんですか。そりゃ社交がありますし、嗜みとしては当然。」


「ヒャー!やっぱり鳥か!求愛ダンス?マイコドリか?!師匠のマネするんだっけ?出産は胎生?卵生?頭に殻乗せるタイプ?」


「卵ではないです!」


「ねぇ、ピーちゃんって呼んでいい?髪の毛ヒヨコみたいだし」


「絶対嫌です!」


「ねぇねぇ、鳥ってさぁ、おしどり夫婦とか言ってるけど卵温めている間オスは浮気してるんだと」


「知らなくて良い真実ですね。ていうか、それ2杯目ですか?」


「城の広間で見た」


「あぁ……」


 2杯目は無視か。


「ねえねえ!どっかに婚約破棄された令嬢落ちてないかな!」


「御令嬢はその辺に落ちていません!!というか、婚約破棄騒ぎなら、先程殴り合っていた方々が半年前に」


「あぁ!あの第ニ王子とその仲間たち!もったいないことをした!!半年前に来たかった!!悪役令嬢助けてみたかった!!ざまぁ見たかった!」


 第ニ王子紹介したっけ?


 顔をしかめて悔しそうにしている。何なんだ。


「何すか悪役令嬢とかざまぁとか。確か、スッキリしたように隣国の王族に嫁いで行かれましたよ。あー、あのあと第ニ王子たちどうなったんでしょう……」


「ああ、トリアタマーズは無事に繁殖期を迎え巣ごもりに入ったところでしょう!来年の春には新しい命が見られるかもしれませんね。現場からは以上です!」


「鳥頭て!巣……。あー、離宮……。何したんですかもう……て、3杯目?!」



***



「あははははははは!!!何これ!何これ!!」


ピンク色の光る輪がアルベールを中心に回転する。でかいカードがその上に何枚も出てきたと思えば一枚選ばれ吹き飛ぶ。何度も見た変身バングだ。


『レッツ○ーム!メッチャ○ーム!ムッチャ○ーム!ワッチャネーム?!Iam○amenrider!』


「何なんですかこれ!?!ずんぐりむっくり動きづらい!」


「チベスナ顔の天才ゲーマー小児科医ー」

 

 驚いた。切り替えボタンがあると思ったら、こんな事までできちゃた。自分やニコラには出来ないから、アルベール(ピーちゃん)だけか。


「次はこれ行ってみるか」


『シャ○ドゥビタッチ○ンシーン!シャバドゥ○タッチヘン○ーン!!!』


 アルベールの左側に巨大な魔法陣が赤く発光しながら近づいてくる。


「やかましい!!今度は何なんですか?!」


「世界観に寄せてみた。指輪の魔法使い。」


「魔族の王子もいっとく?」


「物騒!」


 残念なのはエフェクトのみで殺傷力がないということだな。いや、あったら世界を物理的に壊しかねないからこのままでいいかも。


「初めのは、謎のウイルスと戦って世界を救うお医者さんの話ー」


「医者は戦闘職なんですか?」


「次のは謎の儀式に巻き込まれた青年が愛する人のために戦う話ー」


「儀式」


「因みに、幼児からこれを観て生き様を学ぶ」


「戦闘民族喚んじゃった?!」


「女の子向けもあるよ」


「そうそう、儀式。あなた知らなかったでしょう?世話役の意味」


「か弱い異世界の聖女様が不都合のないようにお世話するよう仰せつかっついたのですがね」


「名前。聞かれたでしょう。その後、後ろのおっさんが何かした」


「おっさんでなく大神官様です。私を媒介に世界とつながり言葉の壁を取り払う秘術だそうですよ」


「半分正解。後半分は私に首輪を付けるものだった。本来は聖女が逃げたり言うことをきかなくなったときに始末するためのものだったんだろうね。世話役を殺すことで聖女も死ぬようになっていた」


