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The beginning of the story
大陸で一番大きな国、ヴァイツェン王国。
その首都、リールベンを知らない者はこの世界に一人としていないだろう。半径5㎞ほどの、城壁に囲まれたその都市の華やかさは、まさにヴァイツェンの栄華の証である。
中央にそびえ立つ王城。それを囲む貴族区。さらにその周りに存在するのは平民区。そして城壁際の貧民区とスラム街もこの都市の一部だ。
そんな大都市の平民区でファミレスを営む槍使いの青年がいた。
レベルとスキルとジョブ、というまるでゲームのような要素が支配するこの世界で、彼はかつて日本にいたころのバイト経験だけを頼りになんとか生活していた。
これはそこそこ行動力がありメンタルもなかなか強く、性欲が強いのが玉にきずな彼の物語である。
『カワイイ彼女が欲しい。あとエロいことしたい』
一介の青年がそのちっぽけな胸に抱いた祈りは果たして叶うのか。