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彼女が家にやってきます

 放課後、私とりこは駅までの帰り道を一緒に歩いていた。最近りこの様子が少しおかしい。なんだか元気がないような気がするのだ。


「ねぇ……りこ何か悩みでもあるの? 顔色悪いよ?」


「そうかな? 最近アクセサリーづくりで寝不足だからかも。それに悩みがあったら、ちゃんとあやねちゃんに相談するから大丈夫」

 

 そう言って私に微笑みかけた。そんな事言われたら何も言えなくなってしまう。


「そっか……アクセサリーはいつでもいいんだから、ちゃんと眠りなさいね? それにして欲しい事があったら何でも言ってね?」


「……何でも?」


 その言葉を聞いてりこは立ち止まった。私の目をじっと見ている。そして恥ずかしそうに目を伏せて呟いた。


「じゃあ……今度の休みにあやねちゃんの家に泊まりに行ってもいい?」


「え゛っっっ!!!?」





 窓から夕陽が差しこんでいる。だらしなく床に散らばっていた雑誌や漫画を棚に直し、部屋の隅から隅まで掃除機をかける。部屋中にファブリーズをかけ、だいぶ綺麗になった自分の部屋を見て私は大きく息を吐いた。

 今日はりこが私の家に泊まりにくる日である。あの日私の家に泊まりたいと言ったりこに、私はかなり驚いたがすぐに首を縦に振った。

 

 そういえば外デートはたくさんしたけど、家デートはした事がなかったな……。


 そう思うと今から緊張してきた。断じてやましい事を考えているわけではない。断じて。


 ……でも夜二人きりだよね。二人きり…


「おい、客用の布団持ってきたぞ」

「ぎゃっ!!?」

 

 色々な妄想をしている時に、いきなりドアを開けられた。兄が客用の布団一式を持って私の部屋に入ってきた。


「なんだそのカエルが潰れたような声……。言っとくが、ちゃんとノックはしたからな」


 兄は呆れたように布団を床に置く。私はまわりの音が聞こえないほど、妄想の世界に入ってたのかと恥ずかしくなった。


「そろそろ友達くるんだろ? 下のリビングで待っていたほうがよくないか?」

「お兄ちゃんに言われなくてもわかってますー! ほらお兄ちゃんも出てった出てった!」


 兄の背中をぐいぐいと押しながら私達は一階に降りた。その時タイミングよくチャイムがなった。


「っはーい! 今開けます!」


 私はドキッとして慌てて玄関のドアを開ける。そこには少し緊張した様子で大きなバッグを腕に抱えたりこの姿があった。


「こんにちは……今日はよろしくお願いします」


 そう言ってペコリとりこはお辞儀をした。


「あ、こちらこそ狭い我が家ですが……」


 そんなお決まりの会話を二人でしていた時、兄が後ろから声をかけてきた。


「こんにちは、あやねの兄です。お友達さんめちゃくちゃ可愛いですね。」


「あっ初めまして! 春川りこです。今日はよろしくお願いします……」


 そう言って兄とりこは互いに挨拶をする。確かにりこは可愛いが、兄に言われるとなんだか腹がたって、私は兄の横腹にパンチをお見舞いする。


「ぐっ! あやねお前な~!!」

「うるさい! お兄ちゃんがデレデレしてるのが悪い!」


 そう言って兄妹ゲンカが始まろうとした時、クスクスとりこが笑いだした。


「ごっごめんね、仲がいいんだね二人とも」


「そっそんな事ないってば! ほら、早く私の部屋に行こ?」


 私は恥ずかしくなって、りこを部屋に案内した。


 どっどうしよう……すごく緊張する……。


 りこを部屋に案内したのはいいけども、自分の部屋に好きな子と二人きりという状況はかなりドキドキする。

 りこも緊張しているのだろう。目線をきょろきょろと動かしながら落ち着かない様子だ。


「私お茶もってくるね! ゆっくりしてていいから」


「あ、ハイ! よろしくお願いします」


 私は部屋の雰囲気に耐えきれず、その場を離れた。



 カップに熱い紅茶を注ぎながら、私は大きくため息をついた。


「今からこんなんじゃ夜とかどうすんのさ……って何考えてんの私!!」


 自分の発言の際どさに、自分で驚いてしまった。驚くあまり紅茶が私の手にかかって、熱っちい!! とまるでコントみたいな反応をしてしまった。

 


 先が思いやられるよ……。


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