 そう、本来は。私が偽名を名乗らなければ。


「だけど、失敗したの。結果契約は逆方向に結ばれた。だから、私が死ぬとアルベールも死ぬよ!死ぬ気でか弱い私を守れ!そんで何故か私の想像したことが出来ちゃうみたいでさ。見た目だけだけど。魂の線が繋がっちゃったみたい。つまり、あなたは私の出力装置(デバイス)化したらしい!おめでとう!」


「めでたくない!」



***



 遠くに物々しい集団が見えた。


「お、来た来たぁ!そろそろだと思ってた!」


「近衛騎士団!早く逃げましょう!!」


「よーし、ニコラちゃん、危ないからこっち隠れててー。良し行け!アルベール!人差し指と中指立てて腕を振り下ろせ!!!」


「何なんですか!!うわぁーーー!!」


黄色の、大事な部分しか隠れないミニスカートの大きなリボンのついたコスチューム、ボリューム()()ヘアスタイルになった。スネ毛の処理させないとだな。


「なんて破廉恥な!!」


「あは!あは!あはははははははは!!!!!!!!」


 甥姪と一緒に観たニチアサは無駄じゃなかったな。


『○ースサンダーハリケーーーン!!!!!!!!!』


 街の広場を埋め尽くさんばかりの激しい光の柱が上がる。両手に収束された雷が騎士団を襲う。


 耳をつんざく轟音とともに視界がバチバチと光で埋め尽くされる。




「さぁ、今のうちに逃げるよ!!見せかけだけだけどしばらく動けないさ」


          [ピコン]


「おめでとう。性癖に女装が追加されたよ!」

「嬉しくない!」


***



 あれから更に歩いて適当な飲み屋に入った。


「説明をしてもらえると助かるのですが」


「そうだねぇ。見たほうが早い。あそこの男女見て」


 男は不機嫌そうに女から顔を背け、女は無表情でうつむいている。


 ヒョイヒョイと指を動かす。


 二人は目を潤ませて抱き合いキスをしだした。男の方は右手の平で女の髪をかきあげるように頭を抱き寄せる。反対側の手は互いに絡まりだし……

 キスもついばむようなものから段々と感触を味わうような……


「はーい!ニコラにはまだ早ーい」


 手で目隠しをする。


「何なんですか?」


「えーとねぇ。何でか状態が見える。今のは好意のバーを上げてみた。トリアタマーズや騎士達にしたのより大分控えめに。お互い好き避けだったんだろーね。お祭りだし、良い記念よ」


「何かあったらどうするんですか!人の人生を!」


「少し見てみたけど大丈夫そうだよ。性格、家柄、他に好きな相手もいなそう」


「それもわかるんですか?」


「情報が見れちゃうのよ。普段は名前と立場位で詳しくは見れないけど、対価を払えば項目を開くこともできる」


「対価?」


「頭が痛くなるね。徹夜した時の命削る感じ。でも、あなたの恥ずかしい情報と引き換えなら只で見れる!」


「何ですかそれ!!!」


「情報見ようとしたら、あなたの黒歴史がポップアップ広告のように入ってくるんだよね。それが邪魔で見えないことも多いね。どうにかしてタッチさせたいのかな?それでポイントが貯まるのかも」


「ポップ……?」


「いやぁ、神に愛されすぎてるねアルベール!!」


 他にも熟年夫婦をいい感じにしてみたり、腰痛持ちのおじいさんのバーを快癒に動かしてみたり。


「で、王宮の話。あれはもう終わっていたのよ。どうしようもない。聞く?王太子は子を残せないし、第ニ王子は王の子じゃないし、王ももう枯れてる」


「聞くんじゃなかった!国家機密じゃないすか!!」


「だからとっとと逃げる一択だったの。聖女に子を産ませるかで何とかできると思ったんかな?無理だわ。因みに、何を願って召喚したの?」


「国を導いてくださるように、ですね」


「そう、導いたよ。終わりに。知らないけど、神様も私を選んだんだからこれでいいんだろうね」


 DNAが見えたり、w○kiが見えたり、状態が見えたり。DNAが見えるのはおそらく前職がDNA解析をしていたからか?w○kiも?デバイス化は術式失敗のせい。状態が見えるのが聖女の能力か?


