02
購買で、パンを買うと三人は屋上に向かった。屋上には、既に何人かの生徒が和気あいあいとご飯を食べている。
「おっと、そろそろこいつを起こさないとな」
ペチンと秀紀の顔に長谷河は平手打ちを入れる。ビクッと痙攣して、秀紀は目を覚ました。
「はっ、ここは?」
「屋上だぞ、ほらお前の分まで買っておいてやったぞ」
菓子パンをポトリと秀紀の膝に落とす。
「長谷河先輩、私のサンドイッチ一つどうぞ」
「おっ、あんがと。なら、俺はこのアンパンやるよ」
「あ、ありがとうございます!!」
嬉しそうに姫野は、アンパンを受け取った。
「何だろ、俺こっから消えたいわ」
「何いってんだ? ほら、さっさとパン食えよ」
「へいへい」
ぞんざいな態度で、菓子パンの袋を開けようとした時。長谷河の奥から、視線を感じ。恐る恐る見てみると、姫野が睨んでいた。
「どうした、そんなに身を震わせて」
「いや、きっと蛇に睨まれたカエルってこんな気分なんだなって」
長谷河は、何のことか分からないが為にその言葉を無視して空を見上げる。
「空は青いな……」
「どうしたんですか? そんな隣の芝生は、青いみたいな言い方して」
空は、雲一つなく晴天であり。
青色という色に全て染め上げられていた。
「いや、ただ人もこの青空のように迷いなく生きていけたらいいんだけどなと思って」
「そうですね……。でも人は、迷いがあるからーー障害があるから強くなるんです。何の迷いもなく生きていけたら弱いままです。その人の成長を潰しちゃいます」
「成長しない? それじゃあ、まるで姫の胸みぐぶっ!」
スカートの中身が見えることなど気にせず、足を振り子の要領で振り上げ、秀紀の頭をサッカーボールのように蹴りあげた。
「ナイスキック。それと秀紀、お前にデリカシーはないのか?」
そこで、手元のパンをかじりまたどこまでも続く空を長谷河は見つめていた。
「そういえば、最近の事件知ってます?」
「事件って、あの山の?」
「違いますよ、爆破事件です」
「爆破……って? あの」
ドンッと激しい音とともに窓ガラスが割れ、下から煙が上に上がってくる。
「なんだ!?」
「下の四階です、行ってみましょう」
建物の揺れで、目が覚めた秀紀も合わせて三人は下の階に向かっていった