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14歳の脅威

<20歳編>

コンビニの防犯カメラには二日連続で同じ時間帯に同じ少女が映しだされていた。二日とも夕方頃。髪型は丁度肩ぐらいで顔にはマスクを装着していた。服装は制服に黒のタイツと足元はローファー学校指定の紺のコートそれに赤いチェックのマフラーを首に巻ていた。一日目と二日目…少しだけ違和感を感じた。でもそれがどこ辺りが?と聞かれたら分からなかった。


【14歳の脅威】


<田中美紀の証言>

指定のコーヒーショップへ平日の昼間、福田と出向く。既に田中美紀は店内に居た。首からIDカードを下げしきりに腕時計を見ている。彼女は高校卒業後ショップ店員として働いているそうだ。今日はその時間の合間に聴取となった。

昼のピークを過ぎた店内はコーヒーをたしなむ客がまばらだった。

「秋になったぐらいですかね?」

「え?」

「朋美ちゃんがマスクしだしたの。夏休み明けに一気に噂が回って、一緒に今まで言われなかった容姿の事まで言われだす様になって…朋美ちゃんって口元悪くて…出っ歯ブスなんですよ。」

小馬鹿にしたように田中美紀は笑った。

「あの子パーツでいいのはあの大きな目だけなんです。それ以外は…鼻は丸くて上向いてるし出っ歯だし顎ないし。いままで皆雰囲気で可愛い子って思って騙されてたから、噂が回った時に何となく容姿の事もつつかれるようになって…特に歯!!出っ歯ブスって何かと言われるようになって…気にしてマスクしてたなーって。」

「それは…誰が中心となって騒いでたんですか?」

「!!え!!知りませんよ…本人には直接出っ歯ブスなんて言いませんよ。ほら。女子同士で隠語で話す時に出っ歯ブスが彼女の名刺代わりだったというか…。まぁその程度ですが…多分彼女の耳に入ったのでしょうね。」

「そうだったんですか。」

「えぇ…何か直接嫌な事を言うわけじゃなくて…」

田中美紀は少し考え込むように上を見た。

「自業自得というか…自分でしでかした事の責任を取れないんですよ。」

「と言いますと?」

「あー。何て言ったらいいのかな?あの年頃って何でも興味が沸くじゃないですかー。恋愛もセックスもカミアウの方向を間違うとあばずれ扱いっていうか…恋の経験豊な子が周りに居るわけじゃないから走り過ぎると逆に鼻つままれちゃうって感じですかね?」

「かみあう?」

「あ。カミングアウトの事です。あの子当時すごかったでしょ?やりまくってたみたいだし。そこまで来ると経験豊富ですげーお姉さんじゃなくて…汚いって言う汚物扱いなんですよー。朋美ちゃんはそこがバカだから分かんなかったんでしょうね?実際中学で経験済みとかあまりいい印象は持たないでしょう?そんな子も少ないし。あ。でもマリリンは別!!ちゃんと初めての人と結婚までして…今だって大けん?だったけ?何か大学行く為にまた勉強してるんでしょ?もうマリリンマジ尊敬しちゃう!!」

「林田さんすごい努力家なんですね」

「マリリンはホントすごい人なの!!」

「そのマスクしだした頃って何か他覚えていますか…?」

「えーーー。あぁ!!あんまり関係ないけど…あの当時某メーカーの出した赤のチェックのマフラーが流行って…私もしてたなー。と言っても私のは近所のスーパーで買ってもらったただの赤のチェックなんで…あのロゴが入ってなくて…もろパチもんだったんですけどね。中学生なんてお洒落にお金かけれないじゃないですか。でも朋美ちゃんはちゃんとロゴの入った本物してましたね。小さいロゴなんで良く見ないと分からないのですが…」

福田がマフラーの話を聞いてから自分のバックの中を漁りだした。何してる福田。

「皆さんそのマフラーだったんですか?」

「えぇ!!田舎の中学校なんて一個流行り出したら皆バカみたいに同じのなんですよ。あーでも。あえて違うのを付けてる子もいましたね。管ちゃんとかはバスケ部みんなでおソロの必勝ってかかれたださいのつけられてました。あれは可哀想だったわ…。マフラーに必勝ですよ…ださくないですか?」

「ははは…良い思い出じゃないですか?」

福田はまだごそごそやっている。何やってる福田?

「あ!!思いだした。ちょっと変だなって思う事があって…。」

「何ですか?」

「大した事じゃないんですけど、当時は気にしなかったんですが…朋美ちゃんが長い髪をボブくらいにばさっと切って来て…その後すぐにカナちゃんも同じ髪型にしてて…後ろから見たら見分けつかなくって…時々カナちゃんと思って声をかけたら朋美ちゃんで気まづいなぁって思ってたんですよ。もうホントややこいからあの髪型超困ってたんですよー。何で似た感じに切ったんだ!!迷惑よって当時思ってましたね。それ…ぐらいかな?…その後起こったでしょう?」

「それは…当時警察には言いましたか?」

「どうだろう?言うというより一方的に向こうがイエスかノーで答えられる質問をしてきて、うなづくか首を横にふるかしかしなかったからなー。」

「あったー!!」

急に福田が大声をあげた。その声に田中美紀は肩をびくつかせた。

「福田!!うるさい!!」

「すいません。」

福田は机に資料を広げ二枚の拡大コピーをされた写真を並べた。

「田中さん…言ってたマフラーってコレですか?」

そこにはコンビニの前を歩くマスクを付けた女子学生が写っていた。

「福田勝手に!!お前こら!!」

「これって…」

さすがに田中美紀は黙った。しばし沈黙の後…こう言った

「こっちは…朋美ちゃんだけど……こっちは誰?」

「え?」

固まる福田。

「田中さん…どちらとも同じ人物ですよ。日にちが違うだけなんです。」

「ううん…違う。」

田中美紀は二日目の方を指した。

「こっちは朋美ちゃん。こっちは…誰だろう?」

荒い画像で何故彼女はそう断定したのか…警察すらも見抜けなかった二枚の写真の少女…。

「どこが違うんでしょうか?」

「マフラーが違うのもだけど…全然違うじゃん。」

何で分からないの?と言わんばかりに見詰められた。

「マフラーが違う?あ。ホントだ…同じ結び方だけど…チェックの位置が微妙に違う気がする…あーでもよく見えないなぁ。」

福田が荒い画像を眉間にしわをよせて見ていた。

「福田…動画出して!!」

福田は黙って鞄からノートパソコンを取りだした。

「田中さん…実際の録画された当時の記録です…見て頂けますか?」

田中美紀は頷いた。パソコンをそちらに向け再生させた。一日目と二日目。

繰り返し二回ほど見た後にぼそっとつぶやいた。

「…カナちゃん?」



【14歳の脅威】→【制裁】へと続く。

続きます。

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