3話〜「親子関係」
何回家にかけても携帯にかけても出なかった。うちの母親め!
そしたら知らない電話番号から電話がかかってきた。とりあえず学校の電話だろうと思い、
『おい、白河先生、電話〜』
と、呼んだ。まだ頭にタオルで巻いた保冷剤をつけている。
「おす」
な、なんだ今の声?
『い、今の声は一体』
「柔道やってたんだよ」
『なっ』
「黒帯」
『wa、wa、wa、wattu?』
「いきなり英語使うな」
『だ、だって・・じゃなくてすごいですねねね』
「そう思うだろう」
一通り先生の機嫌をほぐしたところで、電話を取った白河先生。さてさて、誰からかな・・・
「もしもし・・・・ゆ、優ちゃん!?なんで今」
「今は取り込み中みたいな言い方するのね」
「超取り込み中だよ!」
「なんのなんの?」
「ま、まあ色々あってだな・・」
「も、もしかして浮気ぃ?信じらんない!もういい!」
「そういうことじゃなくて」
「うえ〜ん・・ブチッピーピーピーピー」
「・・・・・うあああああああ優ちゃんーーー!」
彼女。っていうか居たんだ、彼女。
「そういうことじゃなくて」
で終わるかおい!
『先生、今の彼女ですか?』
「ああそうだよ!」
『じゃあなんでさっきはだまってたんですか』
「・・・・・・」
『ふーん』
「・・・ああそうだ、女の子にきれられないようにするにはどうすればいいんだい?女の子だからわかるだろう?」
殴っていいですか?だーかーらー俺はー
『女じゃねえって言ってんだろうがぁ!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どこ行ってたの?」
『ああ、ちょっとね・・』
「ふーんいいな。もしかしてサッカー部の飯塚《いいづか》くんとこいってたの?」
『そんなんじゃないよ』
「じゃあ、帰宅部の三辺君?」
ドキッ!な、なんでそれが出る!ってかあいつそんなにカッコよかったか?
「あ、きっとそうだ、いや絶対そうだ!」
『おっきな声で言うな!』
「あーーーあってたんだ」
『・・・・まあ会ってたちゃ、会ってたケド・・・』
「ふえーーー・・・ま、漫画クラブのわしらには縁のない話だけど」
『なに「わし」って』
「いいのいいの」
『さあさあ書こう』
ふー。難を逃れた・・・・さて、漫画描こうっと。
『では、これから第4回漫画クラブを始めます』
「「「「「「はーい」」」」」」
『では、先週までにできた人は見せにきてくださーい』
「藤沢さん、これでいいですか?」
『ん・・ふむふむ・・ここはもっと迫力があるといいかもね。あと、この表現も変えたほうがいいかも。また書き直してきぃ〜』
「は、はーい・・・」
『さて、次々!』
「せかしすぎよ・・・もうちょっとゆっくりさせてもいいんじゃない?」
『うーん・・・そうかなあ・・』
「ま、いっか」
『なによそれ』
「ふーふふーん」
『なーにーー?』
「ふーん」
意味不だな。まあいいや。
・・・・あ、そうだ。たけ・・・じゃなくて奈帆、これから私ん家来んのかな。
「何ぼーっとしてんのよ。もしかして、いろいろかんがえてた?」
何を妄想させるんだよっ!いくら親友だからってひどいじゃないか!
そう、やつは「小林春香《こばやしはるか》」。親友。
とかいってるけど、本当のところは単なる幼馴染。
幼稚園の時に一緒のクラスになったけど、いわゆる「ドS」の分類。そして男子が大体「ドM」だったから磁石のN極とS極みたいにうまくひっつきあってんだけど。
「あ、ところでさあ、奈津美はなんの漫画書いてんの?」
んぐっ!・・そう、私は今まで誰にも漫画の内容を教えてなかったのだ!他の人の漫画は夜な夜なこっそり見てほくそ笑んでるんだけど、やっぱりこんな時に聞かれると・・・罪悪感が・・・
「どんなのなのかな〜っとあった〜〜〜!」
!!!!!ぜ、絶対に見つからない所に置いてたハズ・・・なんで・・・
「ふむふむ・・・青春だね〜・・こんなの書いてたのか!ラブストーリー、いいねえ」
ジジ臭え感想いいやが・・・って?
ん?セイシュン?わたし、そんなの描いてたっけ?わたしが描いてたのはギャグ漫画・・
「・・・あ、これ渚《なぎさ》君のじゃない!な、な、なんてこったあああ!」
『だ、だと思った』
渚くんとは同級生の男の子。背もちっさくて、女の子っぽいんだけど、意外と活発。あと・・・・・キレたら先生もビビるほど怖い・・・
って、それってやばいんじゃないの?
「・・・・・うああああああああ!」
「大丈夫だよ、春香さん」
おおっと、割り込んできたのは幸樹《こうき》くん。・・って、まさかの春香の好きな子じゃん!
「ええっっっっと・・・(まじまじと幸樹君を見つめて)あ、そ、そうなの?」
「うん、だって」
「わたしを守ってくれるの?ありがとう!わたしのゆうしゃさまぁ〜」
「え、え、え、そ、そうじゃなくて、今日、渚来てないから・・・」
お、おい!なんでそこをそう言っちゃうんだよ!女の子の気持ちにでもなってみろよ!
まあ、春香の自己中さだから、分からないこともないけど・・・・
「っていうか、「ゆうしゃさま」って誰のこと?」
にーーーぶーーーいってーの!バカかこいつは!!確かに春香の自己中ぶりには引けを感じるほどだけど・・・・どんだけ鈍いんだこいつは・・それでも好きって言える春香は、ビミョーに尊敬するけど・・・あたしだったら速攻で振る。
・・・・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・
・・・・・・・・
『では、これで第4回漫画クラブを終了します。6年生以外の皆さんはそれぞれ各教室に戻って、帰る用意をしたらそれぞれ帰ってください。6年生の皆さんは、漫画選考をします。どうしてもな用がない限り残っておいてください」
「「「「「「はーい」」」」」」
『では解散!』
がリャがリャン・・・・・・・
『あ、あのさ、今日は用があるから欠席届しておいて』
「本人がかい!」
っ春香のツッコミ鋭い・・・
「ま、いいじゃん」
う、ううな!幸樹君!なんでついてくんだょ!
「どこいくんだ?」
『え、今日はちょっと塾で・・・』
嘘じゃないよ。ほんとだもん。でも、他の理由もあるけどね。
「ふーん」
『そ、それが?』
「い、いや、ま、まあさ・・」
『じゃ』
構ってらんないの!
「まって・・・」
ふくっ!はきっピューん
逃げよっ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テクテクテク・・・ん?
普通、歩いても「テクテク」とは言わないか。
っていうか、歩いてるだけなのに視線がすごい・・まあ、姿は女の子なのに男子の服着てるし、ダブダブだからな・・・ふくが。
ま、あとちょっとだからいっか。ふー、やっと家が見えてきた。
とことこ・・・・トントン・・・・?ドンドン・・?
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
オレは、夢を見ているんだ・・・はははっ絶対そうだよ、こんな無茶苦茶なこと、・・・・・・・・あるはずないんだから
「家の買取主応募中!気になる人は是非水野建設へ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?』