2話〜「男女関係」
「もういいよ」
そう言われたから目を開けた。10分くらい目つぶってたな。ながい!
『何したんだ?』
「あのね、あなたには話しておかなくちゃいけないことがあるの」
『なんだよ』
「あなたは・・私の妹なの」
『ああ、そういうことね・・っておい!冗談もいい加減にしろ!オレは男だ!』
「そういうと思った・・・」
『オレはお前と遊んだこともねえのにそんなわけねえだろ!それに女の子が男の子になったとか、ほぼほぼありえねえだろ!異世界人かオレは!』
なかなかいいツッコミだったかな、と、関西人の癖が出てしまう。
「そういうんじゃなくて・・」
『じゃあどういうことだよ!』
「落ち着いて聞いてね、その・・・あ、薬が効き始めたかな・・」
バタン!
オレは体が熱くなって倒れた。
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ううん・・・ここは・・・保健室か・・
さっき倒れたから藤沢が保健室に連れてってくれたんだろ・・
ん?でも、オレそんなに軽かったけ・・・
さて起きよあぁっそうだ、あのこと聞かなくちゃ!
「起きたかな・・」
『クスリってっ・・・・』
そう、オレは聞いていた。「薬が効き始めたかな」っていうのを。だが、それ以前になんてこった!オレの声は女の子みたいなソプラノの声になっていたのだ!
『この声は・・ヘリウムガス?まさか藤沢が言ってた「薬」ってっ!』
「まず鏡を見ろ」
保健室だからそりゃーいるだろうなとは思ったが白河先生・・・って鏡?
『何を見るんですか?』
「自分の姿に決まってんだろ。まぁ、最初お前見たときは誰かと思ったよ」
そんなに変わってんのか?顔がたんこぶだらけとかは嫌だけど・・・と思いつつ鏡を見たら・・
『ふぇぇ!』
思わずキショイ声をあげちまった!
だって、鏡に映っているのは藤沢似の・・まあまあ可愛い女の子が居たんだから!
オレが鼻をかけば鏡の中の美少女も鼻をかく。目を見開けば美少女も目を見開く。
でも信じるわけにはいかない。だから、男女の決定的な差を・・・
!む、息子がな・・・い・・あと・・・藤沢似でペチャパイ(0カップ)・・・なんならもっとおっきいのが良かった・・
『どゆことぉぉぉぉ!』
「え、えーとだな・・藤沢さんに聞いてくれっ!」
「ええええええっ!センセー!」
「自分でやったんだろ!自分でやったことくらい責任持て!」
「ふ、ふぁい・・えーとね、 ・・・きみってよんだほうがいいかな?それとも何か別の・・」
『別になんでも』
「じゃあ、・・【ナホ】って呼んでもいい?」
『いいけ・・・よくねえよ!』
「でも生まれたときはそういう名前だったんだよ」
『???』
「えーとね、その説明もすると長くなるから一緒に説明するね。えーと、むかしは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、おもろかったよ!あと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆう理由で・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ていうわけ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
だいたいわかった。えー整理すると、オレは昔女の子だった(ていう時点で不可思議だろ)。それも藤沢と双子の妹。だったけど、藤沢親は家庭でも経済的に不安定だったからオレを孤児にした。それで迎えてくれたのが三辺家。そしてその親の三辺姫花はアヤシイ科学者。その人が(俺の物心がつく頃にはもう死んでいた)オレに性転換薬を飲ませオレを男にした。そのあとお母さんが死に、幼稚園児となって(そのとき拓歩と出会った)小学生にもなった。そのときたまたま同じクラスにもなり、参観日に来た藤沢親がオレを見て驚いたらしい。そして今、血縁関係性転換薬を飲まされたということらしい。
『ゴメン、やっぱオレは状況に納得するのには時間がかかりそうだ・・』
「ま、新しい人生を歩んでいけばいいじゃない!どちらかといえば元の人生だけど・・」
『でも・・オレは男の子の方も楽しかったけどな・・』
「え、そうなの?」
『「にぶい」』
「・・・・・・・・」
「ところで君はこれからどうやって学校生活してくつもり?」
『「・・・・・・・・・・・」』
「例えばだけど、元の健くんは家の都合で引っ越しちゃったけど、その代わりに藤沢さんの妹・・ガンで手術してたけど退院した・・みたいなストーリーとか」
「それがいいんじゃない?」
『じゃあ名前は?』
「・・・・・・・藤沢奈帆」
『シュール』
「なにがよ!」
『なんとなく』
「何と無くで決めつけんな!」
『は、はい』
藤沢の本性その1、怖い。まあ、前々から知ってたことだけど。
「じゃあそういうことで」
「連絡とるから奈帆ちゃんは保健室で待ってて」
『先生、慣れが早いです』
「奈津美ちゃんは授業に遅れないようにね」
『はーい』
「担任の先生にも言っとくから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポチポチ・・ビービービービー・・この電話番号はただいま使われていないか、電波の繋がらない場所にいるもしくは・・・・・・
「おかしいな・・今日出かけるとか言ってなかったんだよね、お母さんたち」
『はい』
「こう、一大事にいないってね・・・」
いやいやあんた一大事と思ってねえだろ!
そこに・・学年主任キター!
通称「鬼先公(怒鬼・やがらせBBA)」の、川端綾先生。トランプのババはだいたいこの人に似せてる。
「三辺君!・・・・・・まじか・・」
すぐ戸を閉めた。ってかありがてえ!あのひとと関わったらろくなことねえよ。
「奈帆ちゃん、今日は奈津美ちゃんの家で泊まらせてもらったら?」
『馴れ馴れしいです。ウザイです』
「・・・・女の子にそんなこと言われると・・落ち込む・・」
『言っとけど、オレは女の子に納得したわけじゃねえかんな!』
「えええーーー・・」
『そりゃそうだろ。ってかテメーはどう思ってたんだよっ!』
「可愛い女のコジュビュット・・・・・・・』
女の子って意外と力あるんだな。実験台になってもらったのは・・・いうまでもない、白河だよ!