第10話 母からのアドバイス
「自殺は無かったというよな感じでチカラを使おうかと思ってるんだけどどうかな?」
「慶は初めからこちらに協力をして欲しいてこと?」
「うん。チカラは使うと思う。だからその時のフォローをお願いしたいんだ」
「……どうしても助けたいのね?」
「うん」
母はそれまでしていた作業を止めて、キッチンから手をふきながら出てきた。真剣な眼差しが慶を見すえている。
――この視線は外すわけにはいかない。
母は居間のソファーに腰を下ろして一つ大きくため息をついた。
「分かったわ。ならその時までの事はこちらでなんとかします。それでチカラを使う時の合図を決めておきましょう」
「合図?」
「そう。チカラを使った後にすぐ対処できるようにね」
「なるほど……」
「でもね……本当は母さん的にはチカラは使わないで欲しいの。あなたの為にも美由ちゃんの為にも」
「それが出来たら初めから相談しないよ」
「そうでしょうねぇ……」
母は大きくため息をついた。しかし、息子が頼ってくれたことを嬉しく思った瞬間でもあった。
「それじゃあ、あなたが力を使う日に私は学校に行くわ。そしてあなたをフォローするわ」
「母さん、ありがとう」
「可愛い息子の頼みだからね。息子の初恋も応援しなくちゃいけないし」
「母さん!!」
「ふふっ、ごめんなさい」
俺はは、少しだけ心が軽くなった気がした。
――良し、順調に計画が進んでる!! 後はこれを実行に移すだけ。
俺はそのまま美由のところへと向かった。