「引導……!」


 アルベールがテーブルに突っ伏した。


「大丈夫。神話の時代の終わりよ。謎の力に頼らないで統治するなりするといい。ほっといてもそのうち民衆の時代が来る」


「んでね、召喚なんだけど、多分次の聖女とかって話になると思うから、捕まえに来ると思うよ。前の聖女様って今どこにいる?」


「お国に帰られたそうですが」


「召喚するために前聖女と世話役の血液が大量に要る」


 魔法陣には何人ものDNAが表示されていた。量からしてはっきりわかるヤツは前聖女と世話役。その他にも沢山のDNA。血液を継ぎ足して魔法陣を描いたのだろう。

 

大神官についた血痕からも同じ跡があった。


 大神官。逃げる前に確かめたが中々の外道だった。私が呼ばれた原因こいつなんじゃないか。


 時間がなかったが、痛風、群発頭痛、尿路結石、糖尿病、虫歯、水虫、腋臭のバーを限界まで上げてやった。


「ーー…………!!」


アルベールが血の気が引いた顔を手のひらで覆った。


「私を守って死ぬ気で逃げろ!大丈夫!私が死なない限りあなたは死なないよ」


 そう。殺しても死なないかも知んない。



「じゃ、これからどこ行こうか。アルフレド・ムーヒカ。」


 アルベールの本来の読み方だ。このお陰で偽名を名乗ることに気づいたのでGJだ。アルベールでも偽名じゃないんだが結果オーライだったが。


「あぁ、わかっちゃうんですね……」


「貴方が頼むならこれ以上は見ない。泣いて頼むなら。半年前花屋ですれ違った女の子のパ……」


「やめてくださいこれ以上はどうか!!」


「よかった。私としてもこれ以上は耐えられない。主に腹筋と共感性羞恥が」


「ふぐぅ!!!」


「……伝手があります。一応ですが。隣国へ進み、途中から商隊に混ぜてもらいましょう」


「仕事も探さなきゃなー。撹乱と情報収集は天職だと思う」


「諜報じゃないですか」


「スパイ聖女!新しい!いいねそれ!」


「厄介払いされた冒険者とか駄目妹に虐げられてる姉とか追放された聖女とかいないかなー!あー!ヤンデレとかどっかにいないかな!トリアタマーズの青と緑、あれでサヨナラしたのは惜しかったわつくづく!」


「逃亡聖女ならここにいますよ」


「それな!」



「ニコラもそうそう、一応見た目変えるよ。時期が来たら戻してあげるね」


 聖女が手をヒラヒラした。もう聖女とか呼びたくない。魔王だ。なんてものを召喚して(呼んで)しまったんだ。


 ニコラの髪色が変わる黒から銀。目は赤だ。これはまるで。


「親子と姉弟どっちにしようか、()()()。そうそう、名前も変えよう。カリスでいいね」


「男児だったのか」


「おねぇちゃん!!」

 



 ニコラは男子でニコルが本名だった。城に住む使用人を母に持つ。


 おそらくこの国の王は、Y染色体に乗っかる何かが必要だったのだろう。金髪青目が王族の色らしいが、彼は隔世遺伝で母方祖母の色が出てしまった。それで、王族と気付かれず、捨て置かれた。それで粛清から逃れたのだろう。それでも利用されないとも限らない。それで彼の母は声を封じたのだろう。そして、亡くなった。


 そう、ニコルは私の切り札だ。

































ヒエロスロコス・・・古代ギリシャ(テーバイ)最強の歩兵部隊。150組の男性のカップルで編成されていたよ!互いに守り、かっこ悪いとこを見せるわけにいかないから強いんだね。後のアレクサンダー大王に敗れる。


マイコドリ・・・求愛ダンスがトニカクカワイイ。オナガセアオマイコドリは師弟がタッグを組んで雌の前で踊るよ。弟子は引き立て役。鳥のオスってどうしてあんなに派手で面白いかな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