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小さな命

作者: 絹花

彼との出会いはゴールデンウィークを過ぎた5月でした。

スポーツカー好き、阪神ファンという事で、

毎日メールで楽しい日々を過ごしてました。

5月末、彼の車を見せてくれると言う事で、初めて彼と会いました。

私が大好きな車の仕様で、かなりの男前、

ちなみに彼も男前です。

喫茶店に行き、話もはずみ、その日は帰りました。その後の日曜日、彼は車で山に行こうと誘ってくれました。

晩御飯を食べ、山で車を走らせて、私の家の近所に車を止めて、MDの懐かしいアニメソングなどを聞いてました。

私が車から降りようとした時、

「キスする?」と彼が言って、キスをして、私の家で結ばれました。

それから時間が許す限り、彼は私の家に来てくれました。

週末は彼のおすすめのラーメン屋へ行きました。

6月の始め、彼の17年間の親友と会い、カラオケに行きました。

それからは毎週末、3人で、ボーリング、カラオケに行く事が定番になってました。

7月の私の誕生日も3人で楽しく、いい思い出が出来ました。

車のチームのリーダーをしている彼の周りには愉快な友達がたくさんいて

毎日が爆笑の日々でした。

でも、忘れもしない出来事が起こりました。

8月8日、仕事中には携帯をしてこない彼からの電話

留守番電話にもメッセージがありました

「すぐに連絡くれ!」と…

命令口調で言わない彼からのメッセージ

仕事を早く切り上げ彼に携帯すると

「警察から電話があり、友達が死んだ」と…

私はすぐに何を言ってるのか理解出来ませんでした。

何が起こったのか、さっぱりわからず、友達の実家に行っても、もちろん不在。

とりあえず、電話があった警察へ行き、状況を聞こうと向かっていた所、

友達の双子の弟から彼に電話がありました。

急性心不全で7日の夜に孤独死だったと…

信じる事が出来なかった。

つい6日前には楽しく、ボーリング、カラオケをしていたのに…

お通夜の席で彼の元カノと出会いました。

元カノは私に気を遣い、友達の顔を見ることなく、帰ってしまいました。

私はそれが申し訳なくて、仕方がなかったです。

お葬式では、いっぱいお花を入れて見送りました。

瓜二つの弟がいるので、友達が亡くなったという実感も寂しさも感じなかった。

亡くなった友達のはからいだと思いました。

それからは友達の代わりに双子の弟と共に行動するようになりました。

8月の終わりに私の体に異変を感じました。

まだ生理予定日よりも10日も前なのに、つわりの症状があり、

8月26日に妊娠検査薬をすると、陽性反応が出ました。

有り得ない程早く、妊娠を知りました。

次の日に病院へ行きました。

友達の死のショックでホルモンバランスが崩れて、排卵日がずれたのだと言われました。

それは、確実に友達のお通夜の夜に宿った命です。

私は友達の生まれ変わりだと信じて、彼に産みたいと言いました。

9月の中旬に彼の母親に報告に行きました。

彼の父親に相談すると言って、その日はご飯を食べ、帰りました。

私は彼より、7つ年上のバツイチという理由で、大反対されてます。

病院へ行く度に、赤ちゃんの心臓は動き、命が育っていってます。

小さな命が育んでます。

どうしても、中絶だけは避けたい!

大好きな彼の子供の心臓を止める事は私には出来ない。

だけど、私には2人の子供がいるという過去があります。

彼は言いました。

俺の子供は3番目と…

私は返す言葉がなかった。

それが現実だと…

彼の親だけではなく、彼にも産まれてこようとしている赤ちゃんが望まれていないと…

彼が言う事がどこまで本気なのか、冗談なのか…

だけど、今、私達の小さな命は何も知らず、一生懸命育っています。

中絶という言葉を簡単に口にする彼の家族。

命の尊さを少しでもわかってほしい私の気持ち。

大きな溝、大きなすれ違い…

まだ、私のお腹にいる小さな命は頑張って生きてます。

精神的に不安定になり、くじけそうになります。

だけど、私が頑張らないと、私が守ってあげないとこの小さな命はこの世に生を受けないでしょう。

これから、どういう未来が待っているのか、わかりません。

この小さな命、会って、抱いてあげたいと…

涙が止まりません。

シングルでも育ててあげたいです。

産まれてくれば、彼もきっと実感がわくでしょう。

亡くなった彼の友人が捧げてくれた、小さな命、私は守りたいです。

その後につきましては、『小さな命、その後』と掲載します。

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