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個別説明会に出席する日がやってきた。


鈍行で片道1時間半、初めて来る県庁所在地である。

その会社は県庁所在地の中心駅から歩いて20分のところにあった。


説明会場に入り開始の時間を待つ。

参加者は全部で20人程度といったところか。


さて、先に結果から言うと、隆士は合同企業説明会のときと同じことを繰り返した。

採用担当者による業務内容説明・選考内容説明が終わり、合同企業説明会のときと同じように質問タイムが始まる。

質問は挙手制であった。

1人、そしてまた1人と質問を行い、それにともないまだ質問していない人数は減っていく。


 何か、何かあるはずだ。

 考えろ、俺!

 なんとかしぼりだせ!

 ……。

 ……。


「他に質問ある方いらっしゃいませんか?」


数秒の沈黙が流れる。

しかし隆士の手は挙がらない。


「では質疑応答はこれで終了とさせていただきます。 最後に今後の選考日程なんですが~~」


結局、20人いて最後まで質問できなかったのは隆士ただ一人であった。


隆士は失意のうちに帰路につく。

特に何か運動をするでもなく、ただ話を聞いていただけなのに、体が異様に重く疲労感が半端ない。


 ……もう無理、限界。


隆士は帰りの電車に揺られながら、就職活動の継続を断念するのであった。


たかだか合同企業説明会2回、個別企業説明会1回で根を上げる隆士。

そんな豆腐メンタルを持つ男の未来に待つものは、暗雲しかないのである。


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