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隆士は一旦保育園を辞めたが、やはりいきなり小学校に行かせるのは良くないのではと考えた母は隆士を別の幼稚園に行かせることにした。
前回と同じ轍を踏まないように、今度は近所に住む同じ年の子供を持つ鈴木さんと相談し、同じタイミングで入園させることにした。
鈴木さん家の子供の名前は直紀と言い、隆士にとって人生初めての友達となった。
この母の作戦は功を奏し、隆士は保育園のときとは違い、幼稚園では大きなストレスもなくやっていくことができた。
隆士は相変わらずの人見知りっぷりだったが、直紀がほどよいタイミングで隆士を構ってくれた。
先生もとても優しく、隆士も先生のことが大好きだった。
しかし、クラスには島田というガキ大将的ポジションの存在もいた。
隆士は島田については恐怖の念しか抱かなかったが、島田は弱い存在についてはこちらから何か仕掛けない限り手を出してくるような人間ではなかった。
ゆえに特に実害は無かった。
総合的に言うと、隆士は幼稚園での生活が楽しかった。
だから卒業が迫ってくるにつれ、隆士は強く思うようになった。
小学校なんかに行きたくない……。ずっと幼稚園にいたい。
と。
隆士にとって小学校は勉強もしなければならないし、先生も厳しく辛いところ。
そんなイメージしかなかった。
だがどんなに嫌だと思っても、そのときは必ず来るのである……。




